世間一般では、コロナが流行したことで犯罪が減っていると言われている。
人の外出がコロナ前と比べると減っているので、犯罪に関しては被害者と加害者の遭遇率は確かに下がりそうな気もする。
あるいは、犯罪もテレワーク化して潜在化いるのかもしれない。
いずれにしても、コロナによって否応なく変えられたライフスタイルによって犯罪は件数もさることながら、その質を変えていてもおかしくない。
給付金詐欺というのがある。
古典的なものとしては、『給付金が受け取れますよ、その手続きを代行します』と、そのための手数料と称したお金を搾取するというものがある。
コロナ禍では、もちろんこのパターンもあるのだが、給付金の受給要件を満たさない人でも受給できるように手続きを代行するというパターンが暗躍してるという事件が起きていた。
この場合は、個人や法人の名義が使われるが、騙す大元のターゲットは給付金の支給を行う国や自治体になる。
弱い人から奪い取るのとは違うので、首謀者に対して怒りが湧くとしたら、『うまいことやりやがって、俺にも回せ!』的なやっかみや僻みに似たものであったり、易々と騙される国や自治体に対して『しっかりしろよ』的なものになる。
犯罪も少し雰囲気を変えているように感じられる。
少し最近の見出しを探ってみた。
「コロナで帰国できず生活費を稼ぐため」 ベトナム人グループの自転車窃盗 約60台被害か
日本に来ている技能実習生や留学生は、コロナ禍でその身分や立場でいることですでに被害者になってる人が多いのだが、救済の仕組みが少ないことで加害者に転じてるケースがある。
少し前には、農家が被害になるケースが目立ったが、背景には事情通の冷遇された技能実習生の恨みや復讐が動機としてあったことを思い出す。
被害者が加害者になるという意味では、新しいパターンが生まれたと言えるかもしれないという見出しが次だ。
帰国・入国時の自己隔離 違反者の氏名公表可能に 外国人は強制退去も
氏名が公表されるということは容疑者として扱われることだ。
そしてさらに、容疑者から犯罪者への昇格要件も緩和されるようだ。
政府、入院拒否のコロナ感染者に懲役刑想定 2021/1/13
よ〜く考えるとおかしなことなのだが、感情的には支持されやすそうだ。
犯罪は、明確な目的や明確な悪意に基づくものと、突発的な衝動性で起きるものだという典型的なイメージがあるが、コロナによって増加した抑圧されたストレスが動機になっているのかなと思えそうな事件も増えてそうに感じられる。
女は昨年夏から友人に大学院の出願書類の作成を手伝ってもらっていたが、「完成度が低い」と激高し、10月ごろから暴力を振るうようになったという。
この事件は珍しいかもしれないが、思い通りにならないことに対して不満を感じてるのは誰でもなのだが、そのことに対する許容能力の低さゆえに犯罪者になる人も増えていそうだ。
煽り運転に代表される、ちょっとしたことでムカつくというメンタリティはコロナ前から傾向としてあったが、コロナで生活が不安定になったことで許容能力が大幅に低下した人が増えていても不思議はない。
また、『コロナに関して』といえば大義名分が立つかのような心理的な落とし穴も間口を広げているようで、お金に絡む詐欺以外でも利用されている。
女児に「コロナの検査、警察だから安心して」…車庫に連れ込み下半身触った男逮捕 1/9(土)
日本の話だけにするつもりだったが、日本以外の国でも、犯罪の趣が少し変化してるように感じられる見出しが出ていた。
米国の大都市で銃犯罪が急増 コロナ拡大とともに治安悪化か 2021/1/12
昨年ニューヨークで起きた銃撃事件は約1500件で一昨年の倍。殺人は約460件で5割近く増えた。シカゴでも銃撃と殺人は一昨年に比べてそれぞれ5割以上増、ロサンゼルス、首都ワシントンも同様の傾向だった。
個人的には、トランプ氏が大統領選で負けたことも関係してる気がする。
シンガポールの接触追跡アプリが方針転換、犯罪捜査でも利用可に
パンデミックに対するシンガポールの取り組みはこれまで、接触追跡技術に関してだけでなく、多くの面で強引だ。例えば、公の場所でマスクを着用していないところを見つかると、高額な罰金を課される。
コロナに関連することはプライバシーに密接に関連するし、コロナ前から近年の犯罪傾向としてプライバシーを含めた個人情報は大きなテーマでありターゲットだったが、コロナに関しては大義名分が立ちやすくかつ例外なく網をかけれるので、警察や取締り当局にとっては美味しい情報のはず。
プライバシーや個人情報は、企業でいえば機密情報になるとすれば、コロナに関係なく行われているのがスパイ活動。
コロナワクチン開発公表後、不審アクセス急増…日本のトップメーカーに海外から 2021/01/01
同社は対応を強化しており、情報の流出は確認されていない。
サイバーセキュリティーに詳しい慶応大の土屋大洋・総合政策学部長は「システムに侵入しようとする動きは、本格的な攻撃の準備段階だ。攻撃者は執拗に攻めてくるが、社会全体で防御を固めなくてはならない」と語る。
犯罪に関して私たちの目につく変化は、本格的な攻撃の準備段階だとすると、記事のように被害が顕在化しなければ攻撃を受けていると公表される出来事が、被害が顕在化すると公表されずに隠蔽されることになり、表面的にはそのようなことは起きてないことになるのだろうと思える。
これからの犯罪は、起きてることがわからなくなるのかもしれない。