ワークマンが第二のユニクロになるのではと言われるようになったのはこの2年〜3年だ。
よく言われる強みとしてあげられることは、
- 価格が安い
- ラインナップが豊富
- 機能が優れてる
- FC展開の上手さ(FCを本部の食い物にしない)
などなどが多い。
しかし、これらは明らかにワークマンが市場で評価された結果、明確に方針や意識を変えて以降により顕著になったことだ。
ワークマンはWikipediaによると1980年に創業とある。
GoogleTrendsで検索可能な2004年以降で見ると、
検索レベルで急上昇が確認できるのは2018年の夏以降で、巷で語られるワークマンはこれ以降のワークマンだ。
興味があるのは、それ以前のワークマンに何があったかだ。
グラフでは緩やかな動きなので気づきにくいが2012年、2013年頃から少し動きが出ている。
ワークマンの成り立ちは現場の作業着で、舞台となる現場は長らく3K(危険、きつい、汚い)と言われ続けてきた。
その影に隠れて、作業着姿もダサいということはあえて指摘されることは多くはなかった。
それでも好景気の時は現場作業は日銭を稼ぐことと割り切れば悪い話ではなかったが、いつの頃からか現場は3Kに加えてダサくて儲からないというイメージになり、若者が参入しない人手不足業界になって行った。
ここから先はわたしの想像。
若者の参入が少ないとはいえ、先輩後輩の人的なつながりが密な世界ではあるので、飲み会などのざっくばらんな場で「どうして現場が嫌なんだ?」と先輩から聞かれて「作業着がダサいから嫌なんです」とでも言われることが多かったのでは。
作業着が制服として指定されたりしてれば尚更だろう。
そこで、作業着に関してルールを緩やかにしたら若者が参入するならとルールを緩め始め、体を動かすことに関して問題なければ色やデザインは自由にして良いという流れが生まれたとしても不思議はない。
この方針変更は、すでに現場で働いていた人々にも朗報となったはずだ。
そうは言っても、現場作業に耐える安くて気にいる服などそう多くはなかったはず。
そんな動きの中で、少しずつ売れ筋商品に変化が出始めたことにワークマンは気付きだしたのかもしれない、あるいは「こんな商品作って欲しい」という要望が寄せられていたのかもしれない。
こういう試行錯誤が10年単位であったのではないだろうか。
わたしは靴選びに苦労する足の持ち主で、幅が広いことと外反母趾で普通のスニーカーの殆どが足に合わないのだが、同様の悩みを持つ知人が作業着を売ってる店で探すと合うのが見つかるしダサくないよと教えてもらったのが10年くらい前だった。
そして、確かに作業用のスニーカーだと足に合うものが探せたのだ。
その店がワークマンだった。
教えてくれた知人は時々現場に入る会社経営者だったが、このように当初は現場御用達だった客層に口コミで現場と関係ない人も加わり始めたのだろうと想像できる。
ダサくないから日常的に使えるし、安いから心おきなく使えるので、次に買う時も躊躇なくリピートするようになる。
つまり、ワークマンはたまたま売れたのではなく、現場業界の慢性的な人手不足が背景にある中で長年の試行錯誤の結果という極めてオーソドックスな理由の積み重ねで売れたのだろうと想像する。
市場に変化が生じた初期のタイミングを見逃さななかったことが勝因なのかもしれない。
そういえば昔のスーツもドブネズミルックなどと呼ばれ、サラリーマンってカッコ悪いと言われ続けた時期があったことが思い出される。
そんなスーツは、今はまたデザインに関係なく着てることがカッコ悪くてダサいと思われ始めている。
服装や服選びには、多くのことが現れる。
服装を見れば、その人が分かるというのは、当たらずとも遠からずだろう。