違う見方

新しい時代の始まり。複数の視点を持つことで、情報過多でややこしい現代をシンプルに捉えるための備忘録的ブログ。考え方は常に変化します。

システムの賞味期限

かつてアナログ時代、企業が展開する事業の寿命は30年と言われた。

 

 

一方デジタル化した現代では、システムの賞味期限は3〜5年と言われる。

 

一般的には社会の裏方がシステムだが、日常生活に近いところでも意識できる。

 

 

 

 

最初にあるシステムを築いて業界や世間をリードしても、そのリードが通用するのは3〜5年だとすると、リードが有効なうちに有効性を維持した上でその次をリリースできなければ、フェードアウトするか他社に追い抜かれることになる。

 

飽きられることとは違い、要求水準を満たせなくなるイメージだ。

 

そのシステムに基づくアウトプットに不満が出るという意味では、アウトプットに満足できる限り陳腐化は起きないのだ。

 

システムの賞味期限の短命化を逆手に取って、リードの長期化を目指すのがサブスクリプションやクラウドの長期自動更新型のシステム。

 

いつもと同じように使ってるうちに、勝手にどんどんリニューアルされ、アップデートされていくので、常に今使ってる状態が最新となる。

 

本当はシステムは度々変化していても、使い勝手は変化を感じないシームレスでストレスフリー。

 

一度このシステムに馴染んでしまうと簡単に浮気心は動かなくなるだろう。

 

もっともこの場合は、長期的な視点や視野を持ち合わせてなければその良さには気付けない。

 

 

しかし、一旦受け入れて馴染むと、新たに別に良いシステムが現れても、乗り換えるにはさまざまなストレスが生じる。

 

比較して少し良い程度ではお客は動かない。

 

 

 

翻って、顧客を囲い込むためには、今馴染んでるものを継続することが最良だと思わせることが有効だ。

 

 

そういう意味ではドイツ車は昔からコンセプトが明快だ。

 

一旦顧客になったら次の買い替えは自社の上級モデルを選んでもらいやすいようにデザイン的な共通点を多く設け、乗り換え直後から基本操作に違和感が生じないように統一されている。

 

こういう仕組みはビッグブラザーコンセプトと呼ばれていて、ベンツやBMWが典型で、わたしは80年代の半ば頃に教えられた。

 

 

 

こういう明快なコンセプトは、21世紀だとAppleが得意だ。

 

 

 

 

こういうことは、日常さまざまな場で展開されてる営業活動にも影響を及ぼしてるはず。

 

 

昭和から平成初期までは営業マンの熱意は非常に重要で有効だった。

 

いわゆる情に絆(ほだ)されるという現象で、やり方として間違ってたり強引な部分があっても『昔の自分を見てるようだ』と経営者など決裁権を持った人のウケは悪くなかったのだ。

 

商品やサービスの良さをアピールしようと、ライバル商品との比較資料などを用いることは当たり前で、ロジックに訴える手法も王道だった。

 

 

しかし、現代ではそういうことでは人の心は動き難いと、自分を見ててもそう思う。

 

ロジカルな展開や理解は必要だが、それだけだと動機やモチベーションが弱いのだ。

 

 

営業される立場として相手の話を聞いていて『そうじゃないんだよな』と思うことは少なくない。

 

ひろゆき人気で論破に注目が集まるが、論破は無用なストレスを生むだけなのだ、してもされても。

 

 

何かを売り込む場合には、相手が感じてるであろうストレスに敏感になる必要がある。

 

 

最近いろいろな料金を一つの窓口にまとめるというサービスが増え、多くの場合まとめることで総額が安くなるとアピールしてるが、それよりも支払い先が一か所になることの方がストレスを減らすことに一役買っているかもしれない。

 

 

世の中には、なぜか分からないがうまく行ってる(回ってる)ことがある、きっと目には見えないがシステムとして機能が成立してるからだ。

 

 

 

 

 

心理学は相変わらずブームだが、心に寄り添うよりも、ストレスに寄り添うことを考えた方が効果的なのかも。