違う見方

新しい時代の始まり。複数の視点を持つことで、情報過多でややこしい現代をシンプルに捉えるための備忘録的ブログ。考え方は常に変化します。

その『関係』、チョット待った!

『関係』を解消する場合、後腐れ無く関係を終わらせるために予め取り決めをし、場合によっては金銭を介在させることがある。

 

当事者にならなければ、当然だと感じ深く考えない。

 

約束事は、原則契約となる。

 

だから、書面を取り交わさない口約束も契約とみなされる。

 

関係解消に伴い、金銭が発生する契約として、

 

・不動産の賃貸借契約

 

・生命保険契約

 

・離婚

 

・退職

 

などが頭に浮かぶ。

 

上記の契約の場合、関係をやめたいと申し出た側がお金を受け取ることが多い。

 

絶対受け取るわけではないが、受け取る場合の名目は、慰謝料であったり、清算金であったりという種類になる。

 

こういう昔からの仕組みに便乗するかのように、こんな話題が出てきた。

 

KDDIが高額解約金商法に参入か、契約改定によりauひかり解約時に撤去費用2万8800円を強制徴収へ』という動きが一部で話題になっている。

 

この話のおもしろいところは、関係をやめたいと申し出た側がお金を取られるという点にある。

 

これは、かつて不動産の賃貸借契約における"敷金の返還"の揉め事を思い起こさせる。

 

賃貸借契約を解約する場合、敷金は戻らないというのが当然だった時代がある。

 

その際の敷金は、部屋を次の入居者のためにきれいにするために使われるという名目で返還されないということがまかり通っていた。

 

しかし、退去後のほとんどの部屋が実際にきれいにされることはないという事実が一方で存在することが徐々に認知されると、敷金の返還をめぐって揉め事が増え、国土交通省が「原状回復をめぐるガイドライン」で基準を明記し、ごく普通の使われ方をした部屋の場合、敷金は原則返還されることとなった。

 

 

 

したがって、KDDIがやろうとしてることが如何に時代錯誤かがよくわかる。

 

 

なお、離婚する時に慰謝料と同時に、結納(金)の精算が取り沙汰されることがあるが、結納は結婚成立を前提とした贈与であるという判例があり、婚姻が成立した場合は離婚しても結納を精算する必要がないとされている。

 

若干の例外として、婚姻は成立したが夫婦としての実体がない場合に結納金返還を認めた判例もある。

 

この判例は55年前の昭和37年のもの。

 

 

「思うに結納は、特殊の場合は別として、普通の場合は他日に婚姻の成立すべきことを予想し、その縁結びの印としてなされる一種の贈与であるから、一旦婚姻が成立した以上原則としてこれの返還を求めることはできないけれども、たとえ形式上婚姻が成立しても、夫婦生活の期間が短かく、事実上の夫婦協同体が成立していない場合は、婚姻予約不履行に準じて結納の返還義務を認めるのを相当するところ、本件においては被告は、最後に原告の居を去るまでの間も(婚姻生活約3ヵ月半の間に)通算20日位原告と同棲したに過ぎず、他は殆ど実家にいたのであって、そのうちの病気治療期間も特に原告と協議して実家で療養することにしたわけではないから、原告被告間には未だ夫婦協同体は成立していなかったものというべきであり、被告は原告に対して本件結納金10万円を返還すべき義務がある」

https://avance-media.com/rikon/20150602/2/

 

 

 

KDDIのように解約を申し出た人に手数料名目で費用を徴収するものを検索すると、

 

冠婚葬祭積み立て、解約手数料の「無効」確定 業者に返金義務  2015/1/22

元契約者1人当たりに約2万~約6万円の手数料を返すよう大手業者セレマ(京都市)に命じた大阪高裁判決について、最高裁第3小法廷(山崎敏充裁判長)が20日付で、双方の上告を受理しない決定をした。

 

冠婚葬祭費積み立ての解約手数料を巡っては、全国の消費生活センターなどに相談が寄せられ、複数の訴訟も起きている。業界団体によると、全国200社以上が同じ約款をモデルに手数料条項を定めており、一部では金額を下げるなどの見直しを進めている。

 

今回の訴訟で問題になったのは、葬儀や結婚式に備えて総額10万~50万円を100~200回分割で積み立てる契約を中途解約すると支払い回数に応じた手数料がかかる条項。消費者団体「京都消費者契約ネットワーク」が条項差し止めを求め、元契約者9人が手数料返還を求めていた。

 

ユーザーを一見客からリピーター客に昇格させようとするのは、ビジネスの基本。

 

そのために、どうやって客を囲い込むか?

 

 

そうだ!

 

やめると損な仕組みにすれば良いんだ!

 

 

そうなると、心理学の出番だ。

 

古典的だが、サーカスの像はなぜ逃げないのか?

 

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自分だけは騙されないと思ってる人が騙されている。

 

敷金返還や冠婚葬祭積立のように判例やガイドラインが出来上がった分野は、苦労した方々がいたおかげで良くなっていった。

 

油断して、会社の規模が大きいからと安心してると先人の苦労を背負い込まされるだろう。

 

 

チャンスを掴みたいならリスクを恐れるな!

 

宝くじは、買わなきゃ当たらない!

 

そう言いながら、『関係』を迫る人や企業が増えている。

 

これからの詐欺は、ウソを言わずに騙しにやって来る。

 

 

 

その『関係』を有利にリードできると思っていると、

 

知らないうちに飼いならされているかもしれない。