1850年頃のカリフォルニアで起きていたのがゴールドラッシュ。
1848年に金が発見されたと報じられたことで、アメリカ国内だけでなく海外からも金の採掘を目指す人が大量にカリフォルニアに入った、その数30万人と言われている。
現在の基準からすると30万人というのは大した数字ではないような気がするが、金が採掘できると話題になる前のサンフランシスコは人口200人程度の開拓地だったらしいのだ。
Wikipediaによると、1846年に人口200人だったサンフランシスコは1848年には1000人になり1850年には常住人口で2万5000人になり1852年には人口3万6000人の都市になっていたとある。
現代を基準にするとスケールが小さく感じられる話だが、人口の急増は発展するだけではなく歪みも拡大することにつながる。
私たちが映画やドラマのサクセスストーリーで耳にするアメリカンドリームは、金を採掘して大成功しようというカリフォルニアドリームが由来らしい。
少し前置きが長くなったが、一攫千金を夢見て多数が訪れた金の採掘現場の周辺では、採掘に従事する人よりも、採掘者を相手にしたビジネスの方が実は儲かっていたという話がある。
これが有名なツルハシ理論で、
今日は #ゴールドラッシュの日
— えみ♨脱ぐフルエンサー (@emicc4) January 23, 2019
170年ほど前、アメリカ・カリフォルニア州の川底で砂金が見つかって、ツルハシもった作業員が一攫千金夢見て殺到したそうです。
大富豪になれた者はごく一部で、1番儲かったのはツルハシ屋だという話。
これ、今の暗号資産界隈と同じ。www
リーバイスですね RT @yomi_nuxx: 「ゴールドラッシュで一番儲けたのがツルハシやデニムを売った人たち」ってのと同じですね。 RT @TomoMachi: 自己啓発書やビジネス書は書いて儲けるもので、読んでも儲からない。
— 町山智浩 (@TomoMachi) June 3, 2011
現代はとにかく結果が出ることが大事で、結果を出すために何をやるかはあまり問われない。
この“あまり問われない”を拡大解釈すると犯罪に片脚を突っ込むことになるが、その傾向は当分続くことになるだろうと思える。
そんな、とにかく結果が求められる現代では、『こうすれば結果が出ます』という秘策を求めてる人が非常に多い。
結果を求める人が砂金の採掘をする人ならば、秘策を扱う人はツルハシを売っていた人に近いかもしれない。
ダイエットに関して結果を請け負うことで評判になったライザップは、何が魅力だったかというと『結果にコミット』と謳ったことだ。
意味としては『結果に責任を持ちます』になるだろうか?
決して『結果を保証します』ではないが、それに近づける意思が感じられる。
世の中には、結果が出ることを期待させるが、決して結果にコミットしないツルハシビジネスがたくさん増えている。
コンサルタント、コーチング、アドバイザー、サポート、カウンセラー、コンシェルジュ、などなど呼び名は様々で本来の意味とは違って使われてるものもあるが、悪意のある言い方を敢えてするならば、迷える仔羊をカモにするビジネスだ。
結果にコミットすることがビジネスなのではなく、結果の手前のプロセスに関わることがそれらのビジネスなのだ。
砂金を採掘したい人にツルハシを売るだけならば必要な道具になるが、それに何が付随してるかが評価の分かれ目になるだろう。
砂金の採掘の何が大勢の人を惹きつけたかというと、金の希少性だ。
希少なものに人が群がったこと自体は、非常にシンプルな行動原理に基づいているが、現代人が群がろうとしてるものはシンプルな理屈の上に鎮座する付加価値であるように見える。
付加価値というよく見えないものを求めて彷徨っているのだ。
あなたにとっての付加価値はこれではないですか?と、金の斧を差し出すのがコンサルやコーチング等の役割だ。
付加価値は資産価値に置き換えて評価されるが、大元はコミュニケーションから生まれることが多い。
コミュニケーションには人間心理が絡み、人間心理が絡むということは心理学的に体系付けられるので、今も昔もほとんど同じでコンテンツ的にはほぼ出尽くしている。
ライザップがダイエットに関して結果にコミットできたのは、糖質制限の辛さに付き纏う怠け癖をコミュニケーションで防いでいたからだ。
私たちは、結果にコミットしないしないものに付加価値を感じる迷える仔羊で、歴史的には同じことを繰り返している。