昨日、Amazonのジェフ・ベゾスについていろいろ調べながらブログを書いているとおもしろいことがわかった。
ジェフ・ベゾスは、3つの考え方を大事にしている。
①常に顧客中心に考える
②発明を続ける
③長期的な視点で考える
とりわけ①だ。
顧客中心に考えるという発想は、どこにも非が無いように感じるが、実はこれが現代社会に蔓延する負の要素を象徴してるのかもしれないと感じた。
2011年10月5日、スティーブ・ジョブズが亡くなった。
多くの人が悲しみ、当時のオバマ大統領もコメントを出したほどで、スティーブ・ジョブズロスは、多くの著名経営者に及んでいた。
そんな中で、Amazonのジェフ・ベゾスは、「とても悲しい日だ」と語りながら、次のように言ったとされる。
『心配することはありません、また出てきますよ』と。
最初この話を知った時、ジェフ・ベゾスはスティーブ・ジョブズに対する思い入れが薄かったんだと思ったが、ふと、この感覚が『ブラック』なるものの正体かもと思いついた。
ブラック企業をブラックたらしめるのは、多くの場合その従業員だ。
従業員が、ブラックだと訴えるからブラックだと発覚するケースが多い。
それを世間が知ることで、ブラック認定されるが、それが原因で業績が下がるケースはあまり聞かない。
なぜなら、代表的なブラック企業は、顧客に対しては誠実なことが多いので、顧客との関係は急に悪化したりしないからだ。
Amazonのジェフ・ベゾスは、常に顧客中心で考えることを最も大事にしているが、Amazonのブラック労働を訴える話は常にあり、2015年にはジェフ・ベゾス自身が噂されるブラックな話題に対しこう答えている。
全文掲載 「アマゾンはブラック企業」批判へのジェフ・ベゾスの反論 2015/8/18
「この記事に描かれているAmazonはかつて存在したかもしれない。」と彼は記述した。「人々が『昔の会社がどうであったか』について話すのを聞いたことがある。しかし、今日のAmazonは全く別物だ」
しかし、そんなAmazonには2018年の現在でもこんな話がある。
酷使されるAmazon労働者の怒りが欧州で爆発! スペインAmazonの労働組合は次なるストを計画 2018年04月20日
ブラックな労働環境が以前から批判の対象になっているAmazonだが、EU圏内の国ではAmazonの物流拠点で働く労働者によるストライキが活発化している。
このAmazonのブラックぶりとよく似てるのが、日本のユニクロだ。
お客目線で見るユニクロには、良いところはあっても悪いところは無いように見えるが、働く場として見ると常に悪評がある。
検索するとたくさん出るので引用しないが、ユニクロとAmazonのブラックには共通点があるように感じる。
それは、ジョブズが亡くなったときに発したとされることばに表れている。
『心配することはありません、また出てきますよ』
従業員を始め、ビジネス上のパートナーに対して、無意識のうちにそう思うのだろう。
お客に対しては、『また出てきますよ』という態度は取らずに、『逃してなるものか』と振る舞う。
不景気は詐欺を助長するが、その結果消費者を保護する法律や仕組みは整備されていく。
イタチごっこは続くが、掲げるキャッチフレーズは「顧客重視」になるのは、必然と言えるだろう。
その背景には、客を守る法律の充実が関係してるかもしれないし、そもそも客から評判が悪ければ事業としての発展は得られない。
しかし、顧客重視も別れ始めている。
アップルの本音は「Facebookやグーグルと一緒にしないで」ではないか?:WWDC2018
なぜアップルは古い機種でも最新OSをサポートし、高速化も実現させたのか。
果たして、アップルに何があったのか。
基調講演を改めて振り返ってみると、ティム・クックCEOが冒頭に発言したメッセージにヒントがあった。
「Customer at the center of everything(顧客がすべての中心にある)」
今回、顧客を大切にするという明確なメッセージを発信した背景には、アップルとしてはFacebookやグーグルと一緒にしてもらっては困るというのが本音としてあるのだろう。
私には、アップルが焦っているように見える。
"顧客が大事"とトップ企業が言い出したことには理由がある。
『場』としてのプラットフォームが、リアルからネットに移ったことで、いつでもどこでもという時間と場所の制約を客が受けなくなったことが影響しているのだ。
『場』が、アプリやソフトに移り、コンテンツがデータになったことで、コンテンツを抑えることができれば、それだけで勝者になれるようになったのだ。
コンテンツがデータ化しづらい分野では、変化はもう少し先だろう。
アップルの最大の弱点は、コンテンツに直接関われないことだ。
いや、実際には関わろうとしたのだが、アップルもAmazonですら動画の美味しいところを全部ネットフリックスに持っていかれてしまった。
アップルの場合、魅力的なデバイスという優位性では優位に立てなくなったので、デバイスにこだわる限り、シェアを守ると言った従来型の価値観しか当てはまらなくなっているので、現在市場に出回ってる機種の延命化を図るしかないのだろう。
もうしばらくしたら、アップルのブラック化の話題が出てくるかもしれない。
ブラック経営者は、今日もこう思っているだろう。
『心配することはありません、また出てきますよ』
残念ながら、これはこれで一つのエコシステム(生態系)なのだろう。