Amazonは、このまま一人勝ちを続けるのか、それともその次が現れるのか、その事を考えるために整理しなければいけないことがあると感じて書いたのが昨日のエントリーで、世の中には不必要なものが溢れていると書いたが、不必要なものが増えた理由にも触れる必要があると気付いた。
ネット上での購入が普及するまでは、ごく普通の人が、何かを買おうと思ったら、店頭で陳列されてる中から選ぶしかなかった。
売り場が大きい店のほうが選択肢が多くなり、売り場の大きな店の代表格がデパートで都市の中心部に集中していた。
その後、量販店という業態が現れ、郊外に広い売り場を確保するようになるとデパートの品揃えが変わり始め、本屋や家電やカジュアル商品の多くがデパートから姿を消していった。
あまり意識してなかったが、大量生産・大量販売が身の回りに押し寄せていたのだ。
日本には、商社という世界的に見るとちょっと特殊な業態がある。
商社は、卸売というものを行う。
わかり易く説明した図を引用すると、
図を見ればわかるように、卸売業(商社)は、生産者と消費者双方の情報に接することが出来る唯一の存在だった時期が長かった。
この仕組の良い点は、卸売業がフィルタとして選別機能を果たすので(卸売業者の質次第だが)、どの卸売業者を使って小売を展開してるかで、良い商品を扱うお店と言われたり、使う卸売業者によっては、ろくな商品がないと言われるお店になったりしていた。
悪い点は、卸売業者を介することで仕入れコストが高くなるが、そもそも小売業者が単独でメーカーや生産者と取引することがタブーとされてる時代があったのだ。
そして、時代が本格的に大量生産・大量販売に移ると、広い売り場に多数の商品を陳列することが出来る立場が、最も強い力を持つようになってきた。
大量生産・大量販売になると、商品が回転することが重要になるのでとにかく買ってもらうことが重要になる。
だから、消費者が買いやすい価格を設定しようとすると、卸売業という存在そのものが中間搾取として嫌われ者になって行った。
こうして、卸売業は弱体化し、果たしていた選別機能も弱まり、一方で大量生産・大量販売で商品の回転ばかり重視されるようになると、好むと好まざるとにかかわらず、必要なものを大事に長く使うという価値観も弱体化する。
リアルな店舗では、大量生産・大量販売をさばくために、売り場を拡大するだけでなく、その見せ方にも工夫を始めたが、試行錯誤の域を出ず苦戦している。
「ビックロ」消費者もう飽きた? コラボ店の難しさ「ドンキの方が魅力的」と女子大生 (1/4ページ) 2012.10.30
家電量販大手のビックカメラとユニクロの共同店舗「ビックロ」が東京・新宿にオープンして1カ月が過ぎた。
実際に訪れた客からも「ビックとユニクロが同じビルにあるだけ」
(30代男性会社員)、
「ドン・キホーテの方がいろいろな商品を探せて魅力的」
(20代女子大生)、
「家電と衣料を無理やりこじつけた感がある」
(40代男性会社員)
など辛口の意見も聞かれるようになった。
このビックロのユニクロ店舗では、ブラックな話題もあった。
「ユニクロ潜入一年」ジャーナリスト横田増生さんに聞く 柳井社長は「全能の神」、いまだにサビ残も 2017年10月27日
柳井さんは「全能の神」で、柳井さんの言うことは「神のお告げ」です。ユニクロでは柳井さんの決定が全てなんです。
スーパーバイザークラス以上になると、ユニクロ教にはまっている人ばかりですよ。「柳井さんの言っていることは全て正しい」と思っていないとやっていけないでしょう。トップの言うことに疑問を持たないという意味では、カルトに近いかもしれませんね。
ブラック労働を簡単に論じることは難しいかもしれないが、私はブラックな環境は経営者の人間性がもたらすものだと思っていたし、そんな気質をサイコパス的だと思っていた、そして世間の多くもそう感じているだろう。
しかし、今回Amazonを分析するプロセスで感じたことは、大量生産・大量販売は、現場に商品の回転率を上げることを過剰に要求する下地が強いことを改めて意識したが、このプレッシャーがブラックにつながるのだろうということだ。
消費者に不必要なものを、大量に売ることで成り立つシステムの上に現代は成り立っているのかもしれない。
そんなリアル店舗業界で、一人気を吐くのがドン・キホーテだと言われてる。
GMSの新たなる覇者「ドン・キホーテ」に学ぶ 2018年2月6日
では、その強さの秘密は何か。
まず、誰もが「安さ」というだろうが、DSとして低価格を一貫して追求する一方で、安さを意図的に演出している点も見逃してはいけない。
お客に伝わらない意味のない「安さ」はいくら展開しても効果を発揮しないが、意味のある安さは必ず伝わる。安さに意味付けする重要性をドンキは熟知しているのだ。
また、「消費者の価格に対する意識が高いとしたらコンビニはとっくにつぶれている。意識が高まっているのではなく、競争が意識を高め、潜在需要を喚起する」(大原社長)の考えが、さらなる低価格へ挑む原動力となっている。
この、ドン・キホーテ流の展開とAmazonを比べた場合の違いは何になるのだろうか?
最大の違いは、来店の必要があるかないかだろうが、それは当たり前過ぎるので外すと、何があるだろうか?
私はごくたまにAmazonを使うことがある程度のユーザーなので、私の意見はピント外れになるかもしれないので、いろいろ探しているとAmazonの中に参考になりそうな質問が寄せられていた。
アマゾンの魅力が無くなってきていると感じるのは私だけでしょうか? 2017年11月
非常に抽象的な質問で申し訳ありません。
私はアマゾンの全体的な質の低下を感じ危惧しております。
数年前は購入者としても魅力的であったと感じています。
購入者としても利用しますがプライム配送の期日の遅れ、目だってきています。
また、タイムセールなどは欲しい商品が全然ない、これは私だけかも知れませっが。
相対的にヤフーやその他のサイトの魅力が増しているように感じます。
当方、アマゾン以外にもヤフーでも販売していますが安定的によく売れます。
アマゾンの最近の不安定さも、そう感じさせるのかも知れません。
感覚的な事で誠に申し訳なく思いますが、このように感じるのが一般の感覚とずれているのか
ご教授頂ければと思います。
詳しくは、リンク先を見て頂くとして、回答者の答えから気になるところを抜粋すると、
・まだ誰も知らない物。
・多くの人がそれを欲しいと感じる物。
それに対応出来るのはメーカー(オリジナル商品)、
あるいは信頼できる工場との直接契約(OEM)、
且つブランド登録は必須と、セラーとして生き残るには徐々にハードルが高くなるのかも、です。
アラフォー男の私としてもメルカリ、魅力的に思えます。
ヤフーもポイントなど頑張ってる感じが好感を持てます。
また手数料も比較的安く、良く売れる感じもしてます。ちょっと発送が面倒ですが。
それに比べ、アマゾンはと思います。
年齢によりアマゾンに魅力を感じなくなったのかとも思いましたが相対的に薄れたのが実際のようです。
転売に対策をすると言う態度の割には
Amazon自体が悪質な転売ヤーを下回る出品クォリティです。
価格最重要視のアマゾンですから低品質になるのは道理です。
アマゾンの低下→購入者の低下→出品者の低下→アマゾンの低下→購入者の低下→出品者の低下
今のところアマゾンでの購入は「問答無用で返品できるし、返品に手間がかからない」ことが最大の
理由になっています。セラーからしたら嫌な客ですが…
Amazonって 注文してすぐ届く!
それ以外の 魅力が激変していると思います。
街でも買える品。それが家にいながら注文して、すぐ届く!そこだけが魅力のAmazon。
購入者として Amazonのマーケットプライスは ツマラナく。セラーとしては、薄利でも売れた喜びで励める場所では無くなっています。
こうやって見ると、Amazonですら決して一人勝ちとは言えなそうな現実が見えてくる。
Amazonの次がどうなるかを考えようと思ったが、Amazonの次を考えることは、大量生産・大量販売の次がどうなるかだ。
上記回答者の最初に引用した方が書いているように、オリジナル商品をつくる人や企業に価値が移るような気がする。
コピーが可能かどうかはあまり意味がないだろう。
オリジナルが価値を持つ時代になると、製作者に直接注文や依頼が入るようになるだろう。
Amazonのようなプラットフォームは、どうでもいいもの専用のチャンネルの一つにしかならないような気がする。