テレビを点けっぱなしにして
聞くともなしにニュースの解説を聞いていた。
扱っていたのは、このニュース。
福岡空港の民営化「地場連合」が運営へ 国交省が優先交渉権者に選定 「活性化策」が決め手か 2018/5/16
元官僚で現在大学教授の解説者がおもしろいことを言った。
「民営化すると、
儲けることを考えなければいけなくなる。
だから、
空港利用者の滞在時間を長くするように施設を変える。
福岡空港の場合だと、天神や博多などの中心地と対立関係を
作ることになりかねない。
空港単体では黒字になっても、
福岡経済にとってはマイナスとなることもある」
急にハッとした、「そういうことだったのか!」と思い出した。
いつの頃からか、高速道路のSA(サービスエリア)が、
旅行の目的地化したり、
こだわりのグルメの場になったりしていた。
この変化に、ものすごく違和感があったが、
なぜかを考えようとはしなかった。
しかし、ブログをやってるとこういうのはネタになるので
早速検索してみた。
2005年(平成17年)10月から四つの道路公団が民営化された。
これで、日本の主要な高速道路が民営化された。
こんな記事がある。
中日本で1番の「SAメシ」は? 各SAが腕を競う「メニューコンテスト」開催
2017.12.31
NEXCO各社が毎年開催している料理コンテストです。2017年12月20日には、中日本エリアの高速道路SAを対象とした10回目を数える「メニューコンテスト」が開催されました。
ちなみにGoogle Trendsで、"サービスエリア、グルメ"で検索すると
小刻みなピークは長期休暇の月。
民営化後すぐにSAのグルメ化が行われたのではなく、
検討および準備に2〜3年掛かっていることが伺える。
民営化された高速道路は、SAに長時間滞在させるという戦略を
取っていたのだと改めて気付くが、当時は気付かなかった。
気付かないというよりも、興味がなかった。
興味がなかった理由は、自分とは無関係だと感じていたから。
しかし、今だと感じるのは、
「こういう変化は自分に無関係ではないぞ」という思い。
ネットが拡大させた通販市場などは民営化よりも影響が大きいはず。
日本の通販市場が15兆円を突破したと言われているが、
それってどの程度の規模なのかというと、
https://www.webprofessional.jp/market-research-on-e-commerce/
このグラフを見てると、通販市場が上げた売上は、右側の市場から
奪ったものだと感じがちだが、実際には中小個人の地場事業者が
壊滅的になったと見るほうが正解だろう。
こうやって見ると、少数の大きな組織や企業が全てを独占する傾向
にあるように感じるが、それは企業や組織という単位で評価すること
に慣れているから、そういう見方をするだけだろう。
しかし、評価の軸は、完全に個人単位に移っている。
私が月給14万円の医局員から年収3000万円のフリーランス医師になった訳
筒井冨美:フリーランス麻酔科医
インターネットの発達も、医局衰退やフリーランス医師誕生の一因である。昭和の時代から大学医局は、医者と病院をマッチングさせるハブ機能を担ってきた。教授や医局長に逆らえば、当直のアルバイト一つ見つけることが困難になる。だから、医局員たちは服従せざるを得なかった。
ところがネットやら携帯電話が進化し普及した現代、医者個人が病院と直接交渉したり、医者同士が大学医局とは無関係な広域ネットワークを形成することが可能になった。
勤務医からフリーランスへの転身は、社会主義国から資本主義国への亡命のようなものである。
要するに「有能は厚遇、低能は冷遇、無能は淘汰」されるのである。
今や時代は、"身も蓋もない"方向に向かっているように思える。
かつて存在した奴隷という制度は、
権力者や支配者が働き手や労働力を必要とした場合、多くは農業
だったが、メンバーは固定化したほうが都合良かったため、
その囲い込みの手法として奴隷という制度が生まれたという説がある。
時が巡り、工業化の時代になると、
働き手に流動性があったほうが権力者や支配者にとって都合良くなってきた。
だから奴隷制度はなくなったという説につながっていく。
奴隷制度の廃止は、教科書が教えるような人道上の理由からではなく、
経済合理性の為せる業だったとなる。
このように考えると悩ましいのは、
「有能は厚遇、低能は冷遇、無能は淘汰」が進むと、
経済合理性は成立するだろうか?
極端な話、街にゾンビが溢れるようになるのではと心配になる。
そう思っていたら、こんな話に出くわした。
飲食業界の常識を覆す。
『居酒屋ガツン』が提示する“コミュニティ作り”ニューウェーブ
「すごくシンプルな考えなのですが、星の数ほど飲食店がある東京の中で、お店の価値を『料理』や『お酒』に置くと、きちんと修行を積んだシェフやバーテンダーに勝てないと感じていました。人材育成もうまくいかず、運営に限界を感じていたんです」
折しもその時、世間では牛丼屋や立ち食い蕎麦、ファストフードなどチェーン店での“ちょい飲み”ブームが巻き起こり、『安さ』も武器にできなくなった。
「いきなり始めたんですが、業者さんからお客さんまで『血迷ったの?』って全員に反対されました(笑)。でも、お酒の安さは量販店やAmazonさんに勝てないし、何より人が自然と集まってくる面白い仕掛けを試してみたかったんです」
寺本氏がこのコミュニティを維持する上で大切にしているのは、とてもシンプルなことだ。
「中学校の時とかにいつも嫌なことをする人っていたじゃないですか(笑)。いじめっ子みたいな。単純にそんな人を入れないってだけです。間口は広く、誰でもウェルカムで自由度は高いですが、『楽しもう』という気持ちを一切感じない方はお帰りいただくこともあります」
そのスタンスは、忌憚のない表現で記した「居酒屋ガツン!の楽しみ方」とルールを張り紙で配することで、新規客のお店への向き不向きが自動的に分かるだけでなく、お店を楽しむ人に安心感を与えている。
※下線太字は私が入れました。
経済合理性は独占に向かう。
独占する者は、最強のいじめっ子とも言える。
居酒屋ガツンのような存在は、居酒屋ガツンだけで終わるとしても、
経済合理性とは相容れない発想かもしれなくても成立するものは、
今後どんどん出てくるだろう。
人が集まる場を、経済合理性は『市場(マーケット)』と呼ぶが、
いじめっ子はイヤだと反応する人間合理性は『コミュニティ』と呼ぶ。