悪循環に陥ると、やっちゃいけないことばかり行い、やれば良いことを全くやろうとしなくなる。
時には人生の大半を、やっちゃいけないことばかりし続ける人がいるし、そういう人は決して少なくない。
そういう人の多くは、世間的にはまじめな人と呼ばれることが多い。
そんなまじめな人の憐れな末路を示す話が次のツイート。
たくさんの患者を診察して初めて知ったこと。社会には60歳になっても生きる目的がない人が居ること。それもものすごくたくさん。親、教師、先輩、上司に言われたことだけをやってきて、意志というものが皆無なのです。余命半年になり、余生をどう過ごしたいか聞いてみると「先生の言う通りにします。」
— エスエス (@kabushi_ss) May 22, 2019
意志が大事とことばで言うことは簡単だが、意志を伴った行動とはどういうものかを上手に説明したり伝えたりすることはとても難しい。
最近ひょんな事で、それを簡単にできるかもしれないと思える話をラジオで聞いたので、その話をしてみたい。
【きょうの一枚】ゲストのオノマトペ研究家の #藤野良孝 さんと。
— すっぴん! (@nhk_suppin) May 22, 2019
藤野さんの“魔法の言葉”でスタジオも笑顔が溢れていましたよ~!この“魔法の言葉”オノマトペの使いこなし方など、ぜひ「聴き逃しサービス」で!※18時ごろ更新https://t.co/Dfxwxsrg4G
それではまた明日のTwitterで! #nhk_suppin pic.twitter.com/Y98C6c6Dza
このラジオの中でされていた話がおもしろかったので紹介してみたい。
オノマトペとは
オノマトペとは、フランス語由来で擬声語を意味し、擬声語には擬音語と擬態語の二つがある。
擬音語とは「犬がワンワン」「ガラガラ崩れる」など動物の声や物音を表す。
擬態語とは、「お風呂でサッパリ」「誕生日プレゼントでビックリ」など、物事の様子や心情を表す。
そして、これらの中でも運動を円滑にしたり、大きな力を発揮しやすくするなど、体に働きかけるオノマトペを『スポーツオノマトペ』と藤野さんは命名し、その研究に取り組んでいる。
アスリートが競技中に声を出すのはなぜか?
声を出さないと、パフォーマンスが十分に発揮できないというのは今や当然の真実として認知されてるが、やり方を間違うと昔ながらのシゴキと映ってしまうだろう、というのは私の感想。
藤野さんは、ハンマー投げの室伏広治さんを研究対象にしていて、記録と声の出し方や声の周波数との間に関係があると言っている。
声の出が弱いときは、記録は全くダメ。
また、声を出そうと気持ちは準備出来ていても回転のタイミングが合わないと声が出ないと室伏さんは言ってるらしい。
姿勢やタイミングがずれると声の出が悪くなり、出る声の周波数も悪くなるというのがその理由だ。
午前中ラジオから、スポーツオノマトペの研究をされているという方の声が流れてきた。声を發する事で通常は押さえ込まれているのリミッターが解除される。砲丸投げの室伏さんを例に話されていた。彼の発する周波数を聴けば調子がわかるという。
— 増子博子/側の器 (@bonsaiKO) May 22, 2019
そういえば持ってる本にも書いてあった。 pic.twitter.com/tpXarcqk5a
卓球の選手も最近声を出す選手が増えているが、これは呼吸法が関係していて、テレビ等で見てると相手を威嚇してるように見えるが、あれは息をしっかり吸い込んでなければ出ない種類の声なので、威嚇と言うよりは自身がリラックスを得るための効果が高いらしい。
体が柔軟になる声の出し方
猫の鳴き声のように「ニャ〜〜」と言いながら体を曲げると、いつもより曲がるというのを実際にスタジオでやっていた。
「フニャフニャ」「クニャクニャ」「グニャグニャ」のように「ニャ」が付く音は、体の力を抜く作用があるというのは実験でエビデンスも確認されてるとのこと。
幼稚園児に跳び箱を跳ばせる声の出し方
幼稚園児が跳び箱を跳べないのは恐怖心があるから。
声と動作を連動させることを覚えさせ脳内のイメージを作り上げると、人間は声を出しながら恐怖を感じることはできないらしいので、声を出すことに集中させると跳び箱が跳べるようになるらしい。
その時のオノマトペが、
「さあ〜」「タン」「パッ」「トンっ」
「さあ〜」は、助走を勢いづかせるがこれでは勢いが乗らない子には「さあ〜〜〜〜」と言うように勧めると勢いがつくらしい。
「タン」はジャンプする時だが、できない子は片足でジャンプしようとするので、そう言うときは「タンタン」と教えると両足で踏み切るようになるらしい。
「パッ」は跳び箱に手をつくタイミングの音だが、この時に跳び箱の手前に手をついて跳べない子の場合は、「パッ〜〜」と教えると跳び箱の奥に手を持っていけるようになるらしい。
「トンっ」は着地で、この一連の動作を声を出すこととセットで覚えると恐怖感の克服がしやすいとのこと。
リスナーの方から寄せられた『バスケットボールのシュートが上手くなりたい』との質問。#藤野良孝 さん、オノマトペ【タン、タン、フワ~】と言いながらやるのがいいのではとアドバイス。短距離走など全力疾走の時は【口を開けながら】と目からウロコな情報が盛りだくさんです! #nhk_suppin pic.twitter.com/LliNVjElBX
— すっぴん! (@nhk_suppin) May 22, 2019
オノマトペは上手に使えると、行動を促す効果が高い。
頭では分かってるけどやる気にならないなんて言うのは、子供だけでなく大人にとっても大きなテーマだが、そういう時にオノマトペを活用できることは知らないと大損かもしれない。
過剰に意識し過ぎることが災いする場合は、脳内で行われる作業が裏目に出てるので、そのような場合は脳とのやりとりを遮断した方が良く、手っ取り早い遮断方法が声を出す(=音にする)ということだ。
脳科学者が「脳を活性化させる」と考えてることの多くは、実際に現場でやろうとしてる人々にとっては裏目にでることの方が多い。
運動の理屈を先に学んで体が動くわけではなく、実際体の動きを分析したら後付けの理屈が出来上がったというのが順番だ。
理屈を先に確認して行動しても上手くいかない場合は、理屈を排除して自分なりのオノマトペを作ることを考えた方が良いかもしれない。
オノマトペが成功する可能性が高い場合は、イメージトレーニングの出来が良いことを示している。
オノマトペで指導やアドバイスをすることはまだまだマイナーなので長嶋茂雄さんがバッティングのアドバイスで「球がビュッと来たらブンっとバットを振ってカーンと打てば良いんだよ」と言ったことが笑い話として語り継がれているのと同じような扱いを受けている。
一周遅れてるようで、実は一周先を行ってるのがオノマトペかもしれない。
幼児教育で顕著な効果が出てるようだが、むしろ大人にこそ必要なものかもしれない。
何事も、理屈よりも先に感覚的に捉えることが大事なのかもしれない。