世の中には実にたくさんのビジネスがあり、多様なネーミングの商品やサービスがあるが、それらは全て"売れる"ことが目的で世に出てくる。
テレビドラマなどでは、人気のある俳優をキャスティングし、人気の脚本家を採用し、放送時間も吟味し、データ的には満を持してリリースされているはず。
本や映画のタイトルのネーミングに当たっては、様々なデータが駆使され、世間の流行り廃りを調べ、それなりの勝算を描いているだろう。
しかし、結果はピンからキリである。
前回のブログで下記の記事を引用したが、記事に書かれてることはフジテレビだってわかっているはずで、その上で"売れる"にはどうすれば良いかは絶えず考えていたと思うのだが・・・。
フジテレビ凋落は「内輪ウケ・世間ズレ・自己保身」が原因か
週刊女性2016年8月2日号2016/7/24
「'80年代、フジテレビは“庶民的”なテレビ局でした。当時の番組に共通する特徴は、反権威主義でリアルを追求するところ。当時、個性化が進んでいた若者たちは権威主義的に教員や親から考え方を押しつけられることに対し、鬱屈した感情をため込んでいたのでしょう。
しかし、お台場への移転などをきっかけに、フジテレビは“エリート”になってしまった。
「いつの間にかおごりが生じ、成功体験から抜け出せず、独善的な番組作りをするようになりました。それを省みることができなくなり、視聴者ではなく“番組制作者本位主義”、いわゆる内輪ウケの姿勢が根づいていたことも独善性に拍車をかけます。その結果、世間の変化に目を向け、耳を傾け、謙虚に寄り添おうという気持ちが薄くなり、感覚がズレてしまったのです」
いろいろ考えているのにうまくいかないのはなぜだろうか?
と考えていて思ったのが、ターゲットにリーチするために、データを参考にすると思った以上にピント外れになるのかもしれないと言うことだ。
豊富なコンテンツから何を選ぶか?、何を選びたいか?、このような選択を迫られた時、人はどう反応するのだろうか?
こういうテーマは広告代理店が得意な分野のはずだが、そこがうまく機能していないのかもしれない。
大きな本屋で書棚の前に立つと、様々なタイトルが並び、似たようなタイトルやテーマで多くの著者が書いている本が多いことに気付く。
これらの本は売れてるのだろうか?
本としての装丁がきちんと為されていると売れてるように感じてしまう。
本を手に取りパラパラめくると作りが似てる本が多いことに気付く。
本のタイトルが説明調で、章や見出しの立て方が要約調なのだ。
昔はもっと大まかな見出しにシンプルなタイトルが多かったような気がする。
出版コンサルは下記のように考える。
ベストセラーなど、売れる本の特徴としては「内容が簡単」であることが挙げられます。
また、著者が書きたいことを書くのではなく、作家の得意分野であり、さらには読者が読みたいと思うテーマで執筆する必要があります。
ベストセラーというのは、普段は本を読まない人が購入するようになるからこそベストセラーになるからです。
簡単なようですが、本にあまり馴染みのない人に対して、本を買わせることは非常に難しいです。
これらを踏まえたうえで、中学生が読んでもわかる内容に仕上げることを心がけましょう。
出版社の考え方は下記のようなものだ。
こんにちは。ぼくは岩崎書店という児童書の出版社の社長をしている岩崎夏海といいます。
実は作家活動も平行して行っており、普段は有料でメルマガを書いているのですが、今日は無料で読んでいただける場所に記事を書いております。というのも、出版社の社長として一つ考えていることを、ぜひ多くの方に知っていただきたいと思ったからです。
なぜなら、町の本屋さんでもインターネット書店の反響を見ているので、一度は見限られた本でも再度棚に並べてもらうことができるようになったからです。
その意味で、今はインターネット書店で売れるということが最も重要な時代になりました。それは、とりもなおさず新しいことや実験的なことが、昔よりやしやすくなったということです。そしてそのことが、ぼくは出版業が再生する、一つの道筋になるのではないかと考えています。
ここで二つのことが思い当たる。
インターネットの影響を受けているのか、あるいはインターネットユーザーを取り込みたいからなのか、本のタイトルや見出しもSEO(検索エンジン最適化)的になっていること。
もう一つは、インターネットの世界ではパーソナライズがトレンドとされているが、実際には自分自身のことよりも自分以外の他人が気にしてることを知りたいという気持ちを強くするということだ。
本屋でズラッと並ぶ大量の本のタイトルを見ていて、最初は自分の興味に合致するものを選ぼうと思っていたが、途中から"世間の人はこういうことが気になってるのかな?"という気になってくるのが不思議だった。
ちなみに、パーソナライズされたものよりも他人の関心事の方が気になる傾向があるということが言われ始めたのが2012年頃だ。
-対談:スマートニュース会長・共同CEO 鈴木健×田原総一朗
【鈴木】いや。最初はもっと多元論的なものを目指していたのですが、制約があって、世界全体と身近なものという二元論をミックスした簡略化バージョンになってしまって。わかったことは「パーソナライズされたニュース」というコンセプトは多くのユーザーにとって興味を引かれるものではなかったということです。
【田原】パーソナライズされたニュースはダメですか。
【鈴木】僕自身は、とても興味があります。でも実際にサービスを出してみると、そっちが好きな人は1%くらいしかいなかった。ほとんどの人は個人的な関心より、世間のみんなが関心を持っているニュースを知りたいようです。
【田原】そうですか。
【鈴木】みんなパーソナライズされたニュースの価値を暗黙的には認めているんですよ。フェイスブックが流行ったのも、友達の最新情報が流れるから。ただ、明示的に「これはパーソナライズされたニュースです」と言うと、途端に反応が鈍くなる。
【田原】その反省に立って新たにつくったのが、スマートニュースだった。
スマートニュースの大きな特徴は独自コンテンツを作らないところにある。
SmartNewsでは、媒体運営者とそのユーザーのエンゲージを、弊社が独自に実装したアルゴリズムを使って観測しています。「今、最も注目されている記事」を割り出し、その評価をもとにSmartNewsユーザーの皆様へ良質な記事を自動的に表示しています。
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スマートニュースが支持されるのは、自分が欲してるニュースを知るためではなく、世間の動向を知るためなのだ。
この理屈が正しいとするならば、あまりにも自分の価値観にドンピシャだと逆にパーソナライズ拒否でブレーキがかかるのかもしれない。
この傾向は、はっきりとした自覚のなせる業ではなく、空気がつくりだす"なんとなく"だろう。
テレビドラマだと、内容に関係なく視聴率が高ければ、勝手に視聴率は更に上がるのだ、最近だと『半沢直樹』が典型的だが、それのみでもある。
"これはあなたにお薦めです"というアプローチを受けると、視野が狭くなるような気がしてくる。
この感覚を、フィルターバブルと呼ぶが、これが嫌がられている。
ユーザーがその人の観点に合わない情報から隔離され、実質的に彼ら自身の文化的、思想的な皮膜(バブル)の中に孤立するようになっていくこと。
世の中の多くの商品やサービスが、どうやったら売れるかを考えていて、その情報を効率的に届けようとすることのやり過ぎがフィルターバブルの元だとすると、売れるためにという行動の原点に問題があることになる。
戦略的な行動とは言えないが、好きなことや興味のあることをやり続け、後は待つだけというのが最も賢明な方法かもしれない。