違う見方

新しい時代の始まり。複数の視点を持つことで、情報過多でややこしい現代をシンプルに捉えるための備忘録的ブログ。考え方は常に変化します。

『日本の外からコロナを語る』を読んで(2)

今日紹介するのは、

 

2.上海(中国)

3.台北(台湾)

 

 

上海の話を書いてる筆者は在住歴20年のフリーライターで、コロナが危険だぞと認識されたのは2020年1月21日らしい。

 

上海を含めた中国のコロナ対策のキーワードは『悶』だったらしい。

 

悶死、悶絶、悶々、良い意味で使われるイメージがない悶は、コロナ対策に関しては、コロナウイルスに向けられたことばだった。

 

ウイルスは人体に入らなければ数日で死ぬので、人に出会わずに自然に死んでいく機会を増やそうというもので、家に閉じこもって人間が悶々としてる時は、外でウイルスも悶々として死に向かっているという考え方で、この悶作戦は劇的なまでに市民国民に共有され、実際に効果を表した。

 

日本で、中国での劇的な改善が報じられてるのを見ていたわたしは、重大な事実を隠蔽してるのだろうなと疑っていたが、実際に生活していた方の話を読むと、本当に改善が実感されていたことがよく分かる。

 

 

また、日本と違い、同調圧力もなければ自粛警察もいなかったらしいが、それは良くも悪くも『自分には関係ない』ということらしい。

 

コロナを通して、上海の人々の一人一人がそれぞれバラバラという生き方が、日本人の生き方と違っているなと改めて気付かされたらしい。

 

 

〜〜

 

台北の話の筆者は、在住歴30年になる方で、最初は日本語教師として、その後フリーペーパーの編集や旅行サイトの編集長を経験。

 

筆者が、コロナに対する危機感を認識したのは2020年1月末で、2月1日で台湾を含む全中国便の往来を禁止すると、ベトナム政府が通告したことかららしい。

 

この通告は、台湾政府がベトナムに抗議し、台湾に関しては撤回されたらしいが。

 

この筆者の話で最も興味深い点は、世界で最もコロナ対策が成功した国の一つとして評価されてる台湾の対応が、実は偶然のタイミングの一致が関係してたことを教えてくれてることだ。

 

次の記事は今年の1月のもの。

 

域内感染「ほぼゼロ」の台湾にみる、正しいコロナ対策

 

 

このような評価が得られた背後にあった偶然とは、次のような事情だったらしい。

 

感染期の初期である1月〜2月に中国人観光客が台湾に来ることが抑えられたことが最大の要因なのだが、1月の総統選挙で中国と距離を置く民進党が勝利したことで、中国が報復のために台湾へのビザ申請許可を規制したため、中国から台湾への出国者がシャットアウトされていたのだ。

 

冒頭の上海の話のように中国側のコロナ対策も劇的に効いていたので、この感染初期に中国からの人の上陸をシャットアウトできたという偶然が台湾にはとてもありがたいことだったし、初期の感染期に中国人観光客をどのような形で受け入れていたかが、その後の各国の感染状況に影響していたかがわかるような気がする。

 

台湾の方は、日本へ旅行するのが好きな方が多いようで、それを紛らすかのように偽出国ツアーというのが催されていたらしい。

 

空港に集合し、チェックインして免税店で買い物をし、その後飛行機に搭乗し、豪華な機内食を堪能しながら沖縄、奄美、九州など日本近海を通常よりも低空で飛行し、陸地が見える状態での遊覧を行い、3時間ほどで出発空港に戻るというツアーが人気だったらしい。

 

 

もともと台湾人には移民気質が感じられていたが、コロナ対応にもそれが感じられるが、それ以上に日本人が土着体質であることも再認識されたらしい。

 

おそらく、自分が土着体質であると自覚できてる日本人は少ないだろうなと思える、わたしがそうであるように。

 

日本と近い国だけど、意外とその事情は知らないものだなと教えられる。