YouTubeのおすすめにある動画が上がっていた。
妙にそそられた。
その動画は、真夏の東京都心は空冷のバイクで走らないでください、壊れます、ということを伝える内容だった。
80年代半ばの大学生時代から90年代後半の時期を東京で空冷の750ccと1100ccのバイクを乗り継いで走ったわたしにとっては懐かしさを感じる内容でもあった。
テーマは油温だ。
バイクに乗り始めて2〜3年経った頃だと思うが、当時定期購読していた雑誌がエンジンオイルの特集をしたことがある。
オイルメーカーの技術者の当時の見解が載っていた。
記憶に頼ると書いてあったのは以下のようなことで、あくまでも80年代半ばの話。
市販されてるエンジンオイルには鉱物油(価格が安い)と化学合成油(価格が高い)があり、当然当時のわたしには化学合成油は手が出せなかった。
基本的にエンジンオイルの潤滑性や放熱性は熱を帯びても冷えると元に戻るとされていた。
鉱物油は安い代わりに分子構造が安定しないので過度に熱が加わると元に戻らなくなる、その境界温度が97度、一方化学合成油では120度まで上がっても冷えると元の潤滑性を取り戻す、と書いてあったと記憶している。
空冷エンジンは走行風で冷却するので、走っていれば冷えるし、速度が上がるほど冷える、一方で速度を上げてエンジンのパワーを使えばエンジンの発熱は増える、このイタチごっこの結果が油温に反映するのだ。
1100ccのバイクに乗るようになって少しして油温計を取り付けた。
脳内で想像していた油温の動きと実際の油温の動きはまるで違っていた。
こんなことで上がるのか、こんなことで下がるのか、と驚きの連続であるとともに、油温を意識した走りに変化するようになったが、それはまさにストレスマネージメントでもあった。
さてバイクに乗らなくなって四半世紀を越えても、わたしの油温に対する意識は昔のままだったところにYouTubeの動画が現れた。
なんと今年の夏に東京都心を空冷バイクで走り渋滞に引っかかったりすると油温は160度を越えることが珍しくないそうだ、そうなるとエンジンは止まるし再始動なんて簡単じゃないし、エンジン本体が熱で歪むことすらあるらしいのだ。
昔の夏だって暑かったのだが、思わぬところで今の夏の過酷さを知ることになった。