考えさせられる記事があった。
景気予測や経済予測を的中させる経営者として知られてるニトリの似鳥社長が初めての失敗と語っていた。
多くの人がするであろうことと大差ない失敗を似鳥社長ですらしていたのだ。
たまたま失敗したというよりも、根本的な何かが変化してるのだと思わせられる話だった。
この記事の中から似鳥社長の述懐部分から社長個人の失敗とは言えない部分を抜き出すと、
「キーポイントになったのは、2019年にトランプ政権時代、中国から商品を輸入するに当たり、全てに25%関税を付けたこと。来年その期限が切れる前に、今年、最低でも4年継続することがおおむね見込まれたのが、非常に大きなターニングポイントだ」。
「船代は、私たちが出店したころは40フィートのコンテナ1台が2200ドル(約31万4600円)だった。今1万5000ドル(約214万5000円)、7倍だ。これに関税が25%かかる商品をアメリカまで運んだとしても、全く利益が計算できないという状況がこれからも続くということで、決断した」。
これらに加えて自身の判断ミスがあったことも述べている。
記事の中では一繋がりの文章だが、じっくり一文一文を味わうために分割して引用すると、
為替は5年間ぐらい500億円ぐらい為替ヘッジをして、必ず長期で、2年とか2年半で買ってきたが、今回だけは長期で買わなかった。
いろんな人の話を聞き過ぎた。
金融やアナリストの人たちの話を聞いて、半年とか1年単位で買ってしまった。
正しいと思うが、長期的に為替が上がっていく場合は早めに買って、常に2年か2年半で押さえていったのを、今回だけはそれをしなかった。
僕は最大の間違いだったかなと。
もう二度とそういう間違いはしないようにしようと思う。
人生で初めての失敗だったなと思う。
やっぱり全てのことは長期的に見ないと駄目だなと思った。
経営もそうだが、為替だろうと、株であろうと。
株も長期で考えなければならない。
短期の売り買いでは成功しない。
為替も同じく、人類の経験法則から、短期ではまずい、長期でないと失敗するよと。
今回経験して初めてそう思った。
似鳥社長の反省は、グローバル化に対する反省でもあるように聞こえる。
グローバル化に対する反省とは、短期の判断を増やしたこと。
短期の判断を増やしたということは、生産性や効率を重視したから。
この10年くらいのビジネストレンドそのものだ。
短期で捉えると正しい判断が、長期で捉えると誤りだということは個人レベルでも珍しくない。
進学や就職(転職含む)はもちろん交友関係などにも当てはまると感じる人は少なくないはずだ。
継続は力なりと言うが、それよりも、続いていることには意味がある、と考える方が当たっているのかもしれない。
短期的には友達だったが、長期的にはどうでもいいただの知ってるだけの人という人間関係には、そうなって良かったという、続かないことにも意味が隠れているのだ。
実際に続いていることや続けていることには長期的な視点が必ず存在するはず。
自覚的には無意識であったり惰性に近い印象を持ってるかもしれないが、止めようと思えば簡単に止めれたことが続いているということは長期に耐える価値があればこそなのだ。
どんな価値があるのか、その理屈は後から付いて来るのだろう。
やっぱり時代という振り子は一方の端に振り切れたのかもしれない。