潜在的な存在の時には目に見えないので気付かないが、それが顕在化し出すと、似たような事があちこちで増えてくる。
外を歩く大人のほぼ全ての人がなんらかのカメラを持ちかつ情報発信の術を持っている事も、顕在化を促進してるだろう。
本当は稀な出来事なのに、複数報告されると頻繁に起きてるように感じてしまう。
昨日、私は懐かしく感じる光景を目にした。
かつてバブル景気が崩壊し出した頃、私は金の取り立てをしたりされたりするやり取りの現場にいる事が度々あった。
そんなやり取りを思い出させる、クレームのような、苦情のような、それでいて必死のお願いのようでもあり、強気なのか弱気なのかよくわからないやりとりだ。
やりとりと言っても、片一方がしゃべってる電話のやりとりだ。
公共の比較的静かなオープンスペースで、周りには私を含めて4〜5名の大人と小学校低学年以下と思しき子供が3〜4名いた。
小声で話すわけではないので、自然と会話が耳に入る、最初は関心が合ったわけではないが、突然こんな言葉が飛び出した、おそらく周りも耳がダンボになっただろう。
「私、このままだったら死にますよ!」
何度か同じ種類の会話を続けていた。
会話を最初から再現すると次のようになるが、相手はテレビ局、どの部署に掛けてるかは不明。
電話の主は男性で、容姿からは年齢不詳で、若くも見えるし年を取ってるようにも見えた。
「私、イラストやアニメを創ったり、写真を撮ったりしてる者ですが、何度送信しても"ありがとうございます、何かあったらご連絡します"と言われるだけで返事がないんですけどいつまで待てば良いんですか?」
この後しばらく待たされてるようで、ぶつぶつ言ったり舌打ちしたりして、相手が出ると、
「先日も、そちらに指定された場所に行って、指定された被写体を写真に撮って、指定されたようにポートフォリオを添えて送信して、そちらからの連絡を待ってるんですけど」
おそらく相手は、その件は採用されなかったというようなことを言ったのだと思うが、それに対して、
「何かあったら連絡しますの何かって何ですか? 私は自分の貴重な時間を使って交通費を掛けて動いたんですよ」
その後、堂々巡りのやりとりが続く。
「じゃあ私どうすれば良いんですか?」
「私は仕事をしなければヤバイんですよ、このままだったら死にますよ、どうしてくれるんですか?」
おそらく、相手にハローワークに行ったらどうですかと言われてるような感じで、しばらく会話が続いた後電話を切り、別の場所に行った。
と思ったら、しばらくして戻ってきてまた電話する。
「先程電話した者ですけど」
先ほどと同じ種類の会話が続く。
男の口調は、若干キレ気味ながら言葉遣いは節度を保とうとはしているように感じた。
私が感じたのはただ一つ、もし仕事を発注して欲しいなら、どうすれば発注してもらえるかを考えるべきだということだった。
実力の有無で勝負しようとする人が多いが、世の中には実力よりも大切にされる要素がたくさんある。
しかし、切羽詰まった人にはこの手の正論は意味を持たない。
後味の良い話ではないので、この話を話題にしてブログを書くのはチョット無理だなと思っていたが、今朝起きて何気無くいつも巡回する配信に目を通すとこんな記事が目に止まった。
あっ、同じ話かも!
女たちが嫌う「心の狭い男」が増殖中!? 店員にブチ切れる男の本性とは?
女性が男性に惚れるポイント。それは、1に顔、2に身体、3に優しさである。これはほぼ100%の女性に当てはまる。逆に、見限る瞬間は様々だ。とくに、店員に横柄な態度をとった場合は「あ、コイツ、ダメだ」と瞬殺で見限られる。
電話をしていた男性の話は、男だから起きた話では無い気がするが、どうなのだろうか?
許容範囲に収まってることは、心のなかで穏やかに処理することが出来る。
うまく行かなくても、また頑張ろう、次はチャンスを掴むぞと思い直せる。
自分ではこのように思っていても、他人のさほど意味のない一言で気持ちがぐらつくことがある。
私の経験だが、私は元々怒ることがないタイプの人間だったが、いつの頃からか怒ることが増えた気がする。
年を取ったからと言う以外に、キッカケがあったことを覚えている。
「それ、怒ったほうが良いよ、なめられてるんじゃない?」
ずいぶん昔に言われたこの一言が、いつも心の片隅でくすぶって鎮火しなくなった。
そして何かあると、くすぶってる火が大きくなることがある。
良くないことは分かってるが、くすぶりは消えたように見えても鎮火しないということを繰り返している。
最近話題になる"あおり運転"なんて、このくすぶりがボヤになってる人が起こしているのだろう。
自分で戒めるだけでは鎮火しないくすぶりだが、昨日見た男性が反面教師になるような気がしている。
くすぶりを鎮火させなければ、あの男性のようになるかもしれない。
怒ってる場合じゃない!