もうずいぶん前のことになるが、木陰はなぜ涼しいのかと考えたことがある。
鬱蒼と茂った森のような木陰ではなく、木漏れ日がそれなりに差し込んでくるような木陰でもだ。
真夏の日差しは痛いくらいだが、そのような木陰では差し込んでくる日差しも痛くはない。
この木陰のような空間を人工的に作ることはできないだろうかと考えたことがある。
考えた動機としては、エアコン等エネルギーを使わずに夏を涼しく過ごす知恵はないものかと思ったから。
いろいろ調べてその結果たどり着いた結論は、デザインとしての葉の形状や葉の重なり方にあると、至ったことがある。
調べたことのほとんどはきれいさっぱり忘れてしまったが、フラクタルというのがキーワードになるということだけは覚えている。
自然界に存在するデザインは複雑な形状であってもシンプルな形状に分解できるというようなものだったと記憶している。
フラクタル(仏: fractale, 英: fractal)は、フランスの数学者ブノワ・マンデルブロが導入した幾何学の概念である。ラテン語 fractus から。図形の部分と全体が自己相似(再帰)になっているものなどをいう。
木陰の涼しさに話を戻すと、ほとんどの葉のデザインは二等辺三角形に分解できるらしいので、二等辺三角形の板状のものを地上からの高さが互い違いになるように配置すれば木陰を再現できるとあった。
二等辺三角形のサイズは特に関係ないが小さ過ぎても大き過ぎても再現しづらいので、人工的に作ろうと思うとコストとの兼ね合いでサイズが決定されるだろう。
日差しの侵入を防ごうと隙間を小さくし過ぎると逆効果で大雑把な配置くらいが丁度良く、要になるのは空気が自由に移動できることだとあった。
木陰の空気を心地よく感じるとフラクタルを思い出す。