慣れ親しんだ施設の閉館や閉園というお知らせを目にすることが増えた。
はっきりと表現することは少ないが、儲からないからというのが直接の理由で、近年では自然災害からの復旧の費用が捻出できないために廃線になる鉄道と同様に、売上や儲けの低下以外に維持管理のコストの負担に耐えかねてというパターンが増えている。
地元地域の方や縁やゆかりがあった方にとっては、一つの時代が終わったと感じるだろう。
今朝も見出しを二つ見た。
「京急油壺マリンパーク」閉館へ 53年の歴史に幕 消えていく鉄道会社のレジャー施設 5/12(水)
2020年3月に「みさき公園」(大阪府岬町)の事業から撤退したほか、2021年3月には近鉄グループの水族館「志摩マリンランド」(三重県志摩市)が閉館、西鉄が運営する遊園地「かしいかえん シルバニアガーデン」(福岡県東区)も、2021年いっぱいでの閉園が決まっています。
この記事でも理由は、
建物や設備の老朽化が著しく、維持管理が困難であると判断
と、書かれている。
もう一つの見出しが、
【お知らせ】当園でのジャガーの繁殖を中止します。 京都市動物園
今回,中止する判断に至った理由としては,
搬入当初とは全国で飼育するジャガーの飼育状況が変わり,
【出産数およびその性別によっては,転出先の確保が現状難しい】こと,
そして,
【その転出できない個体を飼育するスペースの確保が当園では困難である】ことです。
動物園も減っていて、そのことが他の動物園で飼育する動物に影響を与えているようなのだ。
新旧交代が起きる場合もあれば、ただ老朽化で消えていくだけのものもある。
上手くいってる時には、さまざまな繋がりや関係性が見えるものから見えないものまで無数に出来上がるのだろう。
しかし、老朽化や維持管理が課題になる頃には、あったはずのつながりや関係性も薄らいでいるはず。
このような視点で少し歴史を振り返って俯瞰で見ると気付くことは、農業であろうと漁業であろうと工業であろうと、生産の現場では大勢の働き手を必要としていたが、時代とともに機械化、自動化、省力化が進み人手を必要としなくなってきた。
現在、機械化、自動化、省力化では人手を減らせずにいるのが流通や輸送の現場だ。
流通の一部である倉庫のマネージメントなどは大幅に改革が進んでいそうだが、隣接する分野はまだまだだ。
生産に関係する現場では、機械化、自動化、省力化で大幅に人間関係を含めた関係性が激減しているというか不要になりつつある。
これがとてつもない矛盾を孕んでいることにお気付きだろうか?
生産の現場では、生産性や効率の追求で人手を不要にしてるのだが、それは、肝心の生産されたものを消費する消費者を貧しくすることにつながっているのだ。
日本ではデフレで収入自体が増えないが物価も上がってない、しかし収入が増えてる国では収入の増加よりも物価の上昇の方が大きいので生活水準が下がってるところがあるという話はよく聞く。
極端な例としては、好景気のシリコンバレーでは年収1000万円越えのホームレスが珍しくないと言われている。
生産の場に大勢の人手が必要だった時代は、結果的に消費の場の活性化にもつながっていた。
翻って現代では、生産の場から人が減っているにもかかわらず生産物は増える一方だ。
生産と消費のミスマッチはすでに顕在化してるはず。
このミスマッチは、社会システムの老朽化でもあるはず。
この1年で起きてる老朽化に関する出来事は、コロナのせいで起きていたり、コロナがトドメを刺したものが多いだろうが、コロナを抜きにしても、社会システム自体の老朽化も進んでいるはず。
社会システムは閉館したり閉園するというわけには行かない。
新旧交代というのはサーフィンのようにも感じられる。
スムーズに波を乗り換えるのか、それとも一回波から落ちるのか?
個人レベルではシステムへの依存を減らすことくらいだろうか、できることは。