違う見方

新しい時代の始まり。複数の視点を持つことで、情報過多でややこしい現代をシンプルに捉えるための備忘録的ブログ。考え方は常に変化します。

『Withコロナ』の下での自己啓発はどこに向かうのか?

自己啓発はだと教えてくれるおもしろい記事があった。

 

 

 

「自己啓発本、まるで風俗」 200冊読んだ猛者が行き着いた結論 成長が求められる社会で、自分を見失わないため必要なこと

 

 

取材に応じたほっしーさんが述懐する印象的なことばを二つ紹介。

 

 

〜〜以下引用〜〜

 

「不安感とプライドが、とても高かったからだと思います。もっと早く立ち止まれるチャンスはあったはずですが、心を病んだこともあり、客観性を失っていました。だから、深みにはまってしまったのかもしれません」

 

 

 

「個人的に、啓発本は風俗のようなものだと感じています。簡単に、手軽に欲求を満たしてくれる。でも読者は、書き手の意図に影響されてしまっている、というのが実際の所ではないでしょうか」

 

〜〜引用ここまで〜〜

 

 

 

自己啓発の不思議な沼に嵌まり込んでしまうと次から次にもっと良い話が聞きたくなるのだ、逆にいうと、次から次に良い話が聞きたくなるから沼に嵌ってしまうともいえる。

 

自己啓発というジャンルは、心理学のようでもありながら嵌まると抜け出せないという意味では宗教にも似ている。

 

自己啓発というジャンルの誕生の時期はいつ頃だったのだろうか?

 

いろいろ検索していると、卒論のテーマにしてる方がいた。

 

 

2011 年度 上智大学経済学部経営学科 網倉ゼミナール 卒業論文 ビジネス書ブームはなぜ起きたのか A0842163 浅倉理恵 2012年1月15日 提出

 

この論文には私が知りたいと思っていたことのほぼ全てがまとめてあった。

 

 

自己啓発というジャンルはビジネス書から派生したとされるが、そのビジネス書のブームが起きたとされるのが1982年らしい。

 

〜〜以下引用〜〜

 

ではビジネス書が注目され始めたのはいつからか。フィル・ローゼンツワイグ『なぜビジネス 書は間違うのか』(日経 BP 社)によると、アメリカでビジネス書が人気ジャンルになったのは 1982 年からで、この年に発行されたトム・ピーターズ、ロバート・ウォーターマンの『エクセ レント・カンパニー』が火付け役である。超優良企業でやっていることは何なのかを問い「超優 良企業 8 つの条件」を提示した世界的ベストセラーの本であるが、この流れが日本にも波及し ビジネス書が注目されるようになった。

 

〜〜引用ここまで〜〜

 

 

こうして始まったビジネス書のブームの中から自己啓発というジャンルは生まれ、一大勢力となったのが「スキルで武装すれば、組織にも権力にも勝てる」という 一種の宗教ともいえるスキルアップ教が生まれたのが1990年台の後半かららしい。

 

バブル崩壊後、年功序列や終身雇用が絵に描いた餅のようなものになりつつある風潮が背景にあって生まれたのがスキルアップ教らしいのだが、個人的にはリアルタイムで経験してるはずなのに、この論文を読んで今更ながら「なるほど、そういう時代だったのか」と納得させられた。

 

その少し前の時期から「資格さえ取ればどうにかなる」という資格幻想が、結婚したら退職するというOLモデルが崩壊したOLたちに生まれていたらしい。

 

そして、長く働くために資格に頼ろうとし始めた背景にあったのは、頼れるのは自分しかいないという意識だったのだ。

 

 

そうやって働く者がスキルアップに勤しむようになり、その教組が勝間和代さんだったのだ。

 

その次の段階として、いかにスキルを高めても対人折衝能力が低いと活かせないということが判明しスキルアップ教は衰退に向かい始めた。

 

 

 

ところで、スキルアップ教とともにもう一つの宗教も生まれていたのだ。

 

それが、ポジティブ教

 

 

ポジティブ教の教祖は、ナポレオン・ヒルとされるらしい。

 

この論文に書かれているのは2011年までの情報に基づいてだ。

 

この論文が書かれている時点では、ポジティブ教は勢力に陰りは感じられないとされている。

 

 

 

ご存知のように、2011年の東日本大震災がきっかけで日本では一気にスマホ時代が幕を開けた。

 

被災下でも機能していたスマホが評価されたからだ。

 

スマホを中心としたITやアプリの活用に関しては、新しいスキルアップ教が盛り返し、最近ではスマホ依存度の高まりがPCスキルの低下につながっているなどとスキルアップ教も手を拱(こまね)いているわけではないのだ。

 

スキルアップ教もポジティブ教もリア充インフルエンサーという新しいモデルを誕生させたりしながら現在に至っているのだが、コロナがそれらにどんなダメージを与えているのだろうか?

 

 

2020年は、全ての人が価値観を激変させられる年になったはずだ。

 

 

スキルアップ教もポジティブ教も新規巻き返しを図っているはずだ。

 

 

これから続々と新しい沼が出てくる!