違う見方

新しい時代の始まり。複数の視点を持つことで、情報過多でややこしい現代をシンプルに捉えるための備忘録的ブログ。考え方は常に変化します。

『本社』に対するさまざまなポジショントーク!

少し前に日経新聞に次のような記事がありました。

 

札仙広福の同友会が共同声明「東京集中はリスク」 新型コロナ  2020年11月18日

経済同友会などによる9~10月の調査によると、関東圏に本社を置く企業のうち地方への機能移転を実施・検討しているのは17%。

 

 

この記事の17%をどう捉えるかは意見がさまざまあるだろうが、そもそも本当に17%もの企業が本社移転を考えているのだろうかという疑問を呈する識者もいる。

 

わたしの好きなある識者がこの件について触れていたことがきっかけで話題に取り上げている。

 

 

大阪や地方の中核都市に本社を置いている企業が東京に本社を移すのとは趣が全く異なるのが、東京から地方への本社機能の移転だ。

 

ありうる理由として納得感があるような場合は、地方が創業の地の場合で、創業者の志を前面に出したいような場合だ。

 

折に触れて話題になる首都機能の移転ともダブるのは、本気度に疑問があるからだ。

 

上記の記事の拠り所になっているのが以下の経済同友会が行ったアンケート結果だ。

 

 

「新型コロナ感染拡大が企業活動に及ぼした 影響に関するアンケート結果」  経済同友会

 

 

このアンケートで出てくる調査結果だが、407社にアンケートを送付し回答があったのは109社。

 

低い低いと言われる昨今の選挙の投票率より低い回答率だ。

 

 

このアンケートの結果を見ると、日経新聞の記事から受ける印象とは異なる意見を持つのが普通だと感じられる。

 

実質的な本社の地方移転を考えてる企業はほとんど無いとしか思えない。

 

 

人材派遣最大手のパソナの本社の淡路島移転で、東京からの本社移転が話題になったのは3ヶ月前。

 

代表の南部靖之氏の出身が神戸市であることと大きく関係してるはずだ。

 

2024年5月末までの時間をかけて移転を完了させる予定だが、一部社員は先行して移転しているのだ。

 

最近でも続報は記事になっている。

 

 

淡路島に本社機能移転のパソナ。南部代表に真意を聞いた 11/26(木)

「11年の東日本大震災後から本社機能の分散を考えていたが新型コロナの感染拡大で、東京一極集中が問題だと改めて認識した。わが社は工場を持たないため、業務の8割が東京に集中している。ここで災害が起これば自滅する。新型コロナの影響は大きい」

 

 

「東京ではリモートワークを推進してきたが、淡路島ではできるだけリモートをさせない。深みのある人間をつくるには、顔を合わせて仕事をすること、会社でのつながりが大事なので、オフィスで働けるようにする」

 

 

さて、この記事で一番おもしろいのは寄せられてるコメントだと思う。

 

引用はしませんので、興味がある方はぜひ見てください。

 

地元にとっては、さまざまな外野にはわからない利害が渦巻いていることが伺えるが、これは移転先の地域が小規模であればあるほど、どこであっても似たことが生じるだろうと思われる。

 

 

経済同友会のアンケートに話を戻すと、他の項目を見ると、コロナ禍で進んだように見えるDX(デジタルトランスフォーメーション)やリモートワークに対する熱意はほとんど感じられない。

 

おそらく、他所がやってるからうちもやるか、あるいは、やってるフリだけでもしとくか、という程度ではないかと感じられる。

 

そんな中で、これは結構本気かもと感じられたのが、今後のオフィス面積に対する意識だ。

 

オフィス面積に対する意識 経済同友会

 

 

 

有効解答率の低さを考慮しても、オフィス面積を拡大したい企業は0で、半数がオフィス面積を縮小したいと考えてることだ。

 

このオフィス面積を縮小したいという意識の中には社員数を減らしたいも当然含まれてるはずだ。

 

ということは、投資という意味での不動産事業は厳しいものになるのだろうなと思えてくる。

 

今、進行中の開発プロジェクトには暗雲が垂れ込めてると言っても良いのかもしれない。

 

日経新聞の記事がきっかけで書き始めたが、記事が嘘を言ってるとは思わないが、自分で調べることは大事だと改めて感じたとともに、わたしを含めて皆それぞれの立場でポジショントークをするのだなと実感できた。