2016年11月にトランプ大統領が誕生した。
泡沫候補とバカにされ、メディアでの扱いに好意的なものは少なかったにもかかわらず、着実に支持を広げた結果の大統領当選だった。
トランプ候補の扱いが低かったのは、当時の勝ち組のエリート層やインテリ層で、主としてグローバル化の恩恵を受けていた人々だった。
トランプ候補の存在を軽視していた人々には、時代の趨勢としてのグローバル化は安泰で揺るがないシステムだと映っていたはずだ。
グローバル化の陰で冷や飯を食わされていた人々の存在は無視されて、無いものとして扱われていたはずだ。
しかし、大統領選が進むほどに、無いものとされていた層が顕在化したのだ。
この時顕在化した層を一言でいうと、地方の白人労働者。
グローバル化で職を奪われていた人々であり、グローバル化のせいで不遇を押し付けられたと思い込んでいる人々だったのだ。
トランプ氏が大統領になった後掲げたアメリカファーストとは、地方の白人労働者が奪われたものを取り返すための政策なので、そのやり方に負の部分があったとしても、元々の支持者には誠実な取り組みに映るはずなので支持が下がらないのも当然だろう。
しかし、予期せぬコロナウイルスの登場で新たな対立軸が浮かび上がってき始めている。
大前研一さんは次のように言っている。
アメリカでのコロナウイルスの死亡者は黒人が他の人種の2倍くらい多いことは、肥満や糖尿病が関係してるのだろうが、そうなったのはいろんな意味で差別があるからで、その差別を象徴するような出来事が警官の黒人への暴行死事件を巡る対応だと、言っている。
トランプ大統領にとっては、地方の白人労働者以外の属性の人々はグローバル化の側の人に見え、敵と見なしているかのようだ、と捉えられそうだ。
同様に評価を落としているのが、Facebookのマーク・ザッカーバーグ氏で、トランプ大統領の偏った発言を許してはならないとIT界のリーダーが動いてる中で、その発言を許容する態度を見せたことで社内外から非難を受けている。
弱者の声を拾い上げて大統領に当選したトランプ氏は、現在更なる弱者に圧力をかけるという弱いものいじめを見せ始めたようにも見える。
今年のアメリカ大統領選の見どころは、弱者への対応になるような気がする。
当選を目指すなら支持層を固めることは王道の戦略のはずだが、それだけでは物足りない時代に入ったようにも感じられる。
もしトランプ大統領が再選されるようだと、アメリカ以上にヤバいのは日本になりそうだ。
弱者に厳しいという意味ではアメリカを上回っているのが日本だから。