トランプ大統領が誕生して1年が経過。
果たして、アメリカおよび世界は、どのように変化したのであろうか?
その他大勢の1人にすぎない私が、思うところを書いてみたい。
1年前、トランプ氏が大統領になった時、私は期待していた。
トランプ大統領が救世主になるというよりも、それがキッカケで何かが動き出すことを期待していたからだ。
普段動かないものが動く時と言うのは、良いことばかりではない、と言うよりも初期症状は悪いことばかりのはずだ。
自然災害と一緒で、最初は破壊をもたらす。
ず〜っと昔、たぶん小学生のころだろうが、社会の授業で扇状地に関して、こう教わった。
『大雨が降ると、川が氾濫し下流の川沿いの土地に被害をもたらすが、同時に肥沃な土を運んでくる、こういう土が扇状に広がり積み重なって、質の良い畑や果樹園ができる、水害は巡り巡って果実をもたらす』と。
この話に子供ながら興味を持ったが、その後の人生で扇状地というのを実際に見たことがない。
大きな川を見るたびに扇状地の存在を感じてみたいと思っていたのに全く見ることができない。
答えは簡単で、見る川全てが護岸工事されていて、堤防が築かれ、農地であった場所の多くが住宅地になっていたからだ。
少し余談気味になったが、何が言いたいかというと、現代人は破壊がもたらされた時に同時に良いことももたらされているという体験がないのだ。
1923年の関東大震災と1944年の東京大空襲で焼き尽くされた東京がその後発展した理由の1つは、焼き尽くされたことにあるのは言うまでもないだろう。
しかし、阪神大震災以降の大地震や大水害が、その後の発展をもたらしたという話を聞いたことが無い。
一定の進歩を達成した現代社会が更なる発展をしようとするならば、おそらくその前段階として何らかの破壊がもたらされるはずだ。
それが、トランプ大統領の役割なのかもしれないと思いたい自分がいる。
トランプ大統領は、『アメリカファースト』を標榜している。
かつてアメリカは世界の警察と言われていた。
あくまでも資本主義社会の理屈に過ぎないかもしれないが、治安や秩序が大事だとわかっていたからこそだろう。
昨年は、日本でも『都民ファースト』が大盛り上がりした後、大コケした。
”○○ファースト”は一種の流行り言葉のようでもあるが、○○ファーストは最終的には『自分ファースト』に行き着く。
そう考えるとレディファーストというのは、少し異質な○○ファーストに思える。
トランプ大統領が標榜する『アメリカファースト』は『トランプファースト』だろう。
『アメリカファースト』が、世界の治安や秩序に悪影響を与えるかどうかが要チェックだ。
ところで、トランプ大統領が『アメリカファースト』を標榜する前は、アメリカはアメリカファーストではなかったのだろうか?
そんなことはない、アメリカは昔からアメリカファーストだったはずだ。
日本人にはピンとこないかもしれないが、アメリカだって変化している。
アメリカンドリームという言葉は、今やアメリカ人にとってもおとぎ話になっている。
個人の活躍を妨げる所属や帰属の壁があるのだ。
特に大衆文化の中で絶え間なく再加工され、アメリカの人々の日常的心象に非常に興味深い影響力と補足力を持ってきた「アメリカン・ドリーム」ですが、アメリカにおけるこの言葉の使用に近年顕著になってきたのが、ネガティブな言葉との組み合わせです。新聞・雑誌記事や書籍、オンライン上で「American Dream」という言葉を検索してみると、それに付随するのは「終焉(end)」や「衰退(decline)」、「絶望的な(hopeless)」や疑問符(?)等々です。
『自分ファースト』は、自分さえ良ければいいというものではなく、自分の価値の最大化を目指すということだ。
日本に目を向けると、企業や組織は、自分さえ良ければ良いという間違ったファーストを指向してるように感じる。
そういう意味では、自分ファーストは個人と相性が良い。
だから、SNSが大事になるし、価値の指標としてフォロワー数というのが機能する。
この動きが何を破壊することになるかと言うと、今も昔もこれからも、自分の価値を決めるのは他人であることに変わりはなく、決める他人は所属したり帰属したりする集団の中にいるというのが従来型だが、このクローズドな世界で評価されるということに価値があるという価値観が壊れるのだ。
所属や帰属の前に一個人であることが重要になる。
所属や帰属を超えたオープンな場で評価されるということが、今は価値を持ちつつある。
今インフルエンサーと言われるフォロワーの多い人達の多くは、芸能人や著名人を含め、インターネットが胡散臭いという扱いを受けてた頃から、IT界隈で試行錯誤していた先駆者が多い。
もし、時代の変化をもたらす破壊が起きるならば、これからはこの辺の顔ぶれも変わり始めるだろう。
『自分ファースト』は、ずっと続く価値観なのか、それとも期間限定なのかは不明だが、今は波が来てる分野だろう。