北海道のニセコ周辺には外資の資本が多く入っていて、地価は札幌よりも高くなってるらしい。
この事実は、今やありふれた話で何の新鮮味もないが、次の話は新鮮だった。
そんな外資の投資家がインタビューでこんなことを言っていた。
『憧れは金を生む』と。
さらに、
『雪で真っ白な風景なんか見たことのない人にとっては、綺麗な雪景色に対する憧れが強く、それが見れるならコストは惜しまないし、実際に良ければリピートする』
と、いうようなことを続けた。
これに加えて円安を含めてコストパフォーマンスの良さが日本への外資の投資意欲を生んでいるのだ。
つまり、需要の大元となる客の憧れに対する見識と理解があればこそ投資が成立するのだ。
もっと言えば、トップがその客の憧れに対する目利き力があれば何のプレゼンも必要なく投資の意思決定は瞬時になされる。
それに対し、トップが客の憧れなどには鈍感で、敏感なのは儲かるかどうかだけだと、意思決定はシンプルには行かず、何度もプレゼンを受け、示せるわけでもないエビデンスを求め時間ばかりかけ、結局決断できなかったり、決断した時にはすでにタイミングを逃していたりとなる。
日本では「好きなことを仕事にするな」とよく言う。
これと同じくらい言われることに、「仕事なんてどれも同じ」もある。
この二つはおそらく繋がっているし、意味も重なっているだろう。
こういう考え方に染まってしまうと、「客の憧れは何か」なんて本気では理解できないだろう。
適当にお茶を濁すにはブランド志向なんて都合が良い理屈となるだろう。
「お客に寄り添え」なんてどこかのコンサルが言ってたり、自己啓発書に書いてあれば、知識としては持っているかもしれないが。
いまだにスティーブ・ジョブズに憧れる意識高い日本人は多いが、そんなジョブズは日本への憧れがあったらしい。
ジョブズが憧れた日本とは、大和や禅ではあるが。
しかし、ジョブズに憧れてる意識高い日本人が大和や禅に憧れを持つかというと、そんな意識はほぼゼロだろう。
プレゼン手法やファッションを真似ることは全く異質なのだ。
憧れは動機を生むが、動機を生むのは価値観でもある。
憧れと価値観を一致させ行動するというのは、口で言うほど簡単ではないのが日本だ。
動機を云々するような場合には小理屈をこねくり回すが、そうすればするほど核心にあったはずの憧れからは遠ざかるだろうし、その結果生まれる企画や商品やサービスも客目線ではどこかピントが外れたものにしかならないはずだ。
人が大人になって悩むことの多くは、解決のヒントは子供時代にあるとはよく言われる。
大人になってからの人間関係に悩む場合の多くは、子供時代の親子関係に原因があったり、生きてることが楽しくない場合の多くは子供時代に好きだったことを思い出すことに解決のヒントがあると言うのはよく言われる。
憧れを味方に付けるために大事なことは具体的であるということ。
漠然としたフワフワとしたものであれば動機にはならない。
そういう思考の癖を付けることが大切だ。