コロナ前の最近10年くらいに顕著になっていたのがグローバル化だが、グローバル化は生産や労働の移転というビジネス的な側面がクローズアップされやすいが、ツーリズムという観点で捉えると私的な側面が色濃く浮き上がる。
従来の目的地ありきの観光以外の観光が非常に増えていた。
そのようなものは、〇〇ツーリズムと呼ばれることが多い。
近年では、〇〇ツーリズムの中心にスポーツツーリズムがあり、オリンピックや各種のワールドカップや世界選手権という大会は、スポーツイベントというよりは壮大な観光イベントとして機能していたのだ。
入場料収入や放映権やグッズ販売などスポーツイベントとしてだけの直接の市場規模に対して、観戦客の宿泊を伴う旅費交通費や飲食費なども含めたスポーツツーリズムと捉えると市場規模は3倍になると言われてる。
同様にツーリズムとは呼ばれてないが、日本国内で行われるアイドルのドームツアーなども地元のファン以上に全国から宿泊を伴って訪れる人の方が多いし、さらに考えると大学入試ですらツーリズムと呼べそうだと気付く。
そのようなわかりやすいツーリズム以外にも拡大しているツーリズムがある。
海外の富裕層をターゲットにした医療ツーリズム(医療観光)は、2008年に観光庁が設立された頃から話題になることが増え、人間ドックや健康診断と京都や北海道の名所観光をパッケージ化した企画が増えていた。
医療ツーリズムは50以上の国で行われていて、医療ツーリズムの普及が病気のグローバル化を加速させ、今回のコロナで病院がクラスターの発生源になったことを含め、蔓延にも少なからず影響を与えていると一部で噂されている。
コロナ前に伸びが期待されていた分野の多くは、〇〇ツーリズムという括りで捉えるとしっくりくるものが多かったような気がするが、コロナのせいで大きなダメージを受けていて全滅に近い状態に置かれている。
ツーリズムに関連した業界で起きるであろう淘汰は、適正規模や適正価格に戻るということになるのだろう。
ビジネス的な言い方をするならば、ツーリズムに関連した参入障壁が低いレッドオーシャン市場で退場が相次ぎ少しだけブルーに近づくはずだ、完全なブルーオーシャンになどならないだろうが。
そして参入障壁が高い業界では、少なくなった客数でも事業が成り立つレベルに価格が高くなる。
「航空券は何倍にも高騰するのではないか」丸山ゴンザレスが指摘する懸念
〜〜以下引用〜〜
現時点で利用できる国内便でもすでに価格が2~4倍になっているところがある。飛行機は便数に応じて価格が決まってくる。これから先の海外取材での旅費が跳ね上がるのは目に見えている。
現状を踏まえ、同業のジャーナリストや旅行作家に「この先、海外で取材できるようになったらどうする?」というナンセンスな質問をぶつけてみた。
「とにかくタイミングを待つしかないだろう。そもそも今までが楽をしすぎていただけ。飛行機が頻繁に使えたのはLCC(格安航空会社)があったからだ。昔みたいに陸路で移動するようになるんじゃないか」(ベテラン旅行作家・40代)
「4月にヨーロッパに行こうと思っていたが、当初の4倍に値段が跳ね上がっていてあきらめた。海外へのニーズがなくなって、これからは国内の取材が増えるのでは」(旅系ライター・30代)
「航空券の値段は間違いなく上がる。ただ、ホテルなどで値段が下がることもあるだろうから、滞在費をきりつめて、現地で長期間取材することで、トータルでお得にするしかない」(ベストセラー旅行記著者・40代)
我々のように個人(フリーランス)で取材活動をする身としては、渡航費の値上がりは死活問題である。だが、困っているのは我々だけではない。
「里帰りの頻度が下がるよ」
海外に住んでいる友人たちの声である。
〜〜引用ここまで〜〜
訪日旅行者が99.9%減少したと報道されていたが、この時期に来る人がいることが不思議にも思える。
この時期に2900人も旅行に来たんだというのが驚き。国別で多いのは韓国300人、中国200人、台湾300人、ベトナム200人、インドネシア100人、アメリカ300人、その他の国まとめて1100人。
— 憲法改正に向けて足固めが出来る一年でありますように (@moonrabbitmoon) 2020年5月20日
海外からの旅行者やその消費をインバウンドと呼ぶことが定着したのはGoogleTrendsの動きから見ると2015年の年明けからと言えそうで、ピークは今年の2月。
今年2月のインバウンドに対する盛り上がりは決して歓迎されてのものではなかったのかもしれない。
これにツーリズムも加えて比較すると、
2020年1月1日以降に期間を絞ると、
冒頭の書き出しで、ツーリズムは私的な側面が強いと書いたが、私的な側面とはざっくばらんにいうと遊びでありレジャーと言える。
遊びやレジャーの業界がダメージを受けても関係ないやと思う人も多いかもしれないが、そんな業界は多くの人の生きる目的や楽しさを支えている業界でもあるので、ダメージを受けただけで終わらせてしまうと、つまらない時代が始まることになる。
ここから先は一人一人が考えることになるが、遊びやレジャーの分野には静かな革命が始まるはずだ。