あちらを立てればこちらが立たない、そんな関係をトレードオフと呼ぶことが定着して久しい。
トレードオフになる関係下では「共存」が成立しないし、時には敵対するだろう。
トレードオフという言葉は、少し残酷なにおいが漂わせることが多い。
矛盾社会序説を乱暴に纏めると、人権と自由は本来別物であり、トレードオフですらある。二つが両立したかの様な時代が続くには、同情されない無名の死が燃料として安定供給される事が前提。今はその燃料がいよいよ枯渇し始めたと。ヒト科の晩夏、終章。
— g (@dearfear) November 23, 2018
トレードオフということばは、当てはまりさえすれば何にでも使えることばだが、今日は"パーソナライズ"との関係で捉えてみたい。
インターネットが普及し、ネット通販が日常に定着すると、ユーザー個々に合わせたパーソナライズが浸透し始め、受け身で情報に接していると自分の趣味嗜好に近いものばかりに囲まれてしまうということが起きる。
そのことにより視野が限定され狭くなることをフィルターバブルと呼び、注意点とされるようになった。
そんな中で生まれたのがニュースをパーソナライズしない「スマートニュース」で、私も愛用している。
SmartNewsのニュース選定のアルゴリズムってどうなってるの? 裏側を聞いてきた 2015/4/14
現時点ではユーザー個別に最適化した情報を配信するようなパーソナライズは行っていません。
対象ユーザーは全世界、モバイル端末を持つすべての人なので、ペルソナ設計はあまりしていませんが、ユーザーのアクセス行動はウォッチしています。
だから、私がスマートニュースで目にする見出しは、私にパーソナライズされてるわけではないはずなのだ。
しかし、今の日本ではクルマやオートバイは不人気商品にも関わらずスマートニュースのトップにクルマやオートバイの話題が出ていると以前大好きだった私にパーソナライズされているのかなと思うことがある。
余談
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私にとってはオートバイはバイクと呼ぶ方がピンとくるのだが、最近はバイクというと自転車を意味するようになったので、オートバイと使っているが少し違和感がある。
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しかしスマートニュースの看板に偽りがないのであれば、クルマやオートバイがトップに来るということは、それなりに読まれているからのはずだ。
取り上げられてる車種は、決して現代の売れ筋ではないものも多いので、読んでる人も読むだけなのだと思う。
そして、読むと分かるが、昔クルマやオートバイに夢中だった人に向けて書かれているように感じられることが多い。
ノスタルジーや郷愁を誘うというマーケットが存在し成立してるんだなと感じるが、文章は昔は良かったという懐かしむような類ではない。
そう言えばこの傾向は音楽にはもっと当てはまるかもしれない。
一昨日にやっていた”50年間をその年としのヒット曲で振り返る番組”
— ジャンゴレコード (@djangorecords) November 21, 2018
が白かった。貴重な映像も多数。職業柄年間チャートも非常に興味深かった。サイモンとガーファンクルなど、年間売上のTOP10内に洋楽が入っているのも昔ならではかな。あの頃青春時代を過ごした方々が現在CDの最大の購買層とか。 pic.twitter.com/sdrT366I3k
何が言いたいかと言うと、生きるということは、失った時間とトレードオフの関係なのかもということ。
現代では、未来のために今があると考える事が多いが、心の中に確実に存在しているのは過去で、未来に向かうためにそんな過去を無理矢理振り払ってる人達が大勢いるのかもしれない。
そんな振り払われた気持ちをすくい取るマーケットや市場が世間にはあるはずだ。
トレードオフについて考えるとビジネスライクになりがちだが、分かりづらい関係性を考えるときには思わぬことに気付くことがある。
正反対のようでいて密接に関係する「絶対性と相対性」や「自分と世間」のようなものを同時に捉えようとする場合に役立つことが多い。
量や時間や予算など、限られた数字の範囲のやり繰りにもトレードオフは付き物だが、量を質に置き換えることが可能であればトレードオフに盲点が生じ、決して量に囚われる必要がないことに気付ける。
#脱社畜サロン で「トレードオフ」について意外と分かってない人多いよねって話題が出て、そのときに「仕事することと家庭を大切にすることはトレードオフだと思いますがどうですか」ってけんすう(@kensuu )さんに質問した答えが参考になったので共有させていただきます。可処分時間と質について。 pic.twitter.com/fSSYqwDTe3
— ぽかべ🍌バイブレーションうつ姫 (@poka_resort) November 23, 2018
良いことづくめのように思われていることでも、世の中はそう単純ではない。
"筋肉量が多くなるとテストステロンの分泌量も増えます。テストステロンの量とトレードオフの関係にあるのが免疫機能です。テストステロンの過剰な分泌は、免疫機能を低下させることが報告されおり(Lassek WD, 2009)"https://t.co/CGv8mXpwTT
— ばばろあ (@valvallow) November 24, 2018
トレードオフは目に見えない形で発生するものだとすると、自分自身の短所やマイナスをゼロにしようとしても無駄な努力に終わるかもしれない。
それよりも、長所を伸ばすことのほうが取り組みとしては良さそうな気がする。
そして、長所を伸ばしてるつもりでも、トレードオフとして、短所も発生してると考えたほうが良いだろう。
なんか上手くいかないなと思う時は、裏で発生しているトレードオフの影響を受けているかもしれない。
そう考えると、365歩のマーチが身に沁みる。
一日一歩
三日で三歩
三歩進んで、二歩下がる
365歩のマーチはトレードオフの歌だったんだと気付いた。