ビジネスの取引形態には、大きく三つある。
B=ビジネス=法人、C=消費者(Consumer)=エンドユーザー、と表現した場合、
BtoB
BtoC
CtoC
の三つの形態が考えられる。
CtoCは、昔は個人売買と言われて存在はしていたが、市場を形成するほどではなかった。
しかし、インターネットの普及がC(=消費者)にビジネスチャンスの可能性を広げさせ始めた。
そして、スマホの普及とアプリの進化で、Cがビジネスの鍵を握るようになってきた。
CtoCの顕在化は、BとCの境界を曖昧にするようになった。
Bがプロであるのに対し、本来のCは素人(しろうと)で保護の対象であったが、現在では、Cはセミプロ化し、純粋な素人はリテラシー不足と言われるようになってきた。
この、素人のセミプロ化について考えていたら、発祥は男女の出会いの場のような気がしてきた。
あまり昔に遡ってもリアリティがないかもしれないので、インターネット普及直前の時期として90年台半ば頃をスタート地点にしてみたい。
その頃の『即物的』な出会いは、街角での直接ナンパとテレクラでアポイントを取り付けての待ち合わせがほとんどだったと思う。
この二つの特徴がわかるだろうか?
出会いが成立するための重要な要素がトーク力であり、しゃべり方など、声が作り出す世界観が決め手だったのだ。
私もテレクラは何度も経験がある。
仕事仲間に誘われて、営業トークを鍛える訓練だと言われ、最初はいやいやだったが、徐々に楽しさを感じるようになった。
おもしろかったのは、声のみが作り出す世界が全てで、本当とウソがごちゃまぜで話の内容だけでは判断できないことが多いのだ。
私は、キャラの使い分けなどウソを付くのが下手なのでしなかったが、仕事仲間は複数のプロフィールを準備し、相手の声を聞いてその声で使うプロフィールを変えていると言っていた。
テレクラを通じて出会えた女性は、ほぼ100%援助交際目的だった。
援助交際ということばは、1996年の流行語大賞になっている。
私は、出会った女性に必ず聞くことがあった。
どうして会ったのか?
怖くないのか?
これに対して、女性のほぼ全てが同じことを答えたが、声やしゃべり方で危険かどうかを判断してると言っていた、もちろん失敗することもあるらしいが。
また、1日に3回同じ女性と話をしたことがあるが、3回目にはお互いの声を聞いた瞬間に両方共笑いだし、その女性は「ごめんね、わたしサクラなんだ!」と言った。
このサクラの女性ともその後、待ち合わせて会ったが、会った理由は、「声の感じとしゃべり方が悪い人ではなさそうだったから」だった。
何が言いたくてこんな話をしてるかと言うと、しゃべってる内容で勝負してるつもりだったが、ポイントを上げていたのは、しゃべり方であり声質で、そこに安心感を感じてくれたから会えたのだ、トーク力というのはあまり問われてなかったのだと思う。
Google Trendsで"援助交際"と"売春"を見ると、
インターネットが普及すると、出会いの場は"出会い系"と言われるようになり、声を使わずに文字でコミュニケーションを取るようになり、私には全く無縁の世界になっていった。
"出会い系"を加えて比較すると、
この"援助交際"ということばの普及が、Cのセミプロ化を助長したのではないかと思えてしょうがない。
プロにせよ、セミプロにせよ、コミュニケーションが文字中心になると、文字で表現されるプロフィールが重要になる。
声が膨らませた妄想は、文字に置き換わると、プロフィールを頼るようになる。
出会い系でプロフィールが重視されるようになると、そこは新たな狩場になる。
新たな狩場が出現したことで、Cのセミプロ化だけでなく、Bが素人を装うことも増えたようだ。
個人情報と言われると警戒し、簡単に見せるものではないという認識が広まっているが、下心があったり、ビジネス上必要であれば簡単にプロフィールをさらけ出しているかもしれない。
街中やカフェで、ビジネスパーソンが電話をしていると、ついつい聞き耳を立ててしまうが、最近の傾向として、やたらに丁寧な言葉のオンパレードで結局中身は何だったの?という会話が多いような気がする。
明らかに、声でのコミュニケーションが下手になっていると感じる。
"プロフィール"と"声"を加えて比較すると、
インターネットの普及が、コミュニケーションを文字中心にシフトさせたことで、現代人は実績を織り交ぜて絶えずプロフィールをアピールしなければいけなくなっている。
文字もことばもウソをつき出すとキリがないが、過剰に文字だらけの世界になったことで、「声」の潜在需要が増しているような気がする。