日本のプロ野球の名選手であり名監督だった故野村克也監督は数々の名言を残している。
その中でもわたしが一番好きなのが、
勝ちに不思議の勝ちあり、負けに不思議の負けなし
この名言にひと際味わい深さを感じたのが水原一平事件だ。
今更事件の内容には触れないが、この事件はリスクマネジメントや危機管理のプロの目を掻い潜って起きていた。
事件が起きた、事件を起こせたという意味では、全てが発覚するまでの間は水原一平さんにとっては不思議な勝ちが続いていたのだ、勝ちと書いたがそれは掻い潜ってすり抜けたという意味で、肝心なギャンブルでは負けていたのは皮肉だ。
一方で、この件で負けたのは大谷翔平さんではないと感じてる、失われた24億円は彼の屋台骨にはなんら影響してないからだ、せいぜいぐっすり眠れば忘れられる程度の疲労だったはず。
この件で不思議ではない負けを思い知らされているのは、大谷翔平さんの脇を固めていたはずの危機管理のプロ達だ。
プロとしてそれなりの対価を受け取る契約をして請け負った業務を、分かってしまうと極めてお粗末な対応で果たせなかったからだ。
もちろん言い訳があるだろうことも理解できる上で、セオリーに対して例外を認めてしまったことが敗因だ。
こういうことっていまだに全国各地で後を絶たない詐欺被害にも共通してるはず。
ごく初期の段階のそんな手口があるなんて知らなかった頃とは違い、さまざまな注意喚起をされてることは知っていて、気をつけなければと思ってるはずなのに、そんな思いをすり抜けて詐欺が続くのだ。
負けに不思議の負けなしを経験すると、後悔先に立たずを感じるはず。
詐欺被害は想像するだけの擬似体験でも、かなり強いインパクトを感じる人はいるので、なんの被害も受けてないけど被害を受けたかのような意識を持てる人は少なくない。
しかし後悔した人の中には、負けるべくして負けたという反省をロンダリングしてるかもしれない。
つまり、反省が定着しないのだ。
後悔は百害あって一利なし。