違う見方

新しい時代の始まり。複数の視点を持つことで、情報過多でややこしい現代をシンプルに捉えるための備忘録的ブログ。考え方は常に変化します。

『サーフィン』タイプの次は?

昭和の頃は、一つのことに一生懸命長期間取り組むことが当たり前だった。

 

一途にコツコツと取り組み、中には生涯かけて取り組むライフワークなんていうものが今よりももっと身近な存在だったことをかろうじて覚えている。

 

時間に対する感覚も今とは違っていたはずだ。

 

それに対して現代は、サーフィンをやるように、今来ている波を掴むことが大事で、少し前まで良い波だったとしてもあっという間に消え去ってしまうことが当たり前になった。

 

波を掴み乗り換えるような行動が顕著になり始めた境目の時期を覚えている。

 

時期は90年代の半ば頃、当時の仕事柄中小企業の経営者と会うことが多かったが、この時期から儲かってる中小企業の経営者の考え方が変わり始めたことを覚えている。

 

儲かってる中小企業の経営者の関心は、限りなく脱税に近いレベルの節税だったのが、手元に残るキャッシュを増やすことに変化して行ったのだ。

 

そのような変化をした経営者は、「2〜3年先までは見えるが5年後が全く見えない」と言い出したのだ。

 

中小企業の経営者の多くは、自社よりも大きな企業から仕事を獲得していたのだが、それらの会社が不安定になり出したからだ。

 

その当時は、バブル崩壊の余波だと思っていたが、実際には乗っていた波そのものが減衰し始めていたのだが、当時の人々はそのような変化に不慣れだったから何が起きているのかがよく分かっていなかった。

 

その頃から以降、一つのことに一途に打ち込むことは評価され辛くなって行った。

 

良し悪しは別にして、情報がタイムラインを駆け抜けあっと言う間に情報の鮮度が薄れる中で、いかに役に立つ情報を掴むか、あるいは発信した情報をいかに掴ませるかが重要になったのが現代だ。

 

波を乗り換える行為は長い時間をかけて行うことはできないので、瞬時に近い短時間で判断しなければいけなくなる。

 

今となってはビジネスに関しては当たり前になったこの行動は、ビジネス以外の例えば恋愛に関してはどうだろうか?

 

次から次に付き合う相手を替えると言う人が少なからずいるが、彼ら彼女らは世間一般では褒められる存在ではないが、改めて考えると時流に乗っているのかもしれない。

 

 

次から次に波を乗り換えるサーフィンのように気持ちが変化することは「移り気」や「浮気」と呼ばれ蔑まれるが、変化するのが気持ちではなく考えや価値観だとすると、成長に近い前向きな変化と捉えられることが多い。

 

長生きすると、それなりの思い入れを持って取り組んだことの多くが、すでにやめていたり、別のものに移っていたりする。

 

反対に、何の思い入れも持っていなかったのに、無くなりかけると必死で取り戻そうとする『健康』や『自由』や『故郷(ふるさと)』みたいなものもある。

 

世の中には、乗り換えるのが上手なタイプと下手なタイプがいる。

 

私は、乗り換えることに罪悪感を感じる乗り換え下手だが、特に執着もしないので、思い入れが無くなると自然消滅するタイプ。

 

次から次に良い波に乗り換えるサーフィンタイプの時代になって既に25年が経過していることを考えると、そろそろ新しい動きが発生するかもしれないと思えてくる。