今年も間も無く雨の季節に入る。
すでに南の地域では大雨の被害が出ている。
そんな時には、この方の教えに耳を傾けたくなる。
尾畠さんは「体を動かして覚えたことは忘れないと思います。子どもたちには自分の命を守れて人の命も守れる人になってもらいたい」と話していました。
長生きの時代になっている。
人生100年などと言われると、生きることはありがたいことと言うよりも、リスクや課題として取り上げられるようになるし、実際にそうなっている。
尾畠さんが土のうづくりを指導したということには実に深い意味がある。
災害に限らずリスクに備えるためには、最小の労力で最大の効果が期待できることが望ましいからだ。
土のうの良い点は、作るのが簡単なので要領が分かってれば誰でも作れること、だから要領を覚えるには子供の頃に体験することが一番良い。
一方で、土のうの欠点は、作るために人手が多数必要になることと、持ち運びをするためには重いという点であり、災害が起こらなければ別途保管する場所と手間暇が必要になるという点にあるだろう。
土のうのようなものほどハイテクを駆使したシンプルな革新が可能になる。
たまたま最近こんな情報に接したばかりだった。
土のうよりはるかに軽く、簡単に設置できる洪水よけフェンス。ピースを組み合わせて、素早く設置することが可能。これ自治会の防災用品にしても便利そうだなぁ。pic.twitter.com/CSaJDpv5i1
— 咲村珠樹 Tamaki SAKIMURA (@SabreF86) May 16, 2019
土のうの効果は、事前の準備の効果でもあるように、必要なことは、必要になる前に準備ができていることが望ましい。
尾畠さんが凄いのは、途轍も無いことをやってのけるという凄さではなく、経験と勘に裏打ちされた事前の準備の目の付け所の確かさにある。
土のうづくりで話題になる一週間前には、
スーパーボランティアの尾畠春夫さん、ホームの山で竹杖300本を配る
大分県の由布岳(1583メートル)の山開き祭が12日朝、別府市の登山口であった。20年以上、登山道整備やごみ拾いなどを続けている尾畠春夫さん(79)=同県日出町=が今年も訪れ、手製の竹杖300本を登山者に配った。
災害時に活躍する尾畠さんばかりが注目されるが、尾畠さんの行動で注目すべきは事前の準備の目の付け所だ。
事前の準備というのは、計画や予想に基づく備えであるとともに、起きては困ることへの対策でもある。
最近の災害には『想定外』や『〇〇年に一度』という枕詞が付くことが増えていることを考えると、これから起こることは初体験に近いことになるかもしれない。
一方で、火山噴火の規模の大きなもの(噴火M5以上)は、桜島大正噴火以来、鹿児島だけでなく、日本という国家が経験したことがない。噴火M5以上の噴火は、災害医療だけでなく、全てのことが初体験。 https://t.co/3AnrS8TVdx
— Ryusuke IMURA (@tigers_1964) April 6, 2019
不意に訪れる突然の災害に全て対策し準備することは不可能だが、失って困るものの中には普段の生活でありがたみも感じずにいることやものが多い。
尾畠春夫さんの話題や活動が好きな人だと気付いているだろうが、私たちが日常生活で上位に序列化してる価値の多くは災害時には全くと言って良いほど役に立たないし機能しない。
ものやことだけでなく、価値観も断捨離の対象になるということを教えられる季節が始まった!