このような記事があった。
「恋愛、結婚、出産」をあきらめる「3放世代」。30~34歳女性で37.5%(2015年)に上昇した未婚比率。韓国で一人の女性が生涯に産む子供の数(合計特殊出生率)は2018年に0.98と、世界でも最低水準になりました。https://t.co/C4YNpH9OdL pic.twitter.com/9LAQgmW95K
— 日本経済新聞 電子版 (@nikkei) February 28, 2019
少子化は都市化した国に共通する問題でもあるので韓国に限らないが、少子化を語る際に『合計特殊出生率』という単語が用いられる。
基本的な考え方として、父親と母親の組み合わせから何人の子供が生まれるかの指標で、これが2を切ると人口の減少が始まるとされる、父と母の二人に対して二人の子供が生まれれば人口が維持されるという考えがベースにあるが、現実には様々な要素を考慮に入れる必要がある。
そこでそんな事情を考慮に入れると、子供を産めるのは女性だけなので女性だけが対象になるが、考慮される条件は、
・15歳〜49歳の女性が対象
・対象の女性が50歳になるまで計測(観測)
・生まれる子供の男女比(男性が若干高い)
これらを考慮に入れると、先進国では2.07が人口を維持するために必要な合計特殊出生率とされるとウィキペディアには書いてあるが、この数字には要出典という注釈が付けられている。
合計特殊出生率がいつから観測され始めたのかは検索しても不明だったが、ウィキペディアでも厚労省の統計でも一番古いデータは1947年(昭和22年)で4.54、合計特殊出生率が2.07を切り始めたのが1974年(昭和49年)以降。
合計特殊出生率は英語で言うと”total fertility rate“、日本語で言うところの『特殊』の意味は無い。
この『特殊』が入ることで妙な空気が醸し出される気がしてくる。
そこで、『特殊〇〇』を拾ってみた。
特殊関係人
税務の世界で愛人は「特殊関係人」と呼ばれている
— peko (@peko409) July 25, 2017
1987年に公開された伊丹十三監督の映画「マルサの女」で使われたことで世間の人が初めて知った言葉が『特殊関係人』。
脱税の疑いが濃厚な会社を取り調べる際に、会社と社長や役員の自宅以外にその愛人宅にも同時に一斉に調査に入る、そんなシーンで用いられたことばだったが、意味するところは共犯者に近そうで、明確に指し示す用語が無い際にも『特殊〇〇』は重宝されていることが感じられる。
特殊清掃
特殊清掃ということばをご存知だろうか?
発見が早いきれいな遺体ではない、殺人や自殺や孤独死などの現場の清掃を意味するのが『特殊清掃』だが、葬儀屋が病院と提携するように、特殊清掃は元々は窓口は警察だったが、いつの頃からか一般的な存在になってしまった。
最近使うことが増えた遺品整理も元は特殊清掃が請け負っていた。
GoogleTrendsで検索可能な2004年以降で見ると、
特殊清掃が用語として認知されたのは2006年の夏前からだと分かる。
ちなみに、おどろおどろしい世界のようだが、
特殊清掃やってた時期はワケありで亡くなられた方の部屋の掃除とかもしてましたけど・・バリバリ血痕とか残ってるような部屋ですら霊なんて見たこと無いなぁ。
— ハルオサン (@keikubi123) February 28, 2019
ただ、霊以上に怖いのは臭いなのだ。
死人が出た部屋って、病死であれ、自殺他殺であれ、臭いが残るんだよね。特殊清掃したってわかる人はわかる。だから、みとりの家を始めるような物件は償却しきった二束三文である意味廃墟。そこに出入りする貧乏人と犯罪の匂い。治安が悪くなるのを恐れる住民はわからんでもない。
— 羆 (@mhlworz) February 22, 2019
特殊部隊
わたしを含めて一般の人が『特殊』と聞いて一番イメージしやすいのがこれでは無いだろうか。
警察や軍などの精鋭エキスパートで編成された特別な集団。
千葉県の陸上自衛隊習志野駐屯地に、テロ対策や在外邦人救出などに当たる特殊部隊と「精鋭無比」がモットーの第一空挺団を視察。飛び降り訓練と高さ70mの落下傘吊り下げ訓練も実地体験した。特に飛び降り訓練は、11mという人間が恐怖心を感じる高さからで、中々飛び込めない隊員もいると言う。 pic.twitter.com/TO2YAlfq1f
— 山田宏 自民党参議院議員 (@yamazogaikuzo) February 28, 2019
トルコ軍の特殊部隊だって pic.twitter.com/w7pji9IhEj
— 統合の失調 (@Kohler_volnt) February 22, 2019
こうやって見てくると、『特殊〇〇』はピンチでお呼びがかかるものに思えてくるが、ことばの響きが爽やかではないので裏を読みたくなってしまう。
最後にちょっと番外編として『特殊』の別の事例を紹介して終わり。
社名に『特殊』が入る企業
日本特殊陶業株式会社
大同特殊鋼株式会社
おもしろいことにどちらも名古屋が発祥であり本社の会社で、会社設立時の主力商品は電力に関係していて、『特殊』に特別な思いをかけていたことが想像される。
また社名ではないが、『特殊法人』という存在がある。
官僚の天下り先と揶揄された法人の多くが特殊法人だったりするが、批判を受け整理や廃止がされたがウィキペディアによると現在でも33の特殊法人が存在してるようだ。
特殊法人とは官僚がピンチの時に天下りできるように作っていたと思いたくなってしまう。
追記
いっぺんエントリーを上げた直後に思い出したのが、「そう言えばソープランドって特殊浴場って呼んでいたな」ということ。
日本人の『特殊』の使い方ってちょっと変かも!?
追記の追記(3月1日17:30)
他にもパチンコで出玉と交換するものに特殊景品と呼ばれるものがあり、特殊景品はパチンコ店の外の景品交換所(古物商)で現金へ換金できるというのがあるが、パチンコはしないから気付かなかった、さらに面白い事にふるさと納税の返礼品の行き過ぎが、この特殊景品の仕組みと似てるということで利権の温床として取り沙汰されてるらしい。