スポーツをする時、それが真剣勝負ではなく遊びであっても、自然と前傾姿勢を取る。
それは、最初の一歩をきちんと踏み出すために備えての事のように感じる。
同じように、椅子に座っていながら前傾姿勢を取ることがある。
勉強したり、調べたり、本を読んだり、PCで作業するような時には、座っていても前傾姿勢を取る。
前傾姿勢を取る時の気持ちは、攻めの気持ちがある時で、たぶん緊張感も伴っている。
それは、前傾姿勢を取る時には、なんらかの目的があることを意味する。
逆に後傾姿勢を取る場合は、テレビを見たり、映画を見たり、楽しみながらの読書などがある。
〜〜余談〜〜
後傾姿勢という日本語は一般的ではないので、以下は英語の「リーンバックスタイル」を用いる。リーンバックスタイルには寛ぐと言う意味もある。
ちなみに前傾姿勢は「リーンフォワード」と言われる。
〜余談ここまで〜
今回は、時代の変化が、知らず知らずのうちに取る姿勢にも影響を与えているという話をしてみたい。
2009年ipadのリリースが発表された時、メディアから「ipadはPCの代わりを果たすものなのか?」と言う質問を受けた故スティーブ・ジョブズは、「about leaning back」とだけ答えている。
Indeed, this is a fair point. When the iPad was released, people did wonder whether it was a large smartphone or a small laptop, a question which Steve Jobs didn’t answer. “He just said, ‘it’s about leaning back’,” continues Rashbass.
私は、この話が気に入っていたので、それがキッカケでジョブズを好きになり、ipadを愛用している。
リーンバック時代が始まるのだと思っていたし、個人的な印象だと2014年まではこの流れを感じていた。
しかし、徐々に雰囲気が変わってき始めて、リーンバックスタイルよりも前傾姿勢が増えて来たように感じられるようになってきた。
たまにリーンバックスタイルの人を見ても、寛いでいるというより老眼かなと思うような感じになってきた。
もしやスマホの普及の高まりが与えた影響かなと感じ調べてみると、2014年から2015年の間に総世帯における普及率が50%を超えている。
出典:http://www.garbagenews.net/archives/2257046.html
スマホの普及が拡大させたのは、前傾姿勢というより俯くのほうが近いだろう、だからだろうが、こういう社会問題も起き始めた。
歩きスマホをすると視覚鈍感になる危険性が指摘されている[4]。歩きスマホは、操作している本人は周りが見えにくくなるため(視野は通常歩行時の約1/20で、対象物を認知できるのは1.5mまで接近した時点[5])、周辺の歩行者に接触する事がある。
携帯電話(いわゆるガラケー)からスマホに切り替わることで起きる変化は何だろうか?
電話とメールに関しては違いはない。
2014年前後から聞かれ始め、2015年以降で顕著に言われるようになったことに「SNS疲れ」という言葉がある。
ガラケーからスマホに切り替える動機が、SNSをやることという人がほとんどかもしれない。
そうすると、リーンバックスタイルを前傾姿勢にさせたのはSNSかもしれない。
SNSの登場と普及拡大がキッカケで顕在化したことは、ネット上を飛び交う情報が激増し、その情報は時系列でドンドン流れていくということだ。
SNSをやるということは、その時間に沿って流れていく情報から必要な情報をインプットし、インプットした情報を加工してアウトプットするという作業を繰り返すということだ。
この作業には終わりが無いという特徴のほかに、不特定多数に可視化され評価の対象になることも多いので、前述の”疲れ”に繋がる。
やるべきことが明らかな時に自然に取るのが前傾姿勢だが、前傾姿勢は長時間続かないし疲れる、疲れる姿勢なので前傾姿勢を取っている時は、情報の処理という意味では、必要な情報を取り入れることにはあまり有効ではなく、実際には不必要な情報を捨てることに作用する。
つまり、役に立つ情報は、前傾姿勢を取る前に仕入れておく必要がある。
逆に言うと、情報を仕入れようとするならば、また未知のものに向かおうとする前段階では”考える”という作業が必要になるが、これらの行動と前傾姿勢はたぶん相性が悪い。
何も考えないことが目的の瞑想では、背筋を直立させることが基本姿勢とされる。
身につけた知識や能力を発揮しようとする時は、前傾姿勢が向いている。
一般的には、寛ぎやリラックスを意味するリーンバックスタイルには、前向きなイメージがあまり無いが、答えがわからないことや、未知のことを考える時には向いているかもしれない。
姿勢に関しては語りだしたらキリがないが、姿勢は呼吸に関係する。
リーンバックスタイルは胸を開きやすいので、考え事をする場合も、ゆっくりと深い呼吸ができる。
同じ情報に接しても、インプットする時の姿勢が違うと、アウトプットも違ってくるかもしれない。