自動車界隈の話題といえば、最も焦点が当たっているのは自動運転に関する分野だと思っていたら、立て続けに出る記事がEV(電気自動車)がにわかに脚光を浴びだしたことを伝えている。
中国がガソリン車禁止へ 英仏に追随、時期検討
最大市場、EVシフト
日本経済新聞 電子版 2017/9/12
【北京=多部田俊輔】中国政府はガソリン車やディーゼル車の製造・販売を禁止する方針だ。英仏が7月に2040年までの禁止を表明したことに追随し、導入時期の検討に入った。電気自動車(EV)を中心とする新エネルギー車(NEV)に自動車産業の軸足を移す。世界最大の自動車市場である中国の動きは、大手自動車メーカーの成長戦略や世界のEV市場に影響を与えるのが確実だ。
中国政府がガソリン車などの製造・販売の禁止検討に着手する背景には、北京など多くの都市で大気汚染が深刻になっている事情がある。さらに、ガソリン車などでは日米欧の大手メーカーに対抗することが難しいため、NEVで世界を代表する中国企業をつくり出す思惑も透ける。
トヨタを含め自動車メーカー各社が、世界第1位の自動車大国となった中国、そして中国に抜かれたとはいえ付加価値の高い高額商品の販売台数では中国と匹敵するアメリカ、これら2国の政府の動向に対して敏感に反応するのは当然である。
さらに、ここへきて奇妙な動きが欧州で出てきた。マクロン政権誕生から間もないフランスで2040年までにガソリンおよびディーゼル車の販売を禁止するとの政府方針が出た。その動きを追うように英国でも同様の発表があった。
この仏英の動きについては、政治的な思惑が極めて強いと、筆者は考える。なぜならば、7月にフランスで開催された次世代交通に関する欧州会議などを現地取材しているのだが、EC(欧州委員会)としてのEVや燃料電池車に関する中長期的なロードマップを作成する動きがないからだ。
EV(電気自動車)には、大きな課題がある。
- 航続距離が短い
- 充電インフラが整ってない
そして、もう1つメーカーが公式には認めない大きな課題がある。
リチウムイオン電池を自動車に使った場合の特徴かも知れないが、保証期間内に急激に充電池の性能が劣化することが頻発してるのだ。
満充電で走り始めて、普通に走ってるだけなのに、走れるはずの距離の半分にも満たないところでエンプティ(空)状態になるので、メーターを信用して乗るのが怖いという話が多い。
このクレームをメーカーは認めないので有償修理(充電池交換)になるのだが、これがかなり高額な出費になることもある。
これらの有効な対策として、大容量の充電池を搭載するということがあるが、そうすると販売価格が大きく上がることになる。
EVを自動車という観点だけから捉えると、
急加速のEVシフトに潜む5つの課題
日欧米韓中の鍔迫り合いとビジネスリスク
今後、世界市場に出現することになる数多くのEVであるが、消費者の需要が同時に比例して拡大するとは思えない。
そんな負の要素があるEVに一斉に舵を切る、その背景に何があるのかは大いに興味がある。
たびたびブログ内で資本主義が行き詰まってきてると書いたが、行き詰まってきたのは”化石燃料”を使う文化かもしれないと感じてもいる。
産業革命以降、化石燃料は、動力源となるエネルギーとして工場を支え、発電に用いられるようになると、エネルギーの種類を転換させ使い勝手が爆発的に良くなった。
やがて、化石燃料の一部の石油は素材としても活用され、プラスチックやビニールを産んだ。
心ある人はずっと以前から指摘していたことが、この時代になって多くの人が気付き出したのが、化石燃料は便利なのだが、循環処理できない廃棄物や自然分解しない生成物を産み出し、地球がそれらを受止めきれなくなっているということだ。
化石燃料は燃やして使うので、煙状の有害物質と粒子状の有害物質を排出する。
多くは、発生場所で被害を出すが、風に乗って拡散し易いので徐々に広がる。
そして、皆が知ってる地球温暖化。
真の原因を巡っては様々な論争があるが、大事なことは、既に現象として起きてるということだ。
信じられないくらい酷い中国の大気汚染、アメリカで多発する超大型のハリケーンなどの目立つ現象だけではない、生態系の変化も始まっている。
こんな流れの中で、脱化石燃料の動きとしてEVが脚光を浴びるのは自然な流れだ。
しかし、肝心の電気が火力発電所で発電されてれば少しガッカリだが、大衆の意識を変えるには充分だろう。
EVの要はバッテリーシステムにある。
そのEVが真に目的を達するためには、発電も変わらなければならない。
太陽光を始め、自然エネルギーに期待する話は、既存電力業界の不安定な電源は活用できないと言う声で潰されてきたのが日本だ。
その自然エネルギー発電の不安定さを補う要になるのもバッテリーシステムなのだ。
おそらく期限を決めてEVに舵を切ったということは、バッテリーシステムを要に据えた大規模なシフトが起こるのではないかと思い検索してみると、
“脱”化石燃料! 発電は再エネ熱利用が主流に? 2017/01/30
日本政府を慌てさせたパリ協定の異例の早期発効は、脱化石燃料のための再エネ拡大とエネルギー効率化が必須の流れであることの象徴であった。エネルギーが薄く広く存在する再エネの普及と、地域での取り組みこそが効果を上げるエネルギーの効率化が進むことは、必然的な結果としてエネルギー分散化を招く。
電力会社が原発に「終わり」を告げ、太陽光発電とバッテリーへの投資に動き始めた
米国の電力大手デューク・エナジー・フロリダは2017年8月29日(米国時間)、フロリダ州西部の原子力発電所建設計画を中止することで、フロリダ州の公益事業委員会(PSC)と合意したと発表した。
今回建設中止が決定したレヴィー原子力発電所の代わりに、デューク・エナジー・フロリダはソーラーパネルや電力網(グリッド)接続型バッテリー、電力網のスマート化、電気自動車の充電エリアなどに60億ドルを投資する計画だ。新たな計画には、今後4年をかけてフロリダ州西部地区に出力700MWの太陽光発電施設を設置することも含まれている。
と出て来る。
バッテリー関連銘柄は買いだろう。(もう遅いかも?)
ここまで考えると、勘ぐってみたいことがある。
産油国を巡る不穏な空気があるのかもしれない。
1つは、石油の埋蔵量や生産を巡る話で、もう1つは政治を巡る話。
この辺に絡んで、石油に頼れない事情が実は発生してるのかもしれない。
この政治に絡んだ話で、身近な実話がある。
実話なので、迷惑を掛けてはいけないので可能な限り曖昧に表現する。
友人の娘が、某豊かな産油国の航空会社でCAをしていたが、夏の終わり頃その友人に会うと、娘が帰国してるという話になり、よくよく聞くと航空会社は辞めてきたとのこと。
その理由が、日常生活を普通に送っていて、以前は感じられなかった生命の危険を感じることが多いらしいとのこと、ちなみに外務省の発する情報の中には、その国が危険だと感じさせるものは皆無。
父親である友人もそれ以上のことは不明らしいが、娘さんが感じた危険は政治に起因するもののように感じられたとのこと。
IS(イスラム国)関連かなとも思うがわからない、ただ産油国はチョット不穏な何かが起きているかもしれない。