通信の世界で使われることがほとんどの、ラストワンマイルということばがある。
文字通りに解釈するなら『最後の1.6km』という意味で、汎用性のある言い方をすると、最後の1.6kmが普及の障害となる物理的な限界点として、あるいはコスト的な限界点として存在する、ということを表現するために用いられる。
多くのサービスは都市を起点として人口密集地を経由して徐々に普及が拡大していくが、ラストワンマイルは必要性や効率性を考えると単独では不必要と判断されがちで、電気、ガス、水道、道路などの生活インフラだったら当然と考えられる。
概念としてのラストワンマイルは、普及を前提とするサービスが発展途上する時や、発展が一巡した後の維持管理が課題になる際に避けて通れない分野になる。
発展途上ではラストワンマイルを攻略することに躍起になるが、衰退するとラストワンマイルは見捨てたくなるのだ。
ラストワンマイルが注目されるようになったのは携帯電話の普及を目指す中でだった。
ある程度以上の年齢の方だったら記憶にあるだろう、携帯電話はどこでも通じたわけではなかったことを。
携帯電話は無線だと思われてるかもしれないが、携帯電話が無線なのはラストワンマイルだけなのだ。
そういうことを教えてくれる図がある。
https://business.ntt-east.co.jp/content/nw_system/03.html
基地局が広く設置普及が完了するまでは、不通話とのせめぎ合いだったのだ。
最近では家庭でも普及した無線LANやwifiもラストワンマイル(実際には数十メートル)の技術なのだ。
これからの世の中はすべて無線だなと思ってる人は多いだろうが、人間の体に例えるならば、無線化されてるのは毛細血管の末端のごく一部だけなのだ。
このように、生活に身近なラストワンマイルで意識されるものは通信に関連するものが多かったのだが、コロナのせいでラストワンマイルの解釈が少し変化したように感じられる。
コロナ禍で業績上方修正した上場企業186社の特徴 (1/2) 2020年09月18日
B2C企業に好調企業が多いなか、卸売業を中心にB2B企業は苦戦を強いられた。
詳しくは本文を読んでいただきたいが、C(=customer顧客)に近いというのは一種のラストワンマイルと言えるような気がする。
コロナ前はビッグビジネスのほとんどはBtoBだったが、コロナ禍でエンドユーザーとしての個人顧客とつながってるビジネスの方に強みがシフトしてるように感じられる。
この傾向は、一過性のものであることも考慮に入れる必要はあっても見逃せないはずだ。
良くも悪くも話題になるuber eats に代表される配達業務ももちろんラストワンマイルビジネスに該当する。
コロナ禍で夜の飲食店が大きなダメージを受けてるが、個人客を押さえて成り立っていたラストワンマイルビジネスのように見えていたが、実際には違っていたのだろうと感じられる。
同じような構造は観光地ビジネスにも当てはまっていたようだ。
旅行客は個人(家族や友人含む)客が多かったとしても、ラストワンマイルビジネスではなかったということかもしれない。
今日何気なく着目したのがラストワンマイルだが、今日の時点では思いつきを語ってるだけに過ぎない。
今後もしばらくラストワンマイルという視点で世の中を見てみたい。