違う見方

新しい時代の始まり。複数の視点を持つことで、情報過多でややこしい現代をシンプルに捉えるための備忘録的ブログ。考え方は常に変化します。

競争しないという戦い方(3)

前回のエントリーで取り上げたニッチに関する補足。

 

ニッチの目安としてターゲットを1万人に1人を設定するというのを上げたが、これは一般的には専門性を持たせたり、カバーする領域を限定することで実現しようとされるだろう。

 

あるいは、汎用品に対するオーダーメイドのように。

 

時には、商品より先に、集うためのコミュニティが作られたり。

 

ニッチをビジネスとして捉える場合には、ただの狭い領域の小さい規模ではなく、定義を明確にし、何があっても手を出さないというトレードオフを設ける必要があり、その定義に強さの秘密が宿る。

 

そういう意味では、何でも屋のような存在はニッチビジネスではないと分かる。

 

トレードオフは、専門性や特殊性の裏返しでもあるのだ。

 

機械化や自動化は、専門性や特殊性を汎用化させることになる。

 

機械化や自動化で、専門性や特殊性を活かして勝負したいと思えば、超高度なプログラムなど簡単に再現できないことを武器にする必要がある。

 

他には、馴染み深い言葉になったが、『No. 1よりオンリーワン』などもある。

 

生産性や効率を重視するという考えが浸透したおかげで、コスト削減や外注が増え、できないことは任せるという価値観にシフトし、専門性や特殊性といったオンリーワン要素があれば、安売りしなくても成り立つ市場は増えてるかもしれない。

 

最近だと、セキュリティは付加価値が付くので、『ニッチ+セキュリティ』でより強固なニッチを展開できるかもしれない。

 

セキュリティは、安心や安全を広くカバーするのでアイデア次第でいろいろなことと結び付けられるだろう。

 

商品やサービスを展開するためには、流通の仕組みと料金や代金の決済や回収といった手間暇も発生するために、小規模なニッチであっても課題は発生するが、インターネットやITを活用すればこれらはコストを掛けずにクリアできるし、障害になるような「人やモノやこと」はトレードオフとしてターゲットから外せば良いだけだ。

 

ニッチのおもしろさは、衰退していく流れにあるものでも魅力を打ち出せる可能性があることだ。

 

 

その逆に、時代を味方につけると、ニッチ戦略を変えることなく最もメジャーな存在になれることもある。

 

今やメジャーなスターバックスは、日本に進出した96年当時ライバルはドトールで、ニッチ戦略を展開した。

 

ドトールよりは高い価格設定で、当時喫煙率が高く嫌煙運動も活発でない日本にも関わらず店内禁煙というニッチ戦略を展開したが、その後を見ると、ニッチ戦略は先見の明と紙一重とも言えそうだと気付く。

 

一般的には、ニッチビジネスで勝ち続けるためには、徹底的にクローズドであることが求められる。

 

さらに勝とうとクローズドな戦略をオープンに転じるタイミングを間違うと足元を掬われることが多いので、スターバックスのようなケースは例外的だと思った方が良い。

 

ニッチ戦略を取った場合は、ビジネスの成功が岐路になる。

 

競わない戦わない戦略が功を奏した途端に、競い戦う戦略を取り出そうとするからだ。

 

ニッチ戦略はビジネスだけでなく、と言うよりもむしろ個人がキャラクターやセンスで勝負するような場合にもっと当てはまるような気がする。

 

失敗事例としては、お笑いセンス抜群だと言われるクラスの人気者がお笑い芸人を目指した途端に、おもしろくないということが発覚するのと同じだ。

 

甲子園で活躍した選手がプロ野球に進んでも、それがドラフト1位であっても、人に知られることなく引退していたということは珍しくない。

 

どの世界でも、ニッチな世界で通用してる人は戦う戦略は取っていないのだ、戦ってるとすれば自分自身とであって他人とではない。

 

他人と競い戦ってる時点で、ニッチの世界では敗者となる。

 

通用する世界を間違えたら意味がないのだ。

 

しかしニッチな戦略は、組み合わせることで拡大することができる。

 

歌って踊れるサラリーマンのようなものだ。

 

優秀なサラリーマンが歌って踊れれば、歌や踊りは上手ではなくても活躍できるように、ニッチな成功が一つあれば、別の要素を付加することで唯一無二の存在領域を拡大できる。

 

 

競争しないで戦うというニッチの世界観は、令和っぽい気がする。

 

 

次は、ニッチ以外の競争しないで戦う方法を書いてみたい。

 

 

続きはこれ。

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