先日打ち上げに失敗したJAXAのH3ロケットは、ゆくゆくは一回の打ち上げコストを半減させて50億円にすることを目指していたらしい。
ただの国家の威信をかけての技術競争にエントリーしてるのではなく、民生活用として儲かるビジネスを目指しているとも聞く。
失敗したH3ロケットには地上を撮影する光学衛星『だいち3号』が搭載されていた。
その重量は約3トン(Wikipediaには2.7トンともある)。
一方で、世界の民生利用の衛星ビジネスでの打ち上げ費用は、イーロン・マスクのスペースXだと100kg9000万円で打ち上げることができるらしい。
実際にフォロワーの方がスぺ―スXのサイトで見積もりしたところ、9億ではなく9000万円ほどだったそうです。
— MASA(航空宇宙・軍事) (@masa_0083) 2023年3月11日
やっぱり衛星相乗りできるスペースXに小型ロケットで価格競争するのは無理ですなぁ……。 https://t.co/AIfeeAmkRc
だいち3号をスペースXに依頼すれば27億円で打ち上げられたのだ、机上の計算では。
ちなみにH3の開発費は2000億円を超えている。
日本を今さらdisって自虐的になってもしょうがない。
ただ戦い方が完全に変わったことを再認識せざるを得ない。
コロナ禍に加えてロシア戦争であらゆるもののコストが上がっている中で、最先端のロケットビジネスの世界では、開発競争に遅れを取ったような場合はもはや開発に関わることはただの貧乏くじを引くだけなのだ。
仮にH3ロケットが打ち上げに成功していたとしても、スペースXとの競争では客を取ることは出来ないのだ。
お客を取れるとするならば、スペースXの空き枠を取れなかったような場合で且つ日程の都合などでスペースXの空きを待ってられないような場合だけなので、事業としては儲からないはず。
これって、日常生活で例えるなら個人商店よりもチェーン店やモールのような形態の方に客が集まることと同じだ。
よほどの何かを持ち合わせないと個人や小規模事業には需要は無いのだ。
よほどの何かを求めて世の中は動いていて、それが転売屋であり詐欺的な手法なのだ。
良いものに需要があるわけではなく、欲しいという気持ちが需要を生むのだ。
欲しいと必要は、似てるようで違う。
日本のロケット開発は必要だという思いだけを拠り所に成り立ってるが、すでに顧客となり得る層からは欲しいものではなくなってるはず。
欲しいという気持ちを刺激できる人や企業だけが強くいられるのだ。