バブル景気の頃、大学出て数年程度のペーペーだったが、ひょんなことからヘリコプターに関係するようになった。
バブル景気が本番に突入すると、ヘリコプターは大きな注目を浴びるようになった。
仕事に全く野心が無かった私だったが、これまた偶然にトップセールスの現場にお供で同行したことがあった。
この時の、トップ同士の会話が面白かった。
私は当時、乗り物としてのヘリには興味があったが、それ以外のヘリが持つ要素には全く興味も無かったので、王様気分を味わうための乗り物だと思っていた。
バブルの頃、巷にベンツやBMWが溢れ始めた、クラウンなどの国産高級車からの乗り換えが増えたのだが、昔からベンツに乗ってる人にはこの現象が面白くないので、ベンツ(Sクラス)オーナーの一部はロールスロイスに乗り換え、そんなオーナーの一部が「もう車の時代じゃない」とばかりにヘリに注目しだした、バブルの頃ヘリでゴルフ場に行くというのは一部で凄く流行ったのだ。
私がいた会社では、ヘリの売買の営業は基本社長が中心でやっていたので、どんな営業トークが展開されているか全く知らなかったし、社員でもごく一部しか知らなかったはずだ。
私は、ヘリがいかに楽しい乗り物であるかをアピールするんだと思っていたが、現場は全くそうではなかった。
そこで中心になっていた話題は「減価償却」だった、いやそれのみだった。
減価償却が話題に上るまでは、先方の社長も退屈そうにしていたが、減価償却の話題になると急に目が覚めたように一気に身を乗り出してきた。
この時の態度の豹変ぶりはすごく印象的だった。
私の会社の社長:
「ヘリは減価償却2年なんです」
先方の社長:
「???...ウソだろう!」
私の会社の社長:
「本当です、凄いでしょう」
先方の社長:
「凄いなんてもんじゃないよ! ヘリ買う!」
ちなみにその時売れたヘリの価格は約1億4000万円。
これだけで売れたのだが、当時の私にはこの会話の意味が全くわからなかった。
バブル景気でヘリが急に売れだしたため、あっという間に税制改正の対象にされ、ヘリの減価償却2年はすぐに終了した。
その後、経営者と話す機会があるたびに、減価償却2年にどういう反応をするかを試すようになった。
その結果、税金を払うのが嫌な経営者はほぼすべてこの話に食いついてきた、本業で儲かる話以上に食いついてきた。
その後、バブル崩壊し節税以前に利益を出せない企業が増え、税金対策と称し資産を増やすよりも、無駄な買い物はしないで正規の税金を払い、手元のキャッシュを最大にしておくほうが賢いという考えが増えて現在に至っているが、この「税金」を「年貢」と置き換えると日本の歴史そのものになるような気がするし、そこに日本流ガラパゴスの原点があるように思える。
11/25読了。今年の49冊目。最新の日本史研究の成果を、古代、中世、近世、近代、現代の5つに分けて述べている。特に面白いのが近世と近代。今の横並び意識は、年貢の取り立ての不平等により一揆が起こることに起因。鎖国を解いたといっても4港が8港に増えただけ等、興味深い指摘が多数#新潮新書 pic.twitter.com/1h7ZkAU7DJ
— 読書好きの情報収集 (@ysg6S8lV120LXKl) November 25, 2018
印象的なのはこのことばだ。
特に面白いのが近世と近代。今の横並び意識は、年貢の取り立ての不平等により一揆が起こることに起因。
日本の経済の仕組みは、他の資本主義国と基本は同じはずなのに、どこか年貢的だ。
大株主の株主配当金を分配するための民営化です。
— 沢村直樹「民主主義を取り戻す市民の会」(仮称) (@iminnhantai) November 18, 2018
完全に中世の年貢の取り立て(封建社会)と同じです。
領主が大株主になり、農奴が従業員という状況です。
お客様サービスは人件費削減のための合理化により劣悪になるばかりです。
税金や年貢と考えると、売上や獲れ高を「お上」に取られるイメージだが、それと同じことを会社が社員に行うようになっているのがいわゆるブラックであるとともに、それだけにとどまらず人材派遣も同様に掠め取るための仕組みとして成立し、お上と紐付いたシステムとして機能してるところを見ると、お上の別動部隊にすら見えてくる。
ピンハネ手配師がこんなにおったら、そりゃあ技術や人に投資なんて動きにはならんわな。労働集約型産業が多い方が都合がいい。
— マクシム (@thksngy) November 24, 2018
最近は外国人に借金背負わせて連行してくる奴隷貿易で稼いでるらしいが、本当に卑しい人達としか思えん。
同じ日本人と思いたくない。 pic.twitter.com/Hxw7vvoXnY
日本人気質とはピンハネ気質、それがガラパゴスの元かも?
しかしピンハネは、する人とされる人のコンビ芸でもあるので、日本人気質はピンハネするだけでなく、ピンハネされる気質とも言えそうだ。
ここまで考えると、なんとなく理解できたのが次の記事。
正規店は高いので、非正規店にお願いする場合が多い。その後何度か修理し、ひび割れをし、修理し、ひび割れをしを繰り返す。そしてふと気が付くのだ。「どうせまた、ひび割れするのならソノままで良いんじゃね?わざわざなおすの面倒くさいしな」と。
それからはもう、いくらひびが入ろうが傷がつこうが気にならない。形あるものは壊れる。それが自然の摂理だ。一度受け入れるとあら不思議、なんだかひびがある状態がスタンダードに思え、バキバキのスマホ画面が愛おしくなってくるではないか。
なんとなく取っているその行動には、脈々と受け継がれたDNAが感じられる。
ピンハネされて不快に感じる人も多いが、それと同じくらいピンハネされることが嬉しい人がいるのが日本かもしれない。