人が行動を起こす動機にはさまざまある。
それらがどんな種類であろうと、動機が生じる場合には、目的や目標や期待がある、良いことであろうと悪いことであろうと。
目的や目標や期待は、動機が生じるほどのレベルに高まると、本人の脳内では達成できるという確信に似た思いにつながる。
しかし、それらのほとんどは実際には当たるか外れるかの予想や予測(仮説を含む)に過ぎない、という話をしてみたい。
まずはわかりやすい例としてプロ野球の投手と打者の関係から。
すべては投手の投球から始まるが、投手は(キャッチャーとの共同作業になるが)打者を空振りさせるかアウトが取れる打球を打たせるように投げる。
そのために、事前に打者の特徴や癖や実績を分析する。
一方、打者も投手の特徴や癖や実績を分析し、その投球をヒットになるように、得点につながるように打ち返そうとする。
意識としてはその瞬間の対決をその都度してるつもりかもしれないが、実際には膨大な過去情報に基く予想や予測を繰り返しているのだ。
プロ野球のように高度なレベルになるほど、実力では劣ってる新人が思わぬ活躍をする場合には、相手が攻め込むデータや情報を持っていないために、予想や予測がただの想像で終わり、その想像が外れた結果としか思えない場合が多い。
つまり、どこまで自覚できてるかはともかく投手も打者も予想や予測をしてるのだ。
プロ野球では投手の投げるボールのスピードは時速150km以上になることも珍しくない。
時速120kmだとしても下図のような状態で、目で見て判断して打ってるようで、実はある程度予想や予測をしてなければ反応できないことが分かる。
http://healthlab-sports.com/archives/1165
豪速球や変化球は予想や予測を狂わすのに有効なのだが、プロ野球のレベルになると超スローボールの方が予測や予想を狂わせるためには有効かもしれない。
野球を例にしたのは予想や予測には、その展開するスピードが大きく関係することを表現したかったから。
展開するスピードが速くても遅くても、予想や予測は簡単ではなくなる。
予想や予測が駆け引きにつながるスポーツのような行動様式は、他の行動にも当てはまっても不思議はない。
ビジネスの現場ではどうだろうか?
始まりをどこにするかでさまざまなストーリーがあるが、事業の立ち上げを銀行や投資家からの資金調達だとすると、事業家は銀行や投資家に展開しようとする事業に関してプレゼンテーションをする。
そのプレゼンテーションの中では、想定する顧客やライバル企業や収支計画を始めとした、実際にはやらなければ分からないことを事前にしっかり把握した上で、然も実現可能なようにアピールする。
一方で、銀行や投資家は事業家のアピール通りに展開しないことを前提に事業を評価する。
上記の話で、事業家がアピールすることは全てが予想や予測の域を出ないし、銀行や投資家がやろうとしてることはバクチとほぼ同じでもある。
ビジネスの場では、銀行や投資家以上に顧客や市場との関係や駆け引きの方が重要度が高くなる。
商品やサービスを市場にアピールしプレゼンテーションするのは、その商品やサービスを使ってより良い思いをしている自分や自社の姿を予想予測させるためである。
その結果、好ましい予想や予測が描けたら契約は成立する。
日本の現実社会では、契約事には人間関係などの縁故が大きく介入する場合が少なくないが。
予想や予測に基いての契約事で予想や予測が外れるとクレームになる。
誤解して予想や予測を立てた方が悪いのか、それとも誤解させた方が悪いのか、このようなトラブルは後を立たないが、多くの場合は誤解して予想や予測を立てた側が後悔することが多い。
予想や予測は外れるものだと、賢明な人は考えるようになる。
最初の予想や予測がプランAならば、プランAが外れた場合のプランBを、プランBでは怪しい場合にはプランCをと予想や予測を立てるはず。
予想や予測を確率と呼ぶようになると途端に数学的になるが、所詮当たるか外れるかなのだ。
人間はいつも予想や予測が当たった外れたと一喜一憂する生き物なのだ。