生産性や効率を優先させると、お手本やモデルケースを求めるようになる。
そして、そのお手本やモデルケースを見習い同じことをしようとする。
真似をしたり、パクったりというのは、生存戦略でもあるのだ。
一方、真似をされる側は優位を確保するために真似をされないようにパクられないようにするので自然と、同じことをする、似たようなことをするという競争が活発になる。
生産性や効率を意識すると、同じことや似たことに価値を見出すようになるのは、時間を掛けたくないからだ。
何に時間を掛けたくないかというと、試行錯誤に対して。
つまり、もっともらしい言い方をすると研究開発が嫌がられているのだ。
生産性や効率を優先させるという姿勢は、オリジナルの強みを持っていないからとも言えるだろう。
昨今のビジネス界では、勝ち誇ったように『生産性や効率を重視する』と宣言する日本人経営者が多いが、これは経営者としては敗北宣言に他ならない。
生産性や効率を過度に重視すると、行き着く先は『理想は搾取』となる。
同じことをしようと望む場合、重要なことは再現性だ。
再現性があるということは答えがあるということで、再現するためのマニュアル化が可能だということ。
生産性や効率を重視すると、マニュアル化に頼るようになり、試行錯誤を評価しなくなる。
大量生産に対する幻想から抜け出せないのだ。
まさに今の日本。
Think Different、そんな日本型の価値観の真反対に位置する価値観だ。
スティーブ・ジョブズが何を考え「Think Different」の制作にあたったか
動画でジョブズは「マーケティングはバリューがすべて」であり、マーケティングにおける最大の成功例はナイキだと話した。ナイキの広告は、自社プロダクトには一切触れず、アスリート、そしてスポーツの素晴らしさを讃えることに終始している。ジョブズによると、それがナイキのコアバリューで、彼らの存在理由であり、それを伝えることによって人々はナイキと聞いたときに単に靴会社だけではない感情を覚えるのだと説明する。
大量生産とは、同じの大量再現。
これに毒される(=慣れる)と、違うことを恐れるようになり、違うことに価値を見出せなくなる。
同じものやことを大量生産するのはマニュアルに従うことで、それは一人一人が自分で考えることを否定した上に成り立っている。
このマニュアルによく似た存在に感じられるのが資格。
GoogleTrendsで見ると、検索可能な2004年以降、検索レベルでは高値安定に見える。
ちなみにマニュアルも加えて比較すると、
マニュアルは緩やかな減少傾向にあるようにも感じられる。
ちょっと余談だが、キーワードとしてのマニュアルには、車のギアの手動変速も含まれている。
一般的なマニュアルというのがそれに従えば良いという自動化されたオートマチックな印象があるのに、車のギアの変速に限って手動がマニュアルと呼ばれることにミスマッチが感じられる。
手動変速をマニュアルと呼び始めた頃は、まだオートマチック変速が普及してなかったからだろうか?
Think Differentは日本でも増えていると思うがまだまだ潜在的で顕在化したうねりを産むには至っていない。
このツイートにいいねが5万人か…今はまだこういう価値観の人が多数派なのかもね。でも日本はきっと新しい価値観に変わっていくよ。ふなごさんや木村さんや支援者周辺の人たちってまるでジョブズのthink differentの人たちだよ。日本を前に進めてくれたと思ってる。 https://t.co/alQodWtEsx
— ishicoro (@ishicoroff) 2019年7月27日
Think Different、なにも大上段に振りかぶる必要はない。
違うことが大事なのだから恐れるものはなにもない。
しかし、具体的なヒントは少し欲しいかもしれない。
このような反応の仕方が日本人的と言えるかもしれないが、ヒントらしきことばを紹介して終わり。
いかに「人と違うことを考える」かが重要になる。
しかし、そのためには「人と違うことを考える」とはそもそもどういうことかを知っていなければならない。
私たち日本人はすぐに質を高めたくなる。でも和歌がそうであったように、一度質を高めてしまうとそこから庶民に横展開するのは極めて難しい。これはビジネスにも同じことが言える