自動車業界におけるテスラの巨人ぶりは、販売実績というよりも株式の時価総額に表れていて最近暴落したが、これは一時的な投資家の作戦に市場が踊らされただけで、規模としては実質一兆ドルの辺りを現在達成している。
この評価の高さが、実績よりも夢や期待に寄せられているのは明らかだが、個人的にはテスラに対する評価は自動車としての評価ではなく、EVや自動運転車におけるプラットフォーマーになり得るという可能性に対する評価だと感じてる。
具体的に言うと、テスラが構築した仕組みやシステムを他車メーカーも採用せざるを得なくなるかもしれないということだ。
トヨタが頑なにEVを否定しようとしても世界は全く同調しないので、最近トヨタもEVを受け入れざるを得なくなったと感じているが、トヨタがテスラのシステムを採用せざるを得なくなるのもそう遠くはないかもしれない。
最近でこそ馴染みが出てきたプラットフォームということばは、ある程度以上の年齢の日本人にとっては駅のホームや時にはバス停など停車場を意味するプラットホームとして最初は覚えたはず。
つい先日、Google(=アルファベット)の時価総額が2兆ドルを越えたと報道されていた。
アップルとマイクロソフトに続いて3社目の2兆ドル突破。
21世紀の世界はプラットフォームを押さえた企業がリードしていたことを示すツイートがあった。
この20年の時価総額ランキングの推移。
— 企業分析ハック -新しいビジネスの教科書を作る- (@company_hack) 2021年10月29日
マイクロソフトはいつも時代のトップに君臨している。 pic.twitter.com/yOImrNIz4C
最近社名変更など冴えないFacebookは、大御所ではあるがプラットフォーマーではないので、アップルやGoogleに広告規制されると悲鳴を上げることしかできないのだ。
2000年にはドコモやNTTが上位に入っている。
前時代的に感じる石油メジャーも多いのは、現代社会は膨大なエネルギー使用を前提として成り立っていることを示している。
生活の身近にあって当たり前で、その割にはある(有る)ことに特別な思いを寄せてないが、無くなったら大騒ぎになるようなものの多くがプラットフォーム。
ついでに、日本国内の時価総額ランキングの推移を見ると、
【日本の時価総額ランキング推移 決定版】
— 企業分析ハック -新しいビジネスの教科書を作る- (@company_hack) 2020年5月25日
1960年から10年ごとに時価総額ランキングTop10がどのように変化したか調べました。
60年前の時価総額トップ企業はどこでしょうか?
(出所:野村證券) pic.twitter.com/TaeJzyJcit
プラットフォームと言えそうなのは通信系の企業だけで、後は製造業が多い。
製造業が上位にいる頃には、銀行や商社もランキングされてるところを見ると、銀行や商社は一時期は日本ではプラットフォームとして機能してことを窺わせる。
日本では表にあまり出ないが、実はプラットフォームとして君臨してたのが各地域に分割されてる電力会社であり、メーカーも商社も電力会社の言いなりだったのは知る人ぞ知る現実だったが、ここに少しヒビが入ったのが東日本大震災で東京電力の地位が下がったことによってだ。
あまり意識しないのに使ってしまっているのがプラットフォームであり、本当は使いたくないのに使わざるを得ないのがプラットフォーム。
不思議なことに、プラットフォームの内側にいる人も、経営者でもない限り、自分がプラットフォーマーだという実感は得にくいだろう。
そう、成立したプラットフォームの上では踊るか、見るかしか選択肢はないのだ。
阿波踊りでは、踊るか見るかという選択肢は阿呆に与えられたものだ。
プラットフォーマーから見ると、利用者は皆阿呆なのだ。
だったら、踊らなければ損なのだ。