コンビニが変化してることに気付いているだろうか?
もともと商品に関しては仕掛けや展開を早くし、次々と回転させることで需要を喚起していた。
そういう意味では、常に変化していると言える。
今起きてる変化は、商品のラインナップや展開に関してではない。
店舗運営のありかただ。
コンビニのヘビーユーザーは、価格の変化には気付いているのだろう。
たまにしか利用しない人には気づきにくいだろう。
そういう変化を扱った記事が最近立て続けに出ている。
コンビニ各社の相次ぐ店舗網拡大の背景には規模拡大への焦りが見える - 岡崎よしひろ(中小企業診断士) 2017年4月14日
このような急拡大を志向することはセブン―イレブンほどの規模がないという事に対する危機感の裏返しであると考えることができます。
最大手のコンビニチェーンが値下げに踏み切ったという事は、コンビニ各社はセブン―イレブンに追随して値下げを行うか、あえて値下げを行わないで付加価値を訴求するかといった選択を強いられます。
コンビニ業界に衝撃、セブンがロイヤリティを引き下げた理由とは? 2017年4月14日
しかし、これまで頑なにロイヤリティに手をつけなかったセブンが引き下げを決断したということは、コンビニのビジネス・モデルが限界に近づきつつあることを示しています。同社は米国のコンビニ企業の買収を発表していますが、2つのニュースは表裏一体のものと考えるべきでしょう。
「ここが大変だよ! 日本のコンビニ」セブンイレブンの外国人店員研修を見学 2017年4月10日
外国人店員向けの研修は、コンビニ業界の競争の軸が新規出店による「量」の拡大だけではなく、既存店舗の「質」を高めていく取り組みにも移り始めているという現実を映し出しているともいえそうだ。
日本のコンビニ各社はこれまで、積極的な出店戦略を推し進めることで規模を拡大してきた。だがコンビニ各社の国内店舗数が合計で5万店を超えたいま、単純な規模の競い合いでは持続的な成長は見込みにくくなっている。セブンイレブンは外国人研修のほかにも、かつては消極的だった加盟店オーナー同士の意見交換会を頻繁に開くようになっている。
1年前の2016年4月、セブン-イレブンの鈴木会長が退任した。
セブン&アイ鈴木会長退任へ 会見の一問一答
日本経済新聞 2016/4/7
「伊藤家の意向もあるが、このままでは大株主でもない株主からも経営に口を挟まれることも想定される。コンビニエンスストアを総反対の中でつくってきた私としては資本と経営の分離が大事だという思いがある」
――伊藤名誉会長は創業者、セブンを育てた鈴木会長は中興の祖。伊藤氏側から見れば、この記者会見は欠席裁判にならないのか。
「今までは良好な関係にあった。ここにきて急きょ変わった。以前は私が提案したことを拒否されたこともなかった。世代が変わった。抽象的な言い方だが、それで判断してもらいたい」
何があったかは語ってないが、経営トップを取り巻く環境に不協和音が生じていたことが伺える。
この日経新聞の記事では表現されてないことが週刊現代には書かれていて下記のように捉えていた。
鈴木敏文・電撃退任の舞台裏!~カリスマ経営者は「クーデター」に倒れるのか
週刊現代 2016年4月19日
およそ、日本を代表する企業の会長が行う記者会見とは思えないほど、赤裸々な内容だった。口調は終始穏やかなものの、語っている内容はまさに自らの会社の部下に対するダメ出し、批判のオンパレード。異例の「ブチ切れ会見」であった。
週刊誌らしく人間関係が織りなす人間模様で事件を捉えている。
しかし、人間関係を別にして、事実関係でどうだったのかはよくわからない。
少し検索すると、これが事実かなと思える記事が見つかった。
ヨーカ堂100億円在庫買い取り要請が頓挫 セブン鈴木会長、伊藤家との確執に新事実 日経ビジネスオンライン 2016年5月9日
セブン&アイの鈴木敏文会長が創業者の伊藤雅俊氏に、ヨーカ堂の過剰在庫100億円の買い取りを求めていた。伊藤家がこれを拒否したことで、確執が深まり、鈴木会長の退任表明へとつながった。「鈴木帝国」が崩れ出した背景には、祖業である総合スーパーの根深い経営不振があったことを示す。
この100億円の買い取りの話は、他のメディアでは取り上げていない。
100億円と言うのは、ヨーカ堂の衣料品の不良在庫として発生してるらしいが、その処理を巡って人間関係に亀裂が生じたらしい。
この記事の内容に対し、ファッション業界の事情に詳しい人から疑問が呈されている。
鈴木会長が辞任したセブン&アイホールディングスは改革に向かうのか? 2016年05月12日
セブン&アイHDの鈴木敏文会長の辞任は、内外に大きな波紋を広げた。仕事で顔を合わせるファッション業界人でさえ、「メディアが書いている辞任理由は本当なのか」と、疑う人間が少なくない。
読者の眼を引くタイトル付けは経済誌の十八番だが、問題はその内容である。ファッション業界からすれば、「それはないだろう」と思えるからだ。
結局、事実関係はよくわからないが、この記事は捉え方がおもしろいので読む価値がある、ファッション業界の人に向けて書かれているのでよく知らない言葉が使われたりしてるが、わからなくても気にしなくていい。
それよりも印象的なのはラストの言葉だ。
いい加減、商社丸投げの商品開発から脱却し、マーケットとマーチャンダイジングの基本に立ち返ることが改革の第一歩ではないかと思う。
ヒットしない商品ばかり出てくるのは、商品開発が商社に丸投げだからかもしれない。
そして販売に関しては広告代理店に丸投げしてるかもしれない。
この手法は、高度成長にはマッチしたかもしれないし、上手に活用した人はカリスマなんてもてはやされたりしただろうが、同時に日本的ガラパゴス化も加速させた。
このガラパゴスは、衣料品業界のことだが、日本のコンビニにも当てはまってるだろう。
3位転落のローソン、生き残りかけた地方「局地戦」で業界再編か…商社三つ巴の代理戦争 2016年10月3日
従来は直接経営に口を出さなかった三菱商事だが、前述したようにローソンに役員を多く送り込み、これらの戦略をリードしていく。これからローソンは間違いなく三菱商事色が急激に強まる。
一方でローソンのライバルたちもバックには総合商社がある。ユニー・ファミリーマートは、出資比率33.4%の伊藤忠商事が筆頭株主だ。三井物産はセブン&アイホールディングスに1.8%出資しており、出資比率を上げる方向だ。
小売業界には「近い将来、コンビニは3強ではなく2強に集約される」(大手流通の創業者)との見方がある。つまり、ローソン、セブン、ファミマのうち、一角が消える可能性を示唆している。
セブン-イレブンの鈴木会長の退任に伴い、セブン-イレブンが最初に変化に舵を切った。
セブン-イレブンに追随するというビジネス展開をしていた他のコンビニもあわてて舵を切り始めた。
まだどの方向が正解なのかはわからない。
ファッション業界は、商社に丸投げで事業展開したところは衰退した。
一方コンビニは、商社が食らいついてるという感じに見える。
コンビニ業界はまだ成長が期待されてはいるが、心ある内部の人は相当危機感を持っているだろう。
そういう動きが、今コンビニ業界に始まっているかもしれないが、今のところ脱商社、脱広告代理店とはなってなさそうに見える。
追記
ブログを書いた後に、下記記事に気付いた。
ローソンの玉塚元一会長が電撃引退する事情 2017年4月13日
会見の冒頭、退任の経緯について玉塚会長はこう説明した。「竹増(貞信)社長も3年ぐらい、私とさまざまな経験をしてきた。彼に対する加盟店からの信頼も上がってきた。2月には三菱商事による株式公開買い付け(TOB)が完了し、ローソンは三菱商事の子会社となった。われわれの事業はスピードが大事。二頭体制になるのはよくない。シンプルな意思決定のストラクチャーにした方がいいし、それを支える道筋も整ってきた」。
ローソンは、商社が運営するコンビニになる。
商社のセンスが、ガラパゴスなのか、イノベーションを起こすのかは見ものだろう。