今はヤマダデンキに吸収された福岡のベスト電器(今でも店舗の屋号は残っている)は1979年〜1996年の間日本の家電量販店No1だった。
そんなベスト電器だが、ベスト電器という名前に変える前の名は『バーゲンセンター』だった。
バーゲンセンターという名前に対してイチャモンを付けたのが松下幸之助。
バーゲンセンターなんて商品が安かろう悪かろうのイメージを与える店にはうちの商品は卸さないぞとイチャモンを付けたのだ。
そこで変えられた名称がベスト電器、1968年の話。
半世紀前の日本では、明らかに小売店の立場はメーカーより下で、『御社の商品を売らせてください』とお願いする立場だった。
元々、メーカーは作ることはできてもそれを売る能力は持ち合わせないのが日本のメーカーの特徴だった。
だからガラパゴス的な存在として商社や問屋などが独自に発達したが、そういう図式の中でも最上位に位置してたのがメーカーだった。
しかし、50年という時間の流れを経るとメーカーだというだけでは価値を創造できなくなり、力関係の逆転も起こった。
エンドユーザーを味方につけた小売店の方がメーカーより上位に位置するようになり、メーカは小売店に『うちの商品を売ってください』とお願いするようになった。
またその延長線で小売店はメーカーに自社ブランドやプライベートブランドで商品を作らせるようにもなった。
『言うこと聞かなきゃ別のメーカーにするよ』とすら言えるようになった。
さらに時間が流れたことで、メーカーと小売店の関係に割って入るようになったのが物流とテクノロジー界隈。
商品を作って売るの中間に位置する勢力への依存が過度になったからだ。
そして現在ではエネルギーに関する課題が一周回って二周目に入り始めた。
メーカーにしろ小売にしろあらゆる業界はエネルギーに依存することで成り立っている。
今までは裏方としてあるいは縁の下の力持ちとして振る舞っていたエネルギーが牙を剥いて自己主張を始めた。
存在感としてはエネルギーに似たものに資源がある。
人材が人財と呼ばれるかと思えば人罪とも呼ばれる現代では、人は資源として通用するのだろうか。
世の中は回っているのか、それとも行き詰まっているのか分からなくなる。