大きな書店であることが前提だが、芸能人が本を書いた場合、その本は店員が著者だけで判断すると芸能人本の棚に置かれるだろう、しかし内容が人をポジティブにすることに関して書かれていたら自己啓発の棚に置かれるかもしれない、また芸能界という厳しい競争を勝ち抜くことに関して書かれていたらビジネス書の棚に置かれるかもしれない。
どの棚に置かれるかで本の市場での評価はまるで違ってくるかもしれない。
著者が芸能人であることを離れて考えると、これまでに無い考え方について書かれた本の場合、一体どんな棚に置かれるだろうか?
既存のものとはまったく違うことが売りであっても、大きな販売の現場では既存の領域のどこかに機械的にあるいは適当に配置されるだけだろう。
『検索』という行為に現代人が馴染んで20年以上経つが、検索とは既存の『ある』を探す行為であるため、『無い』を探すことはとても難しい。
特許等の工業所有権では、申請しようとするアイデアが過去に類似のものを含めてどのようなものがあったかを事前に調べる必要があるが、こういうのは検索というレベルで言うととても狭い世界なので調べさえすれば『無い』ということは確認し易いだろうと想像できる。
まったく新しいと称するものの多くは、実際には既存のリニューアルやパクりだらけにならざるを得ないのは、人間は『ある』の変形を『無い』と位置付けることから逃げられないからだ。
だから今日も多くの人が『無い』ものを求めて『ある』ものを調べまくっていることだろう。
ワイドショーで米の安売りサイトの偽物に騙される人が多いという特集をやっていたのを見て思った話。