芸能界(今のところ吉本興業中心)の闇営業の実態がゆっくりと拡大されながら暴露されている。
闇営業は、芸能人の劣悪なギャラ事情を背景にした自助努力の失敗のケースとして取り上げられることが多いようで、同情も寄せられている。
一般的には、供給側としての芸能人の心の隙間が突かれてたと見る報道が多いが、供給側の事情だけで市場は動かないので、そこには自ずと需要側の理屈とセットで機能しているはずだ。
現在の日本は、口先ではイノベーションを望むようなことを言いながらも実際には保守化が強い。
だから、意外と昔ながらの手法が根強く生き残っている。
日本には、人が集まる場にはサクラと呼ばれる囮の盛り上げ役がいることが文化としてある。
良く言えば、盛り上げるためのサービス精神だと言えるし、悪く捉えれば賑わいを演出して客を騙す行為と言われることもある。
現代は、あらゆることがビジネス化し、サービス産業化している。
人も物も金(かね)も情報も賑わうところに集まることが多い。
闇営業の需要側である反社会組織や詐欺グループは賑わいを欲するという事情がある。
闇営業にそれなりのギャラが払われるような場合は、闇営業自体が一つのビジネスとして費用対効果が求められるはずだ。
ワイドショーなどでは、芸能人を呼んで遊ぶことで自分を大きく見せたがっているという話もあるが、それはあったとしても二の次のはずだ。
支払うギャラは投資に当たり、投資額以上の回収を考えているはずだ。
反社会組織や詐欺グループのパーティに参加してる人の中には、カモ予備軍が呼ばれているはずで、彼ら彼女らはエンドユーザーとしての被害者予備軍であるとともに、詐欺ビジネスにFC(フランチャイズ)的に加担するための予備軍がいると想像できる。
賑やかで、華やかで、芸能人と友達のように親しく振る舞う姿は社会的な成功者と勘違いさせるに十分なインパクトがあるはずだ。
闇営業は巧妙に仕組まれていて、芸能人の弱みを突いて仕掛けられるが、仕掛ける側はノリで浮かれたように振舞っていても実は細かい計算が働いているので、関わりを持つことはアリ地獄の罠に落ちるようなものだ。
人間関係が希薄になってると言われる現代だが、SNS上では人間関係のアピール合戦に余念がない人も多い。
芸能人や闇営業に限らず、一般人でもアリ地獄は仕掛けられている。
アリ地獄の入り口には人間関係があり、そこには落とし穴が仕掛けられている。
人を信じることは重要だが、それ以上に遥かに重要なことは、信じられる人を見極めること。
不満が動機になる場合や、不満に対する反動で行動する場合は、動機に勢いと力強さが宿るが、その勢いと力強さは足元を掬われると倍になって戻ってくる。
闇やブラックの需要と供給に忍び寄ってくる人間関係には要注意だ!