人間が自分に都合の良いストーリーを組み立てるのは生きていくために必要。
だからこそ夢や希望を描くことができるし、夢や希望を描ければこそ絶望を乗り越えることもできる。
しかし、覚えておかなければいけないことはギリシャ神話のパンドラの箱の話だ。
この世のありとあらゆる罪悪を封じ込めたパンドラの箱が壊され、この世にありとあらゆる罪悪が蔓延し世界が絶望に満ち溢れた時に、パンドラの箱には一つだけ世に出なかった罪悪があった。
こんな絶望に満ち溢れた世界に一つの罪悪が加わってももはや大した違いはないと最後の一つも放り出した。
その最後の一つの罪悪が『希望』だった。
希望があることで罪悪に満ち溢れた世界でも人は生きられるようになったという話。(実際には諸説あるようだが)
そんな話を思い出させるような出来事が伝えられていた。
“無料モニター”のはずが…残された“健康被害”と「高額ローン返済」 銀座の歯科矯正めぐり集団提訴
詳しくは記事を読んでほしいが、この詐欺事件にはいくつかのキーワードが揃ったことで希望も強くなったような気がする。
- 実質無料
- 銀座
- コロナ禍
実質無料は得をしたいという希望を煽り、銀座の店舗ということで期待や信頼が煽られ、コロナ禍であることが「今のうちに」という気持ちを煽ったのだろう。
実質無料が最大の落とし穴なのだが、他の要素も加わったことで希望は強固に補強されたことだろう。
希望はあやふやなふわふわしたものから、幸せへと続く石の橋のような実態感を感じたはずだ。
金銭的な得はともかくとして、歯科矯正そのものには疑いを持ってなかったはず。
このように感じたことは非難されるべきではない。
全ての人にとって明日は我が身の話なのだ。
ただ、思い出したいのは『石橋を叩いて渡る』という諺だろう。
この諺を強く意識してる人は、石橋を叩き過ぎて壊してしまうなどとも言われることがある。
プロセスがどうであれ結果が出ると、他人は運が良かったとか悪かったとか、もっともらしい余計なことしか言わない。
信用する前に疑うことは必須で、疑問に対しての答えに確信が持てないものは選んではいけない。
それでヒビが入ったり壊れるような人間関係ならばどんどん壊したほうが賢明だ。
そのくらいの割り切りが必要な時代なのだ。