リラックスすることが大事であることをさまざまなメディアが伝えているし、緊張する現場で活躍するトッププロもリラックスがパフォーマンスを発揮するためには重要だと力説する。
こうすればリラックスできるという話はたくさんあるが、果たして効果的にリラックスできているだろうか?
わたしがリラックスということを意識したきっかけはスティーブ・ジョブズだ。
iPadがリリースされた時に、「iPadはPCに置き換わるものか?」という質問を受けた際に、スティーブ・ジョブズは「Lean-BackStyle」と答えた。
これは、「リラックスする」と訳されていたが、それよりも反対語にあたるLean-Forwardを想像する方が分かりやすい。
Lean-Forwardは、机に向かって勉強する姿勢。
少し前屈みになった姿勢で、「さあ、やるぞ」という気持ちが現れた姿勢だと言える。
つまり、リラックスとは「さあ、やるぞ」という気持ちの反対側に存在してるのだ。
一生懸命でまじめが美徳とされる日本人は、何事であれやるからには一生懸命にまじめに取り組もうとする。
何事にもLean-Forwardで取り組もうとする日本人は、Lean−Backもやるからには一生懸命だろう、だからリラックスできないのではないだろうか?
一般的には太っていて運動不足の人が患うのが高血圧だと言われるが、さほど太っていない日本人に高血圧は多い。
日本では高血圧患者が多く、平成22年に行われた厚生労働省による国民健康・栄養調査では、30歳以上の男性の60%、女性の45%が高血圧であるとされています(図)。年齢とともに高血圧患者の割合は増加しますが、特に男性では30代でも5人に1人、40代では3人に1人が高血圧であり、中壮年期においてもきわめて有病率が高くなっています。また、女性でも50代から高血圧患者が増え始め、60代以降は男性と同じくらいの割合が高血圧と考えられます。
別の国内の調査では、日本人全体として高血圧患者は約4,300万人いると推定されており1)、日本人のおよそ3人に1人が高血圧という状況です。
WHOの調査によると、18歳以上で高血圧の人の割合は、日本では男性21.4%、女性12.7%とされています。これは、ドイツ(男性:24.2%、女性:14.9%)やフランス(男性:26.3%、女性:16.0%)よりもやや低い割合ですが、米国(男性:15.9%、女性:11.1%)や英国(男性:18.0%、女性:12.5%)、韓国(男性:13.2%、女性:8.4%)などよりも高い割合となっています3)。
引用は二つとも下記のサイトから。
https://www.healthcare.omron.co.jp/zeroevents/bloodpressurelab_basic/contents1/314.html
わたしには、リラックスできないことと高血圧の間には強い関係があると思えてならない。
日本人の場合、リラックスしようとしてもまじめに一生懸命にリラックスしようとして、かえって逆のことをやっている人が多いように思える。
高血圧の中に早朝高血圧がある。
朝起きて、これから活動するから血圧は上がって当然なのだが、早朝高血圧の中には、夜寝てる間に血圧が下がらない人がいる。
そのような人は、寝ている時でさえリラックスできていないのだ。
何事にも一生懸命でまじめな人は、悩み事や心配事ができるとこれにも一生懸命取り組んでしまう。
何事にも一生懸命でまじめな人に悩みや心配を探すことにも一生懸命なので、一生懸命地獄から抜け出せず、血圧も上がりっぱなしでリラックスからどんどん遠ざかる。
一生懸命にリラックスに取り組むことは、ただのストレスにしかならない、そんな人が大勢いるような気がする。
自分で自分のことをまじめで一生懸命なタイプだと思う人は、その生き方を改めることが必要かもしれない。
良かれと思った生き方が、自分を蝕んでいるとするならば、早くそのことに気付いた方が良い。
残酷なことに、力を抜くだけで良いはずのリラックスにも、センスと才能が求められるのだ。