今日は独断と偏見でクラウンを通じて最近30年を振り返ってみたい。
トヨタ、「クラウン」セダンタイプの生産、販売終了検討 70年の歴史に幕 毎日新聞2020年11月11日
『いつかはクラウン』と言われたクラウンが『ついにお前もか』となりそうだというニュースが出ていた。
今や、パトカーとして見ることが一番多いかもしれない。
クラウン生産終了ですか…
— 千葉パト隊 (@CHIBA_pat_tokyo) 2020年11月11日
悲しいですね… pic.twitter.com/nFpURTxVNs
全国的にパトカーといえばクラウンとなってからのクラウンは、おじさんの車というよりも精悍さが漂っているので、悪いことをしてる人は嫌な感じを持つかもしれない。
そんなクラウンだが、かなり長い時期キャラが迷走していた。
迷走が始まったのはバブル景気が盛り上がり始めた1989年。
日産がシーマを出して大ヒットした頃だった。
これはちょっとした下剋上で、当時セダンの最高峰に君臨していたベンツの560SELをシグナルグランプリでぶっちぎれるパワーを誇って、ベンツオーナーを悔しがらせていたことを覚えている。
余談だが、同時期にBMWが12気筒エンジンを搭載した750を登場させ、ベンツはヨーロッパでも下剋上を起こされていた。
クラウンはトヨタの最上級車(センチュリーは例外的な車として除外)として存在し続けていたが、車格(ボディサイズ)でも動力性能でも圧倒的な後塵を拝するようになってしまった。
そんな状況を打破するかのようにトヨタはセルシオ(海外名レクサス)を出してきた。
これがシーマやベンツやBMWを上回ることを意図して出してきたので、トヨタ車としてもクラウンは最上位の車ではなくなってしまった。
この時期(1990年頃から)を境目にクラウンは、ピント外れなおじさんの車になっていった。
さらにトヨタはクラウンのおじさんイメージを払拭したかったのか、クラウンとボディを共有するアリストをリリースしスポーツカーのスープラのエンジンを搭載しスポーティイメージを展開して行った。
このことにより、同じ車格でありながらスポーティなアリストに対して、年寄りくさいクラウンというイメージが出来上がっていったとともに、世の中は2ドアスポーツカーよりもスポーティセダンに人気が移って行った。
その流れを受けて、アリストもクラウンもヤンキー改造車のベースとして使われることが増えていった。
大型のセダンにVIP系と呼ばれるヤンキー車のイメージが強くなる一方で、世の中はバブル崩壊後の長引く不景気に突入していた。
売れ筋の車は新車も中古車も実用性を重視した車が中心になっていった。
2005年にアリストが生産中止になったことで、ブランドイメージが明確なクラウンの方を残すとトヨタは判断したのだろうが、確実に時代が移り変わっているなと感じていた。
それからしばらく経って、2012年にクラウンがフルモデルチェンジを行った。
これを機にピンククラウンなどカラーリングがビビッドになったので従来とスタイリングも含めてイメージチェンジを図ったことが一目瞭然になった。
個人的にも新車のクラウンに年寄りくさいイメージを感じなくなっていった。
かつては車やオートバイが大好きだったわたしだが、21世紀に入ると自転車の方が楽しいと分かってしまったので興味はないのだが、意見は持っているので毎月車雑誌やバイク雑誌は目を通していて、その取り上げる内容の変化から時代の移り変わりは感じていた。
近年起きてる変化の中には、明確にいつからとは言いづらいが、アウトドアブームやキャンプやBBQの流行があるが、これとおそらくリンクしてるであろうことがSUV車の人気。
広い室内で荷物を多く積載できることが求められているのかもしれない。
スポーツカーやスポーティカーの場合は、タイトな空間を良しとすることもあったが、運転することが主要な目的ではなくなってきているのだろうことが広い室内空間を必要としてるのだと思えてくる。
冒頭の記事には次のように書いてある。
国内の自動車市場では、SUVやミニバンの人気拡大に伴ってセダンの販売が低迷。「いつかはクラウン」といわれた高級車もそのあおりを受けた格好だ。
こうやってクラウンを通じて時代を振り返っているのだが、今ひとつ自分の中でどっちだろうかと思っていることが、『これは昭和の終焉なのか?』それとも『平成の終焉なのか?』なのだが、確実に移り変わる何かが感じられる。