違う見方

新しい時代の始まり。複数の視点を持つことで、情報過多でややこしい現代をシンプルに捉えるための備忘録的ブログ。考え方は常に変化します。

大手弁護士事務所も次の手を模索している

弁護士の活躍分野の花形は、M&A(企業の合併・買収)だ。

 

誰でもこなせる案件ではなく、大手事務所が請け負う。

 

五大法律事務所と言われる5社が中心だ。

 

以下は大手弁護士事務所の事情だ。

 

M&A

 

2000年以降大手事務所は、大型案件に備え、中小事務所を吸収し、抱える弁護士数を増やした。

 

M&Aは、報酬も多いことと案件数も多かったので弁護士の報酬もドンドン増えた。

 

しかし、大手事務所ですら陰りが見えてきてるらしい。

 

M&Aが増えたことで、手法が一般化し、中小事務所でも手掛けられるようになり、大手が案件を独占できなくなった。

 

中小事務所の参入は、案件の報酬にも価格破壊を起こした。

 

また司法制度改革で大幅増員したされた弁護士の一部が証券会社や会計事務所に流れ、M&Aは弁護士事務所だけが手掛ける業務ではなくなっていった。

 

こうして価格破壊の連鎖は進み、M&Aだけに頼れないという事情が顕在化してきた。

 

次に目をつけたのは、「企業の不祥事」だ。

 

危機管理

 

「企業の不祥事」に絡んだ法律業務は、

 

  1. 第三者委員会の設置
  2. 事実関係の調査
  3. メディア対応
  4. 行政や機関投資家への説明
  5. 上記に伴う訴訟

 

と多岐に渡るので、弁護士には美味しい案件になる。

 

ちなみに、第三者委員会と言うのは日本独自の危機管理モデルで、最近は「不祥事と言えば第三者委員会」というような形骸化した印象がある。

 

また不祥事に慣れてきたことで、第三者委員会の不良委員会化が起きて、最初から経営者を擁護する人選が為されている。

 

 

 

これらの一連の業務は、危機管理と言われ、顧客企業は既に困っていて、かつ時間の猶予もないので「値引きの要求」が少ない。

 

また、危機管理は明確な終了が見えないので、長期の契約が見込めることも弁護士事務所にとってはおいしい話になる。

 

 

ブラック化する弁護士業界

 

新種の案件を創造することを目指しながら、従来型の業務をこなすことを強いられる弁護士には想像以上にストレスがかかっているらしい。

 

最近は、裁判件数は増えてない。

 

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出典:民事事件に関する活動 日弁連

 

弁護士の数は増えたから、抱えてる案件数が多いという意味での過重労働ではなく、年々下がる所得を何とかするため訴訟に勝とうと、長時間労働になってる可能性が高いだろう。

 

事実うつ病の弁護士は増加中らしい。

 

中小零細弁護士事務所では

 

最近、依頼者に経過を報告しないケースや依頼を受けながら放置する弁護士が懲戒処分を受けるケースが増えているが多くは「うつ病」を患っている、年代は関係ないらしい。

 

また弁護士の金銭トラブルも増えている。

 

弁護士は業務の中に、預り金(経理とは違う)の管理がある。

 

厳密に取り扱われなければいけないお金だが、取扱は弁護士の裁量に任されていて、この預り金を着服する弁護士が増えている。

 

この預り金の着服は昔からあるが、弁護士が儲かっていた頃は、発覚前に戻すことができてた。

 

資金繰りに困った弁護士が、最後に守ろうとするのが自身の弁護士資格だ。

 

弁護士は自己破産すると資格を失う(弁護士法7条5号)。

 

 

 

 

次の手は「数字」がキーワード

 

次のネタをどうするかという視点に欠かせないのは時代のトレンドだ。

 

現在、どの業種も儲けのネタに困っている。

 

しかし資本主義のツライところで成長させなければいけない。

 

つまり大義名分はさておき、数字の追求が時代のトレンドになる。

 

数字で表されてない世界に、数字を持ち込んだ方が早い。

 

弁護士業務も然りだ。

 

弁護士には、法律を前提として、減らず口を叩いているというイメージがあるが、この領域にも数字が持ち込まれてる。

 

数字を扱うのは、本来弁護士の得意領域ではない。

 

そうすると、ここに新たな競争が発生する。

 

弁護士が数字の能力を高めるのと、数字に強い人が法律の能力を高めるのは、どちらが強いかという競争が起きる。

 

最近、弁護士のライバルとして会計士が挙げられるようになって来たのは、「数字で争う」ことが増えているからだろう。

 

 

問題の顕在化は「待つもの」のではなく、問題は「掘り起こすもの」という方向にエネルギーが向かっている。

 

トラブルは生まれるものではなく、作られるものになる。

 

と言うか、もうなってるはずだ。

 

企業の不祥事に法律家が拠り所を求めてる。

 

企業の不祥事は、数字で隠蔽されている。

 

数字に隠された嘘には、宝がある。

 

東芝、前年に続き巨額赤字=原発損失7000億円弱-4~12月期決算、14日発表 時事通信社

 

きっとこの件でも弁護士や会計士が動き回ってるはずだ。

 

 

法律というのは、国家が作るインフラであると言えるにも関わらず、いざとなったら専門家を使わなければ何もできないことが多く、またその料金もガラス張りとは言えず且つ高額だ。

 

この領域は、破壊が進んでるとは言え、まだ既得権益層で構成されている。

 

 

 

 

次どうするかを考える際、法律家は法律を駆使して何が出来るかを考えるのが普通だろうが、こんな人もいる。

 

テレビでよく目にする過払い金返還訴訟に特化してる「アディーレ法律事務所」の代表で設立者の石丸幸人氏は、現在も代表だが実務から離れ、医者を目指して北里大学の医学部に通ってるらしい。

 

弁護士業界は所詮5000億円〜6000億円の市場、一方医療は70兆円市場。

 

これからは医療の時代だと語っている。

 

 

 

参考にしたのはこの2冊

 

 

 

週刊エコノミスト 2017年02月28日号 [雑誌]

週刊エコノミスト 2017年02月28日号 [雑誌]