違う見方

見方を変えると目からウロコが落ちるかもという独断と偏見による雑記、備忘録

『デジタルコンテンツ』はどこに向かうか

1960年に出されたセオドア・レビットの古典的名著『マーケティング近視眼』では印象に残る言葉がいくつかある。

 

その1つは、「実は成長産業といったものは存在しないと私は確信している。成長のチャンスを創出し、それに投資できるよう組織を整え適切に経営できる企業だけが成長できる」だ。

 

この言葉に基づくならば、事業衰退は経営の失敗に由来することのみであり、成長という波が引いたためではないとなる。

 

 

Wikipediaにはこう書いてある。

 

https://ja.wikipedia.org/wiki/近視眼的マーケティング

企業商品販売するにあたって、その商品の機能のみに着眼してしまうと自らの使命を狭く定義することになり、そのような方法では競合や環境変化が起これば対応しきれないことを説明している。レビットは「顧客は商品を買うのではない。その商品が提供するベネフィットを購入しているのだ」と主張しているとおり、顧客は商品そのものを必要としてるのではなく、その商品によってもたらされる期待価値を得るために購入しているとして「顧客志向」という概念の重要性を広く知らしめた。

 

セオドア・レビットの言葉が今着目される理由は、スティーブ・ジョブズ亡き後のスマホを含めたITの世界がイノベーションを起こせないからだ。

 

50年以上前の言葉が今でも通用してるということは本質を捉えているからだろう。

 

 

事業を定義することがスタートだが、時間の経過で状況が変化するたびに事業の再定義が必要になる。

 

しかし、多くの場合この再定義を誤る。

 

顧客視点が抜け落ち、”商品やサービス”で再定義を行おうとすることで失敗し衰退する。

 

21世紀に入ってからのAppleの大躍進が世間を大きく誤解させたのだ。

 

ipodのヒットに始まりiphoneで頂点を極めたAppleを見て、自前のOSとデバイスをセットで持つとヒット商品ができると商品目線でいろいろな物を出すが、ことごとく失敗してる。

 

Googleは創業期には、在庫を持つビジネスには手を出さないという社是があったがAppleの成功を黙って見ていられなかったのだろうが、出したデバイスNexusシリーズは失敗した、今どきのデバイスはモジュール化してるからハードウェアとして劣っているわけではない。

 

同じことは、AmazonのKindleデバイスやMicrosoftのパソコンSurfaceやWindows Phoneにも当てはまる。

 

Facebookも自前デバイスを検討していたらしいが、GoogleやAmazonの失敗を見て断念したらしい。

 

そして今でも好調だがApple自体もイノベーションとは無縁になりつつある。

 

スティーブ・ジョブズ亡き後のAppleは、事業の再定義を”商品やサービス”に求めることしかできなくなっているからだ。

 

 

つまり、顧客視点なきビジネスだらけになっているのだ。

 

日本でもアメリカでも、IT企業がベンチャー企業と呼ばれていた頃から現在まで、IT企業にとってコンテンツは作るものではなく調達するものであった。

 

デジタルコンテンツが集まり取引される場は少ないが、コンテンツは個人でも簡単に作れるし発表できるようになっている。

 

その結果、核をなす中心がなくなるように分散化し、コンテンツの多様化が進みだした。

 

顧客の側である個人でもコンテンツを作り発表できるということがキーになるかもしれない、現在は無秩序な面もあるが一定の淘汰は進むだろう。

 

そんな動きはM&Aにも現れだしている。

 

M&Aには大きく水平統合と垂直統合と言われるものがあるが、従来の意味は下記のようなものになる。

 

【株式投資】水平統合と垂直統合の違い

水平的統合とは同業同種の他企業を買収し、事業の範囲を拡大する事を言います。

 

 

垂直統合とは原材料から製品販売に至るまでの流れを垂直的な流れと解釈して、生産から流通までの流れを一つの企業にまとめる事を言います

 

これは、従来のM&Aを説明するもので、関連業種や関連業界内での市場独占を図るやり方になる。

 

新しい見方のM&Aでは、従来のパターンを一括りにして垂直型の統合と見る、その理由は合併統合する企業同士の事業に相互関連があるから縦の関係性が描けるからだが、解釈に新しさはない。

 

新しさが出るのは水平統合型で、典型的なのが下記。

 

AT&T、タイムワーナー買収発表 今年最大  総額8.8兆円  2016/10/23

携帯電話事業が伸び悩むなか、映画やニュースまで幅広いコンテンツを抱えるタイムワーナーを取り込み、複合メディア企業への転換を目指す。インターネットの普及を背景に通信・放送の垣根を越えた企業統合が本格化しはじめた。

 

コンテンツを調達するだけでなく、独占しようという動きの顕在化だ。

 

これからは、隣接する異業種や異業界間でのM&Aが増えてくるかもしれない。

 

お互いの苦手を補完する水平統合による市場の独占を目指すという形が生まれるかもしれない。

 

異なる業種業界が結びつく理由はコンテンツの独占を意図するからだ。

 

ここで言うコンテンツとは広義の知的財産で、一般的には知的財産権で保護されると考えられてるもの。

 

https://ja.wikipedia.org/wiki/知的財産権

著作物(著作権)や工業所有権などといった無体物[1]について、その著作者などが、それに対する複製など多くの行為に関して(無体物であるにもかかわらず、あたかも有体物として財産としている、あるいは所有しているが如く)専有することができるという権利である。

 

20世紀はこの権利所有者が優位を保てたが、今のところその流れは続いているように見えるが、今後は権利所有者は力をドンドン失う。

 

なぜならコンテンツは見てもらって、アクセスしてもらってなんぼの存在なので、ネットワークやプラットフォームなどコンテンツを披露する場を持つものが圧倒的に優位になる。

 

有り体に言うと、コンテンツの権利所有者というだけでは儲からないという事だ。

 

デジタルのコンテンツはすべてこの波に晒されることになる。

 

しかし、プラットフォーム側にとってもアクセスしてもらえるコンテンツは大切になる。

 

このことを理解しだした一部の有名人が、築いた評価を壊してまでもアクセスアップを狙った炎上芸をしているのは、アクセスを集められるコンテンツ製作者としてのブランド造りなのだろう。

 

炎上するとアクセスが増えると考えるのは、広告の世界やマスコミの世界出身の人に多い。

 

玉石混交のコンテンツの世界には、静かに淘汰の波も押し寄せてるので、アクセスにも質の良さが求められるだろうが、ここが日本であることを考えると、この流れも独自のガラパゴスを作るかもしれない。

 

 

デジタルコンテンツの価値を高めるために『複製(コピー)』を制限したり権利で守ろうとしても無意味な時代になっている。

 

 

余談

 

実は日本はかつて先進的な動きも見せていたのだ。

 

2005年ホリエモンがフジテレビの買収を仕掛けた頃だ。

 

同じ時期に少し遅れて楽天の三木谷社長もTBSに手を伸ばしていた。

 

これらの動きに国を挙げて猛反対し潰した。

 

日本がやることなすことガラパゴスになる理由が垣間見える。