最近外山滋比古さんのエッセイを読んでいる。
外山滋比古さんは2020年に96歳で亡くなられた方でさまざまな肩書を持つが1983年に出した『思考の整理学』は東大京大で一番読まれたロングセラーとしても知られてるような方。
名前は知っていたが著書を読んだことがなかったが、ふとしたことでエッセイ集を電子書籍として購入した、エッセイだから高尚な狙いはない内容。
1980年頃に出版された本で内容は1970年台の10年ほどの日本人の世相を受けての内容だと思われるが、期待してた以上に新鮮に感じられそして日本人の本質はそんなに変わってなさそうだと思える内容。
そんな中にある『旅行』をテーマにした話が『地理』という観点で捉えられていたのが興味深い、今でいう地勢学や地政学が注目を浴び出したのがまさに1980年頃からだが、そんな動きを庶民の活動に感じていたのがおもしろい。
以下に、知らなかったおもしろい話を紹介したい。
英語の諺で有名な「A rolling stone gathers no moss.」は、「転石苔を生ぜず」と訳され、職業や住所を転々とする者は成功しないという意味が与えられているが、この意味はイギリスの歴史主義から生まれたもので、この場合の苔は資産や財産。
しかし、この諺が大西洋を越えてアメリカに行くと、活動的な人にはサビや垢が付かないという意味に変化した。
資産や財産は捉えようによってはサビや垢であり、逆も成り立つのだ。
この解釈の違いはどちらかが正しくて一方が間違ってるというものではない。
信じ込んでしまうと絶対的な強さで人を束縛するような信念や価値観ですら場所が変わると180度反対の意味に変化し得るのだ。
地理的な背景が変化すると、それに応じて思考や行動も自然と変化するということだろう、当たり前の話だと思うがそういう変化は教科書や辞書を作る人には不都合な真実のはず。
地理への興味は未知に向かうことだと外山滋比古さんは書いている。
歴史を振り返ると、さまざまな理由や目的が与えられてはいるが地理的な未知への興味が冒険の原動力であり、未知にユートピアを描いたはずだ、その結果新しい発見が得られたのだ決してユートピアではなくても。
昔の未知と今の未知はどんどん質も種類も変化しているのは間違いない。
未知は遠くにある壮大なものだという思い込みは強いかもしれないが、身近なところにある未知の方がより楽しめるかもしれないのが現代かもしれない。