わかってることは簡単に真似できるが、最初にやれと言われてもできないことを”コロンブスの卵”と言う。
新大陸発見を祝う凱旋式典で「誰でも西へ行けば陸地にぶつかる。造作も無いことだ」などとコロンブスの成功を妬む人々に対し、コロンブスは「誰かこの卵を机に立ててみて下さい」と言い、誰も出来なかった後でコロンブスは軽く卵の先を割ってから机に立てた。「そんな方法なら誰でも出来る」と言う人々に対し、コロンブスは「人のした後では造作も無いことです」と返した。
しかし、ヴォルテールは『習俗論』(第145章)にて「これは建築家フィリッポ・ブルネレスキの逸話が元になった創作だ」と指摘し、会話の内容などもそのまま流用されていると説明した[39]。逸話の内容は1410年代、『フィレンツェのサンタ・マリア・デル・フィオーレ大聖堂のクーポラ(ドーム部分)の設計にみな難儀していた際、ブルネレスキは設計図面も完成模型も見せないまま「私に建築させて下さい」と立候補した。他の建築家たちが大反対したところ、ブルネレスキは「大理石の上に卵を立てられる人に建築を任せてみてはどうか」と提案。
誰も出来なかった中で、ブルネレスキは卵の底を潰して立てた。当然の如く周囲から批判されたが、ブルネレスキは「最初にやるのが最も難しい。もし先に図面を見せたら、あなた達は真似をするでしょう?」と切り返した。』というものである。
Wikipediaにはコロンブスの卵には元ネタがあると書いてあるが、正解がわからない時に正解を導くことはハードルが高いということがわかる。
正解が正解として通用するには導かれたタイミングが関係し、再現性が低い1度きりのものである場合もある。
2013年に大ヒットしたドラマ『半沢直樹』はさまざまのヒットの分析が為され、次のヒットの参考にされてるはずだが、条件だけ整えてもなかなかヒットは生まれない。
監督も想定外!「半沢直樹」メガヒットの裏側
なぜ、銀行ドラマが視聴率30%を叩き出せたのか?
――「半沢直樹」の大ヒットをどう見ていますか?
まったくの「想定外」でした。びっくりしています。
登場人物に女性が少なく、わかりやすく視聴率を取れるキャラクターもおらず、恋愛もないという「ないないづくし」。それに銀行という“男”の世界が舞台です。セオリーどおりなら、ドラマのメインターゲットと言われる女性は「見ない」ということになりますよね。
でも、いざ、フタを開けてみたら、女性が見ていた。テレビの常識がいかに適当だったか、マーケティングというものがいかにアテにならないか、ということでしょう。
――なぜ、視聴率が取れたと思っていますか。
それは2つあります。ひとつは、原作の面白さです。
あとは、悪役は悪役らしく、ヒーローはヒーローらしく、わかりやすく。
――もうひとつの要因は。
それは、堺雅人さんの演技です。今回のキャスティングでいちばん“ハマった”のは、堺さんですね。
やっぱり「半沢直樹」を見て、日曜9時に「スカッ」と物語を楽しんでもらいたいです。だって、あんな人いないでしょ!?
ドラマ半沢直樹には、製作者の意図を超えた偶然の要素もヒットの背景にあったことが伺える。
この偶然の要素は分析可能ではあっても、再現は容易ではないだろう。
しかし、視聴者の多くはスカッとしたかっただろうし、スカっとできたから支持されたのだろう。
主演の堺雅人を抜きには語れないドラマではあるが、それだけでは無かったことは、Appleにおけるスティーブ・ジョブズのようでもある。
しかし、当時アップルのシニアマネージャーだったアンディ・グリニョンによると、スマートフォンの開発に着手した当初、担当チームは世界を変えることを計画していたわけではなかった、という。単に音楽プレーヤーに電話機能を加えた「電話ができるiPod」がiPhoneの原型だと。
ジョブズを天才と呼び、そのせいでヒットが生まれたと言われるが、実際にはユーザーに選ばれた結果にすぎないが、大きかったのは偶然かも知れないがタイミングを上手に掴めたことかもしれない。
自らの壮大なビジョンを大真面目に捉え、その開発を実行したのはジョブズの力である。だが、時代がジョブズのビジョンに追い付いてきたのだと思う。
そんなジョブズは、こんなことを言ったらしい。
「私は(ひらめいた時に鳴る)『ピンポーン!』を宇宙に響かせたいね。」
これが、ジョブズが求めたスカッとした気持ち良さなのかもしれない。
また、こんなことも言っている。
「シンプルであることは、複雑であることよりも難しい」と。
似たようなことはレオナルド・ダ・ビンチも言っている。
「洗練を突きつめるとと簡潔になる」と。
スカッとできる人には、共通項が見えてくる。
- 信念がある
- その信念は難しいことではない
- スカっとできるまで信念を貫く
多くの人が、自分が活動してる場で『正解』を求めているが、正解が分かる前段階では『信念』が試される。
https://ja.wikipedia.org/wiki/信念
信念(しんねん、英語:belief)とは、ある個人がある命題ないしは前提が真であると信じること[要出典]、もしくは信じられる内容のことである[要出典]。それを裏付ける証拠が有るか無いかは問われない。
そんな信念は、貫き通すのが難しいのは今の時代のなせる業だろう。
信念と人生は、比例します。
信念が曲がっていれば、人生も曲がります。
信念がまっすぐなら、人生もまっすぐ歩めます。
「信念を持っています」と言いますが、持っているだけではいけません。
信念は、持つものではなく、貫くものです。
人生では、必ず障害が現れます。
そこで信念を曲げてしまうと、意味がないのです。
壁があれば、勢いで貫いてしまいましょう。
少し助走をつけて体当たりすれば、壁が壊れます。
信念を貫くから、まっすぐな人生が歩めるのです。
信念を貫いた半沢直樹はどのような人物だったのだろうか?
――半沢直樹の魅力は?
半沢直樹の魅力は、自分の信念を曲げないこと。そのくせ、「やられたらやり返す」というわりに、「悪かった」と言えば許してしまう。謝ってきた人は許す、結構“いいやつ”です。ただ、ひどいことをしてきたのに、謝らず、我を通してくるやつには“とことん”徹底的にやる。
決して上手に世渡りしてる人ではないのに、なぜあんなに支持されたのだろうか?
実は嫌いな人も結構いたのかもしれない。
作り物の世界の半沢直樹は、滑舌良く早口で雄弁だが、現実世界ではさほど雄弁ではないかもしれない。
半沢直樹のキャラと雄弁の反対を想像すると、『貴乃花親方』の姿が浮かぶ。
様々なポジショントークが展開されてる相撲界のドタバタ劇がワイドショーやニュースで話題だが、貴乃花親方と半沢直樹がダブって見える。
貴乃花親方が最初に相撲協会に事件を報告していたら、この事件は全く話題にならなかったかもしれない。
報告の順番を変えたことが、コロンブスの卵かもしれない。
そうすると心配な点が一つある。
半沢直樹“最終回、幻のラストシーン”(1)「頭取、そりゃないぜ」と思ったら意外な出向理由が
「半沢直樹次長に出向を命じる」
半沢直樹“最終回、幻のラストシーン”(2)鬼気迫るラストシーンにかたずを飲んだ
真相を探る過程で、最終回でカットされた“未公開シーン”があったことを突き止めたのだ。
これほど重要なシーンが、なぜ全てお蔵入りになってしまったのだろうか。
半沢直樹“最終回、幻のラストシーン”(3)頭取に100万倍返しする日が本当の最終回
半沢は「俺はもっと上に行って、やることがあるんだ」と宣言し、目指すは頭取であった。「半沢直樹」の本当の最終回は最後の巨悪である頭取を100万倍返しする日なのかもしれない。
実際のドラマでは、出向で終わったが、シナリオはまだ先があったようだ。
現実ドラマでは何が起きるのだろうか?
スカッとする展開があるのだろうか?
そういう目で今の相撲界を見るのはおもしろいかもしれない。
年明けの初場所までに決着するのか、波乱の幕開けになるのか?
まだ誰にも分からない。
追記(12月6日)
相撲協会への報告の順番を変えたことがコロンブスの卵だったと書いたが、どうやら最初に報告していたらしい。