親子関係にも友達関係にも駆け引きは存在する。
当然ながら恋愛関係やビジネスの利害関係にはさらに強力な駆け引きが生じる。
相手のことを駆け引きではなく真に思いやることが最良の結果をもたらすという考え方がビジネス界の一部にはあるが、そのような関係性が成立するためには関係者の全てに『心の余裕』がなければならない。
しかし、弱肉強食や競争という面ばかりが強調されるような界隈には『心の余裕』の無い人が非常に多い。
そして、『心の余裕』が無い人ほど自分が持っている余裕をアピールしてくる傾向が強い。
こんなことを思い出したのはこの記事を読んだから。
「マルチ商法」に引っかかる人の意外な心理、被害者が後を絶たない理由
マッチングアプリに街コン、見知らぬ男女が相席する居酒屋……。“出会い”をもたらすサービスが増える中で、筆者は思ったことがある。「マルチ商法」の勧誘の多さだ。
オレオレ詐欺に代表される詐欺は犯罪で、悪いのは犯人の側なのだが、世間は被害者を非難することが多い。
「どうしてそんな嘘に騙されるのか?、心に隙があるからだ」と。
心に隙があるというのは、思慮が足りなかったり、判断を間違ったりということを意味することが多いが、これはあくまでも当事者ではないからこその指摘なのだ。
恋愛の世界ではジェットコースター理論とか吊り橋理論といわれるものがある。
一緒にドキドキを体験すると感情が盛り上がり恋愛に発展しやすいという理論だ。
騙されたり被害に遭うということにもこの理論は働くような気がする。
マルチの勧誘や詐欺の持ち掛け方にも上手い下手があるだろう、多分下手な人の被害に遭うことは殆どないはず。
しかし、上手い人の場合話術が巧みだというよりも、役者が自分の役を熱演するような迫力と臨場感があるはずだ。
騙したり、勧誘する方だって必死なのだ。
きっと、素の自分とは違う人格が出てるかもしれない。
マルチや詐欺の手法は広く知られているのに被害が後を絶たないのは、ジェットコースター理論や吊り橋理論が働いて、騙したり勧誘する側と騙されたり勧誘されたりする側の間に奇妙な同調が成立するからなのかもしれない。
つまり、一方的に隙があってそこを突かれたと言うよりも、自分から誘いに乗ってしまっているのだ。
何が同調を誘うのかというと、不満や悩みや心配事や寂しさなどのネガティブな抱えている感情がそうさせるのだ。
はっきりとした自覚すら持っていないネガティブ感情もあるだろう。
これらのネガティブ感情は、隙間風となって常に心の中を吹き抜けている。
この隙間風とシンクロしやすいのがドキドキだ。
ドキドキにもさまざまあり、嬉しいドキドキ、怖いドキドキ、不愉快なドキドキ、心配なドキドキなどがあるが、どれも心理学的には似た作用をもたらすらしい。
このドキドキが持続してる時に掛けられることばが魔力を持つことで悲喜交々の光景が生まれるのだ。
ちなみに、ジェットコースターや吊り橋でのドキドキの持続時間は女性の方が圧倒的に短いらしいので、男性が余韻に浸ってる間に女性は覚めてしまうらしい。