日曜朝のTBS系で放送されるサンデーモーニングの『風をよむ』で初めて聞いたことばが出た。
OK、ブーマー(BOOMER)!
ブーマー(BOOMER)とはベビーブーム世代を指すことばであり、『OK、ブーマー』と使われる場合は訳語的には日本語の老害に相当し、この数年TikTokでよく使われ、若者が年長者から言われる『最近の若者は…』に対抗するという位置付けらしい。
そして、その象徴的な使われ方として、ニュージーランドの議会で25歳の女性議員が発言中にヤジを飛ばした年配議員に『OK、BOOMER!』と返したらしい。
検索するとこのシーン(30秒後くらい)。
'OK Boomer:' 25-Year-Old New Zealand MP Chlöe Swarbrick Claps Back at Hecklers
2019年11月7日の出来事のようで、ニュージーランドのローカルの話題としてだけでなく世界中に伝えられていたのだ。
25-year-old New Zealand lawmaker Chlöe Swarbrick was giving a speech supporting a climate crisis bill when she was heckled by an older member of Parliament. She simply said, "OK boomer," and kept talking, unfazed. https://t.co/LKgoViy9WB pic.twitter.com/RYzRAaXPAJ
— CNN (@CNN) 2019年11月6日
この『OK、ブーマー』が使われるのは、若者と年長者が対立するようなシーンを演出的に盛り上げるように感じられるが、実際には年長者を批判する意味よりも資本主義を批判する意味で使われているという方が相応しい使われ方の方が多いという特徴がある。
ところで、『OK、ブーマー』や『老害』や『最近の若者は』は、世代の断絶や対立や格差が背景にあると言われるが、なぜ断絶や対立や格差が生じるかはあまりテーマにされない。
良いものやありがたいものの恩恵を受けることに関しては順番があり、若者は後回になりやすいのに対し、現在の負のツケが回って不都合が生じる場合には、時間差が発生し、問題を発生させた当事者世代よりも、負のツケを受け継いだそれ以降の世代が被害を被るというケースが増えていることに起因することが多い。
負のツケを受け継がせられた世代は、そのツケから逃げられないが決して黙っているわけではない。
しかもそのツケが簡単に修復ができないものであれば尚更だ。
そんなツケの中心テーマが環境関連。
環境関連の問題をブーマー世代は、お金やコストの問題だと受け取り、できるできないと論じるが、若者はコスト的な課題と捉えてるわけではなく、やらなければいけないこととして捉える。
『OK、ブーマー』は、世界中で起きていて、共通のコミュニケーションとして通じるものになりつつあるようだ。
日本でも年金問題とか赤ちゃんの泣き声がうるさいという声が増えるたびに、老害のせいで若者が被害を被っていると言われるが、内容や程度の違いはあれども共通の課題があるのだ。
しかし、若者にとっては『OK、ブーマー』は便利なことばになるだろうという気がする。
『老害!』と言うと、捨てゼリフのようで、言ってる本人がレベルが低く見えるが、『OK、ブーマー』にはウィットが感じられるので知性が感じられる。
ところてんが押し出されるように、いずれ遅かれ早かれ『OK、ブーマー』と言われる人たちはいなくなる。
ある程度以上の大人は、若者から『OK、ブーマー』と言われないように言動に気を付けたほうが良いだろう。